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算数の特殊算(ほとんどの文章題は1つの式で解ける)
算数の文章題のうち、特殊算といわれるもののうちの多くは、実はたった1つの式を使って解くことができます。
その式とは、
(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)
です。
最もわかりやすい例からながめてみましょう。
★過不足算
例題1:クラスの生徒に色紙を分けるのに、1人に5枚ずつ分けると65枚あまり、1人に8枚ずつ分けると43枚不足します。クラスの生徒数は何人ですか。
(式)
用意した色紙を基準にしたとき、「65枚あまる」と、「43枚不足する」のちがいは65+43=108枚です(例えば、用意した色紙が300枚のとき、65枚あまったら使った色紙は235枚、43枚不足するときの必要な色紙は343枚、そのちがいは343-235=108です)。
このちがいがどこから生まれたかというと、1人に5枚配ったか8枚配ったかで、1人に配った枚数が8-5=3枚ちがったからで、その全部の合計が合わせて108枚になったからです。
だから、クラスの人数は(65+43)÷(8-5)=108÷3=36人。
全部で108枚のちがいがあって、それを1人分のちがいの3枚でわると答えを求めることができました。
(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)で求めることができました。
★差集め算
例題2:1本70円の鉛筆と、1本120円のボールペンを同じ本数ずつ買ったら、鉛筆の代金とボールペンの代金の差が500円になりました。鉛筆とボールペンを何本ずつ買いましたか。
(式)
過不足算より簡単です。
1本で120円-70円=50円ちがって、全部で500円ちがってきたので、500÷(120-70)=500÷50=10。
答えは10本です。
まさしく、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)で解くことができます。
★旅人算
例題3:兄は分速60m、弟は分速45mで歩きます。弟が出発してから6分後に兄が弟のあとを追って出発すると、兄は出発してから何分後に弟に追いつきますか。
(式)
兄が出発したとき、弟がいくら離れたところにいるかを考えると、分速45mで、6分前に出発しているので、その離れた距離は45×6=270mです。
全部で270m、離れていると考えます。
兄の分速が60m、弟が分速45mなので、1分に進む距離のちがいは60-45=15mです。
全部で270m離れていて(ちがっていて)、1分間に進むちがいが15mだから、
45×6÷(60-45)
=270÷15
=18
18分で追いつきます。
やはり、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)で解くことができました。
★消去算
例題4:鉛筆3本とボールペン4本の代金は575円で、同じ鉛筆3本とボールペン1本の代金は290円です。ボールペン1本の代金はいくらですか。
(式)
代金のちがいは575-290=285円でした。
この差は、ボールペンが4-1=3本分ちがうことから生じた差です。
代金のちがい÷ボールペンの本数のちがいより、
(575-290)÷(4-1)
=285÷3
=95
ポールペン1本の代金は95円です。
おおざっぱに言うと、やはり、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)の式だということができます。
★つるかめ算
例題5:1本90円の鉛筆と1本120円のボールペンをあわせて12本買って、1320円払いました。ボールペンは何本買いましたか。
(式)
準備として、1本90円の鉛筆だけを12本買ったとしたら代金は何円になるか、「片方だけを買ったとしたら」と仮定して計算をしておかないといけないことが今までの問題とは違いますが、あとは同じです。
90×12=1080円。
1本90円の鉛筆だけを買うと仮定すると、代金の合計は1080円です。
実際の代金、1320円と仮定の代金1080円とのちがいは、何本かは90円の鉛筆ではなくて1本120円のボールペンを買ったからです。
(1320-90×12)÷(120-90)
=240÷30
=8
買ったボールペンの本数は8本です。
やはり、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)の式でした。
★年齢算
例題6:いま、とし子さんは8歳で、お母さんは34歳です。お母さんの年齢がとし子さんの年齢の3倍になるのは、今から何年後ですか。
(式)
つるかめ算と同様に、とし子さんの年齢の3倍を仮定して解くことだけが準備として必要です。
8歳の3倍は24歳。
1年に、とし子さんもお母さんも1歳ずつ年齢は増えていきますが、とし子さんの3倍を考える問題なので、とし子さん年齢の3倍は1年に1×3増えることになります。
今のお母さんの年齢ととし子さんの年齢の3倍とのちがいが34-8×3で、これを、1年にとし子さんの増える年齢の3倍とお母さんの1年に増える年齢の1歳との差でわればよいので、
(34-8×3)÷(1×3-1)
=10÷2
=5
答えは5年後です。
この問題も、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)だといえないこともありません。
以上のように、特殊算と呼ばれる文章題のうち、(倍や割合がからまない問題の)多くは、同じ式の形で、同じ考え方を使って解くことができます。
そのことを知っていたら、自信をもって式を立てることができるようになります。
また、ここで取り上げた問題より一見難しそうに見える応用問題も、(全体のちがい)÷(1つ分のちがい)という基本の式の変形に過ぎないと考えることで、的をはずさずに思考できるようになります。
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