夢が叶った, そして始まった.

編入試験が終わってもう半年が経とうとしている。もうそんなに経ったっけ。でも、あの時解いていた数学の問題は、今はもう解けなくなっているから随分と月日が経ったのだと実感できた。

私が編入を志したのは高校生の時。大学にも入学していないのに編入を考ええいたことに驚かれるが、それほど「行きたい研究室」を譲ることはできなかったのだ。

大学受験の一般入試で挑戦して、だめだったら編入でリベンジしよう。それでも報われなかったら大学院で絶対入ってやる。

そんな考えでとにかく一途に憧れの研究室を想ってから2年が経っていた。

無事に編入試験に合格し、なんとか研究室配属に挑戦できる環境をゲットした。しかし、入れないと意味がない。だから、私にとってはようやくスタートラインに立てたという感覚だ。

どうしたら配属戦争に勝てるのか、高校の時から募集要項や体験談を探しては何度も読み返すほど私の想いは強かった。

合格から半年が経とうとしていたある日、研究室のHPが更新されて「共同研究学生募集」のお知らせが載っていた。もしかすると入学前から活動できるかもしれない。連絡しないわけがない、千載一遇のチャンスだと思ってメーラーを開いた。

この記事を書いた後に起こったことをこれから話そうと思う。

連絡をしてから約2週間後、所属する先輩たちとオンラインでお話しすることができた。私の時は2対1で、何を聞かれるのかひやひやしていたけど、知っている名前の先輩たちと喋れるってだけでとても嬉しかった。

自己紹介をして、愛機の紹介をして、どんな感じのことをしているのか。至って普通なことを喋っていた。

本題の研究内容へ。私にとってとても身近なのに研究となると未知数だったテーマである「写真」がどうやって深まっているのかを聞くのがとても楽しみだったから、そういえばカメラってこんな感じだったな、とか写真ってこんなこともできたな、とか新しい知見を得られてとても良かった。

ここからどうやって進んでいくのか、全く検討が出来なくて不安だったけど、他大学の人間なのに面談をしてくれた先輩たちだから大丈夫だと思ってフィフティーフィフティーの不安と期待を胸に面談は終わった。

数日後に一通のメールが来た。

「Slack join 〇〇」

研究室のSlack招待メールがきて、まじ!?と硬直すること3秒。とりあえず相棒のMacBookProを開きSlackに入る。制限のかけられたユーザーだったけど、左上に毎日見ていた「あのロゴ」がある。それだけでとても嬉しかった。

どうやら、私以外にも他大学から連絡した猛者がいたらしい。聞いたことない名前の大学、聞いたことない名前の学部なのは私だけ。ただ、そんなこと関係なしに見てくれるだろうと思って、自分に「普通の大学生だ」と言い聞かせた。

一番興味があった、先生raisedテーマを頂いて、実際にサーベイしてみる。期間は2週間。そのうち質疑応答が1回、進捗報告が1回。

私にとって自分のポテンシャルを発揮するのはここしかないと思った。情報系に編入するのにプログラミングもできなければ理工学の基礎もない。それでも1年弱、学生が研究することに疎遠な弊学で、低学年でも自主研究がしたくて卒研生のゼミに混ざってもがいてきた私なら。もしかしたらサーベイ力や資料作りにおいては勝てるかもしれない。憧れだった研究室でプロジェクトが始まる。私のエンジンがかかった。絶対採択されてやる、そう意気込んでハードスケジュールの中時間を切り詰めた。

Notionで新しいページを作った「進捗管理_DNG」

とにかく少ない情報で、先輩のメモに出てきた単語を調べた。一旦Googleで、そこからACMで、GoogleScholarで、今までの経験を生かしてサーベイをした。ただ、自分が思っていたよりも結果が出なかった。

先輩たちに相談して、調べる観点を整える。またサーベイをして1週間。今度は資料も作った。研究でも仕事でも趣味でもスライド資料を作り続けているから、資料作りだけは経験からの自信があった。

他の人のを見た時、デザインだけは「勝った」と思った。圧倒的に見やすいのは私の資料。いくら内容が進んでいたって、見たいと思わせられないとダメだ。という信条を持っていたから、ちょっと実装に入っている人を見て落ち込まず、私にとっての全力を表現するために頑張った。

進捗報告が終わっても、3日後には先生に発表する。それが今回与えられた2週間のゴールだった。どんな反応をもらえるのか、議論ができるほど調べられているのか。

まとめ資料の納期まで、外出先でもギリギリまで調べ続けた。

納期1時間前、やっと求めていたデータが手に入った。これは「勝った」と思った。私たちが考えていた「理想的な形」に最も近いアウトプットがあったのだ。これをベースに考えれば研究が深められる、そう自信が持てるものだった。

ここまでやり切ったからこそ顔を出してくれたのか、それともドラマチックな展開を待っていたのか。私にはわからないが、出てきてくれてありがとうという気持ちでプレゼン資料を詰めた。

発表当日。あのよく見る顔が、私の目の前に写っている。名前を認知してもらえている、話を聞いてくれている。

資料かわいらしいね、研究材料が圧倒的に面白い、と言ってくれたのがかなり嬉しかった。調べ続けて良かったし、頑張って作って良かった。

私の全力があれなのかよ、しょぼいな。とか思われてそう。それでも私は、かなり限られた時間の中では頑張ったのだ。満足はしていないけど、満足したら負けである。研究は永遠の知的好奇心だ。

プレゼンは上手くいったのかな、難しい話をしていたから先輩たちの会話は理解できなかったけど、ゼミは無事終わった。

次の日、秘書の方から連絡がきて、正式メンバーになる手続きをした。多分、連絡が来て一番早く反応したと思う。1分でも早く、1秒でも早く。とにかく仲間に入れて欲しかった。

そして、ついに夢が叶った。

2021年12月17日
落合陽一先生が主宰する、デジタルネイチャー研究室の共同研究学生になりました。

やっとスタートラインに立てた。私にとって、一番頑張れる環境だと信じている。夢は叶ったけど、これからまた新しい夢に向かって、全力になりたい。というか、なる。

自分がやりたいことなら、いくらでもエンジンがかかるのだ。


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