新江ノ島水族館に行くつもりが海辺の崖を登り降りしていた話
みなさまゴールデンウィークいかがお過ごしでしたか?5/1、5/2に休暇を取って9連休だよという方も、土日祝日で5連休だよという方も、ずっと仕事で0連休だよという方もいらっしゃると思います。お仕事お疲れ様です。
さて、私はこの度5/3、0連休の方々の苦労を尻目に友達と江ノ島へ日帰り旅行をしてきました。総合的に見れば楽しい旅でしたがその道中がめちゃくちゃだったのでこのように記事で共有します。
特に今後旅行する可能性のある方については、これから記す私達の失敗を他山の石としていただくことによって、トラブルを予防したり、トラブル発生時の被害を低減する事が可能であろうと思います。どうか最後までご覧くださいませ。
旅行の予定
友達8人グループに4/7に来たLINEが今回の旅行の始まりでした。以下がその文面です。名前とグループ名をそれぞれ○○と☆☆として伏せていますがそれ以外は弄っていません。
そしてこの日に旅行予定日が5/3~と決まり、行き先が鎌倉・江ノ島と決まったのが4/26、そしてその日から行き先を絞る作業へ。 その結果行く予定になった場所がこちら。
鶴岡八幡宮
江ノ島
新江ノ島水族館
江ノ島は高低差があるということで先に行くことになり、予定は「まず江ノ島へ行って神社に参拝し、稚児ヶ淵(江ノ島の一番奥)から遊覧船に乗って江ノ島の手前に戻る。その後昼食を挟み、新江ノ島水族館でサメやシラスの展示を見た後江ノ電で移動して鶴岡八幡宮を参拝」といったものになりました。
【行きはよいよい】
当日。電車と湘南モノレールを使って江ノ島に向かいました。
湘南モノレールは単線の懸垂型モノレールです。山を越えるため高低差が大きくトンネルも通過し、かと思えば市街地では建築物スレスレを通り抜けるなど特徴はたくさんありますが特筆すべきは基本的にスピードを殺さず突っ走ることです。 落差では重力加速度を、トンネルでは視覚情報の偉大さを、カーブでは遠心力を感じることができてスリル満点です。結構ワイルドで思い切りのよい乗り心地でした。
なんとか乗り物酔いを回避しつつ湘南江の島駅に到着。そこから徒歩で橋を渡って江ノ島に行きました。
江ノ島は周囲4km、面積0.38㎢程度の小さな島です。本土と繋がるほどに発達した砂浜が特徴です。宗像三女神を祀るために12世紀に建立された江島神社が島のシンボルで、さらに奥へ行くと稚児ヶ淵と呼ばれる海食台地があります。
長い階段を登り、辺津宮でおみくじを引き、頂からの景色を眺め、稚児ヶ淵の特徴的な岩場を見て、楽しく観光をしました。
そう、ここまでは順調だったのです。
【帰りは怖い】
予定では遊覧船に乗って手前に戻る手筈でしたが、その遊覧船「べんてん丸」が風による波の影響で欠航。私たちは徒歩で帰ることを余儀なくされました。
稚児ヶ淵から徒歩で帰る方法といえば普通は元来た道をそのまま戻ることを指します。しかし当時の私たちにとっては行きの登り降りの階段の印象は悪く、あそこをもう1度歩くというのは苦行だという考えでした。
そして私たちは今年最大、いや、
令和最大の愚断を下したのでした。
江ノ島は稚児ヶ淵に限らず周囲が海の波に侵食されています。その岩場はごつごつとしていて足場は悪いですが裏を返せば手足を引っかけやすく、また砂浜程ではないにしても海面付近が平坦になっている部分も少なくありません。これを私たちは「江ノ島の縁に沿って歩けば戻れる」と判断しました。さほどパワーのあるメンバーでもないのに。今思えばかなりおかしな判断だと思いますが、我ら全員脳筋なので誰も止めませんでした。ばかだね。
そんなわけで半分命懸けのロッククライミングが始まりました。本当は画像を交えて臨場感ある記事に仕上げたかったのですが、何せ命懸けだったもので写真がありません。想像力を働かせろ。
初めは磯のように歩きづらくはあるがごつごつしているだけで行けると錯覚していましたが、進むにつれて「あれ?なんかおかしいぞ…」と思い始めました。歩ける幅がだんだん狭くなっていくのです。踏み外したら足は海水の中。このままいくと道が途切れるんじゃ…と多分他の7人も同じこと思ってますがそこは全員脳筋、誰も止めません。
そして悪い予感は的中しました。2~3mの崖を登攀して越えなければ先へ進めない箇所が現れます。筆者は別に構わないのですが、ロングスカートというのでしょうか、私達の中にはおよそ山遊びには適さないような服装をした人も少なくありませんでした。観光のつもりですから当然です。この筆者、実は既に観光のつもりで来ていたことを忘れかけていました。スカートなんて裾に引っ掛けたら破れて大変、海水に濡れたらまた大変です。水も滴る…などとふざけている場合ではありません。無理しない方がいいんじゃ…と多分他の7人も同じこと思ってますがそこは全員脳筋、誰も止めません。
先へ進んでいき、崖の登り降りが当然になり始めた頃に事故は起きます。高さ3m程度、切り立った崖の先は海という場所を横目に見ながら歩いていた時、私が足を滑らせます。そのまま滑落し岩場へ真っ逆さま、海の藻屑になるかと思いました。しかし海辺の事故で彼岸行きとか各方面に合わせる顔がないということで土壇場の粘りを見せます。幼少期の山遊びの経験を咄嗟に思い出して胴体を反対方向へ倒し滑落を防止。一命を取り留めました。足を滑らせたのが私でよかった。長袖長ズボンに運動靴とはこれ以上に山遊びに適した格好がありましょうか。靴の滑り止めが磨耗でなくなっているのは見ないことにします。
さて、ハインリッヒによれば1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故が隠れているといいます。そろそろやばい事故が起きるんじゃ…と多分他の7人も同じこと思ってますがそこは全員脳筋、誰も止めません。
先へ進んでいくと、道の側面にある岩壁の上端(手が届くほどの距離)から縄がぶら下がっている場所が見えました。道は一旦途切れ、2m程度の落差のある下の岩場に着地しなければ先へ進めません。縄を握り込みながら岩壁の凹凸に足を掛けて降りるか、縄を伝って岩壁の上から降りるかのいずれかの選択を強いられます。これにはさすがに脳筋達の中にも目を覚ました人が出たようで、4人がここで引き返す事にしました。裏を返せば私を含む4人はそのまま進みます。
先へ進んでいくと、高さが私の身長の2~3倍もあろうかという高い岩壁に道を塞がれました。縄が上から垂れているため、恐らくはこれを使って登れということなのだろうと判断しました。しかし私一人登りきった時点で異変に気付きます。なんと反対側には縄がありません。ここから飛び降りろというのでしょうか。人が死ぬ高さです。登ってきた縄を引き揚げて反対側へと渡せば降りられる可能性も考えられますが、反対側は90度以上の角度がついており、壁に手足を掛けずに縄1本で降りなければなりません。訓練しても危険でしょう。そんなものを素人がやったら間違いなく事故が起こります。折角ここまで来たのに残念だが引き返すしかないのか…と思った次の瞬間、普通に横から伝っていけば登り降りを回避できる事が判明します。あの縄はなんだったのでしょうか。
これ以降も若干の足場の悪さはあったものの、ここまで難所を越えて感覚が麻痺してきた成長してきた私達は特に苦労を感じず突破していきました。そして…
人工物が手に届くところへ。そして無事街へと戻ってこれました。
どれだけ時間がかかったのか確認してみたら、最初のおろかな決断が13時ちょっと過ぎ、ここに着いたのが15時40分前後だったので大体2時間半らしいことがわかりました。ちなみに湘南モノレールを降りたのが10時半くらい、そこから13時までが2時間半なので明らかに時間のムダです。
その後・教訓
16時近くまで岩場で遊んでいたせいでお昼ごはんの時間をすっかり逃していました。とはいえお腹は減っているのでしっかり食べたい。ちなみに引き返し組の4人は別行動でごはん食べてます。
夕方になってくると浮かれた人達は酒を呷り出します。それが祝日、しかも湘南となるとなおさらです。私は酒気に弱いので上手に避けなくてはなりません。途中間違って居酒屋っぽい店に入りそうになりましたが、なんとかよさそうな店を見つけました。「江ノ島おさかなセンター」というお店です。
アルコールも提供する店舗だと入店後に気付きましたがなぜか4人でも個室に通してくれたので差し引きプラスです。おまけに魚のぬいぐるみが置いてありました。疲れた脳みそに“おにんぎょうあそび”が染み渡ります。そして肝心の料理はこちら。
私が頼んだのは「釜揚げしらす・カンパチ丼」みたいな名前だったと思います。厚く切ったカンパチの歯ごたえと噛むほど出る旨味、一匹一匹が大きなしらすの豊かな風味がとても美味しかったです。4人中2人が頼んだ「船盛り海鮮丼」もよさそうでした。
ただ、しらすで思い出してしまったんですよね。新江ノ島水族館のシラス展示。結局ここまでの時間の浪費で水族館へは行かないことになってしまいました。水族館に行きたいもう1つの理由だったので残念です。その後鶴岡八幡宮の参拝もほどほどにして帰りました。
誤解のないように書いておきますがめちゃめちゃ楽しい旅でしたよ。それでも計画の項目を1つ削除しなければならないほど予定に大幅な狂いが生じてしまったのは事実ですし、そもそもあんなアクティビティは柄ではありません。髪の毛はべとべと、底が摩耗し海水に侵された靴は廃棄され、翌日は筋肉痛に苦しみました。
もし今後どこかに行くであれば、次は予想外の事態には気を付けて対処するつもりです。具体的にはノリと勢いに呑まれて常識から逸脱した行動をしない・させないように意識します。なんかおかしいな?と思ったらとりあえず口に出しておきます。でもそんなこと言ってもノリと勢いは楽しいので、なんだかんだ今後も変なことをするのだろうなぁと思いました。
おわり。