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若きウェルテルの悩み

ロクに働きもせずあれやこれやとダメ出しを連発するインテリニート青年ウェルテルの悩みについて、感想。

ウェルテルが若妻シャルロッテに恋慕し、シャルロッテの方でも憎からず思っていることは、シャルロッテの年の離れた夫であるアルベルト&夫妻の使用人達にはもちろん、おそらくは夫妻とウェルテル共通の友人たちにまで公認と思われる。
それがそんなにダメだったらもっと隠すはずであるが、隠している様子が見られない。
妻に恋愛感情と崇拝の気持ちを持つ若者を付かず離れず生殺しの状態で侍らせておくことが、夫婦円満の秘訣としてこの時代・階級の人々の間でわりとあったのではないかと疑ったくらいである。
一線を越えれば不名誉になるが、そこを越えずに人妻が若者を惹き付けているのは夫婦にとってむしろ名誉というか、まあ…けっこうねぇ…?と嫉妬と羨望が入り交じったゴシップとして世間に扱われる程度の事だったのでは。
当の夫婦にも想定内外の葛藤や苦しみが訪れるだろうことは周囲にも分かっていて、それ込みのネタであろう。
人間だもの。
現代人と変わらない。
年上夫公認人妻アカウント・シャルロッテを、世間"も"フォローしていると知らないのは若きウェルテルだけ。
ただしシャルロッテが独身時代にも若者(シャルロッテの父親の部下)を一人潰しているくさいことからも察するに、夫婦のプレイというよりおそらくはシャルロッテが毒婦

不倫NGという世間の規範がウェルテルに内面化していて、その規範によってウェルテルがウェルテル自身を責めているとはとうてい見えない。
人妻を好きになってはいけないという理由でウェルテルが葛藤しているようには見えない。
ウェルテルを悩ませているものは、あくまでシャルロッテの貞淑"ぶり"
シャルロッテが性的嬉しがらせをしてくるにも関わらず、同時に、NGであるかのようにも振る舞うので、ウェルテルは辛いのだ。
シャルロッテがOKならウェルテルも喜んでOKするであろう。
世間で認められない関係を悩むとしたらその後であって、物語は始終それ以前の状態にある。
人妻シャルロッテの右手と左手でぶんぶん振り回される若きウェルテル。

ウェルテルの友人目線で語られるため、まるで男女逆転版『人魚姫』。
早く二人を断ち切らないとウェルテルが死んじゃうと、読者はハラハラ。

皆様ご存知の通り、死んじゃいますけれどね。

年増からは以上です。


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