JR分割民営化で、直通列車は減ったのか。
よく、JR分割民営化の影響として、JR各社間の直通列車が減少したことが問題提起されることはある。
長距離列車
確かに、ブルートレインはサンライズを除いて絶滅しているから、ある意味正しい。しかし、それは寝台列車が時代と共に、普段使いとしての役割を終えつつあることも大きい。
駅前の東横インは数千円で泊まれるわけであり、それならば新幹線でさっさと行って泊まった方が便利だろう。30年違うと、それだけ取り巻く環境も異なる。利用が少なく、代替も揃いつつあるなか、無理に残す意義が少ない。
その新幹線は、各社間を直通する列車が相当数走っている。東海道から山陽、山陽から九州、東北から北海道、北陸新幹線も、どれも会社を跨いで毎日走っている。
在来線
一昔前の、東京から静岡行き、東京から御殿場線山北行きのような、直通列車は確かに減少している。
これは、会社を跨ると面倒ということももちろんあるのだが、それ以上に昨今の系統分離の意味合いの方が強いだろう。
宇都宮から先、黒磯までも、現代では直通列車が存在しない。同じJR東日本であってもそうだ。中央線の箱根ケ崎行きだって現存しない。
北海道〜東日本 新幹線で直通
東日本〜東海 沼津発着(熱海)や飯田線(辰野)、中央西線(塩尻)が直通
東日本〜西日本 北陸新幹線で直通
東海〜西日本 新幹線、高山線(猪谷)、東海道線(米原)、紀勢線(新宮)で直通(特急のみ)
西日本〜四国 瀬戸大橋線(児島)で直通
西日本〜九州 新幹線で直通
このように見ると、分割時に考慮された結果もあり、直通列車はそれほど多くない。
問題点を強いていうなら、熱海の線路の配線が系統分離に向いていないこと(乗り換えに歩かせる)や、猪谷以北がJR西日本として孤立した路線になっていること、児島以北の複線化が進まないことだろうか(これは岡山県の問題でもあるが)。
一番の難点
分割民営化の問題点は多々あるが、今回は直通列車に絞って論じたい。
一番減少した直通列車は「臨時列車」であろう。「増発」はともかく、会社間を跨ぐイベント列車の類は少ない。
えちごトキめき鉄道の「雪月花」が他路線へ出張させることが最近行われているが、このようなイベントをもっと行っても良いのではないだろうか。
10年前の鉄道ファンに聞かせたら100%否定するであろう「ロイヤルエクスプレスの北海道や四国出張」であっても、現実に運転がなされたのである。
例えば、東京から身延までの直通列車とか、東京〜名古屋の中央線完全走破だとか、会社の縛りから解き放たれば、もっとできることがあるはずである。
373系かE257系あたりが妥当だろうが、あんまり保安装置類に詳しくないのは容赦願いたい。ただ、E257系は静岡まで試運転しているので、今以上の直通の余地はあるだろう。
現在、亀山での直通列車が計画されているらしいが、これも期待したい。