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呼ばれたので出かけた。夜になお目を忍ぶ金木犀が、なお香る。 徒歩七八分いった先を曲が…
それはいつの汗みずく あれはあの日の汗みずく どんぶらこ どんぶらこと 流れるまいとふん…
闇にまかり出てとどまれず東へ、東へと足は歩いた。黎明に一人きり、透きとおる青みに包まれ…
即、肌、ではなくどうか薄絹を一枚、へだててくださいと、願いは聞かれず通じずに、私は息を…
今日あいつに似たやつを見かけた。 あっちもおれに興味があったみたいだ。 そう、男が女に話…
真珠 山田詠美がファッション誌で「いい女」を指南する書き物をしていた頃、私は怠惰な大…
さて文教のうんぬんなる看板が立つこのあたり、旧帝大の国立大学とその附属小中幼稚園をはじめとし、県下で二位の県立高校、同じく四位の市立高校は自由な校風がウリらしく、工業高校は朝昼夜の三部制で時流らしく、歴史ある文系二流私大と附属高校がそれぞれ二校の計四校、新旧専門学校が三校とあり、ためしにと、あげていくのも疲れる。 一人娘が九歳になるが、さほど教育に興味を持てない俺でも分かる学生街に、俺たち家族の住む小さな家がある。実に小綺麗な、建売りだ。 そして公務員住宅があり、大学や
この世が塵の濃淡でできているのなら、塵を知ればこの世を知る。 なんて、マジで思うだけでは…
盆過ぎの、渡る夜風に笹の匂い、綿あめの匂い、綿あめの、は潰れた銀杏の実の匂い、腐臭は甘…
流されるのも沈むのも、意志でもあるけど縁でもあるかと。 結婚へは流されました。 するわけ…
右に銀杏、左に桜並木の小道に入ると、ほどなくして水路に沿う遊歩道に出る。水が水に落ちる…
恋に落ちてはいそいそと、本を求めた。その人を好きなのか本を読みたいのか分からなかった、…
output つれなき人に操を守りて果敢なく甘き口雪ぐ input 樋口一葉『雪の日』 青空文庫 https…
欧羅巴の物語に見られる意地悪な継母は、実は実母だったという物語は、私には真実【ほんとう】らしく思えた。 苦しいでしょう、と云い母は、少女だった私に着物を着せるとき、ぶかぶかの足袋を履かせた。宜かれという気遣いはありがたくとも、みっともなくて恥ずかしかった。母はそのくせ、胸は和装用ブラジャーなる代物で堅固に封じた。それはウエストニッパーのようで、両サイドはアンダーバストから脇下まで立ち上がり、固く伸びない生地で出来ていた。フロントに連なるホックを閉じて乳房を潰し抑え込んだ