11月4日 【大予言】アメリカ大統領選挙 聖沢庄之助が勝つ!
アメリカ大統領選挙に賑わうアメリカ。4年ぶりに実施された大統領選挙だが、今期はトランプとバイデンが大接戦を繰り広げている。メディアを相手にオブラートに包まない暴言で戦うトランプと、一件穏健に見えるがなーんか怪しいバイデンというカードだが、メディアはとにかくもトランプが嫌いだから、トランプを徹底的に攻撃。メディアVSトランプという構図で大統領選挙が進行していた。
アメリカ国民にとってはどちらが勝つかで後の自分たちの生活が変わってしまう。3億人のアメリカ人が選挙の行方を固唾を呑んで見守っていた。
投票を終えた州から、じわじわと色が付けられる。色が付いた州は、選挙人が獲得されたという証だ。色が塗られていく地図は、現在のアメリカ勢力図を直接示すものだった。
トランプか……。
バイデンか……。
勢力は拮抗にしているように見える。さあどっちだ! 次のアメリカ大統領は誰だ!!
決まった!
ついに決まった!
第46代アメリカ大統領は……
聖澤庄之助だー!!!!
おーっとこの意外な番狂わせにアメリカ中が大パニック! というかそもそもお前誰だよ! 今まで名前も挙がってなかっただろ! いつからいたんだよ!!
聖澤庄之助大統領就任にアメリカ中で暴動が起きる。ありとあらゆる街で暴動が起き、店からは主に家電が盗み出され、フリーメイソンが大通りを阿波踊りをしながら行進し、墓場からゾンビが復活し、大陸をハリケーンが横断し、空を見上げれば未確認飛行物体UFOが乱舞して数十万人が誘拐されて……とにかく大変なことになった!
しかしよくよく考えてみよう。無口な聖澤庄之助には失言らしい失言はなく、バイデンのようなあやしー感じも特にない。
あれ? じゃあ聖澤庄之助でいいんじゃね?
と考えるアメリカ人が一人、また一人と現れ、その思想は混沌溢れるアメリカ中に白熱光の明かりがふわっと広がるかのごとく拡散していった。
聖澤庄之助でいいじゃん。
聖澤庄之助でいこうよ。
大パニックに陥っていたアメリカは間もなく落ち着きを取り戻していき、ダイバーシティ時代らしいお互いを認めようという寛容な精神と笑顔を取り戻していった。その落ち着きが新大統領を尊敬する気持ちに変わるまで、そう長くはかからなかった。
聖澤庄之助大統領万歳!
これこそ新しいアメリカだ!
可能性の国、アメリカだ!
聖澤庄之助! USA! USA! 聖澤庄之助! USA! USA!
日本人とかアメリカ人とか関係ないよ!
聖澤庄之助万歳! アメリカ万歳!
人々がワシントンに集まってきた。あのなんだかわからない(映画でよく見る)塔が立っている広場に集まって、「USA! USA!」と声を合わせた。その熱気で地球温暖化が加速し、さらに地球自転速度が集まり、1日の時間が18時間まで短縮された。あまりにも人々が大騒ぎしたせいで、地球規模の天変地異が起きていた。地球上の熱という熱がアメリカという一つの地域に集中し、だいたい反対側の国ではじわじわと氷河期が始まろうとしていた。
ああ、地球が滅ぼうとしている。なんて人々は愚かなんだろう。どうしてお互いを認めって、殺し合いをやめられないのだろう。
みんなで子猫を愛でれば、争いなんてもう起きないはずなのに。
でも見て。アメリカ人達の温かい笑顔を。
あんなに優しい笑顔、見たことないわ。
あんなに幸福で、穏やかな笑顔、見たことないわ。あれはそう……私にはわかるわ。宇宙が生まれようとしているのよ。
そう、宇宙の誕生であった。人々の熱気が一つの塊となって浮かび上がり、そこに新しい世界が生まれようとしていた。
それこそ新生・アメリカ――後の歴史家が語る聖澤庄之助ワールドだ。新大陸アメリカはさらに新しい新世界への扉を開けてしまったのだ。
おお、クーシャルポーンドットメイテンメイテンプップップー……。
現代の人々にはまだ早い言葉だが、これは新世界を祝福し、その世界へ旅立った人々の言葉だ。この言葉にどんな意味があるか、私たちはまだ語ることはできない。なぜなら現代のいかなる言葉でも翻訳できない言葉であり、現代人の心に生まれていない感情を示しているからだ。
だが、それでも私は言おう。
おお、スプレマシー。
私は高みへと昇っていく。修行僧が得る解脱も、セックスの恍惚にも勝る、真の精神の高みだ。そこにあるのは、真実である!
ヒョーポッポッポッポーミューテルコーンスイポー……。
それはまさしく歴史が変わる瞬間だった。聖澤庄之助……かつて前例を見ない大統領の出現が全ての切っ掛けになった。彼を信じて集まる人々の体から魂が飛翔し、融合し、人類は次なる世界へとシフトしたのだ!
骨と肉という古い衣を脱ぎ捨てて! 歴史と政治の時代を乗り越えて! 新たな世紀、いや世界が始まったのだ!
人々は歌う。
オーパッキャパラ……
オーパッキャパラ……
UFOを操っていたリトルグレイも大地に下りてきた。彼らの時代も終わったのだ。
カウボーイ達も馬から下りた。馬の時代も終わったのだ。
ゾンビ達が「あーなんか飽きたわ」と言いながら土の下に還っていった。お前らははよ死ね。
アメリカで始まった大行進は大西洋を横断し、日本を地ならしで踏み潰して沈没させ、中国共産党を崩壊させてしまった。左翼なんてもう古いよ。右翼なんて僕らはもう言わないよ。僕たちと一緒になろうよ。
アメリカはそのままチベット仏教も踏み潰し、イスラム教を踏み潰し、全ての宗教を白紙にしてしまった。すべてをゼロに戻してしまった。
3億人で始まった行進はやがて4億人、5億人、6億人と数を増やしていき、世界を横断し、そのまま何度も何度も地球上をぐるぐる回り始めた。釣られて地球自転も一緒にぐるぐる回り始めて、行進をする人々の前では太陽が沈まなくなってしまった。
ああ、なんて壮大な大河なんだろう。
アフリカの雨期に現れる野生動物の行進よりもはるかに壮大で力強いや。
僕たちはこんな恍惚の中でともにいられるなんて、なんて幸福なんだろう。
でもそれも間もなく終わるわ。
見てごらん。人々がずっと地球をぐるぐると回ってしまったから、ほら、バターになってしまっているわ。
ああ、本当だ。地球規模のバターだ。あんなにぐるぐる回ったから仕方ないよね。
でもバターになっていく人々の顔があんなに幸せそう。
あの気持ちをどうやって現そう。
そうかわかったぞ。これが人類保管計画だったんだ。やっとわかったよ、庵野先生。僕たちはやっと庵野先生が言いたかったことが理解できたよ。人類保管計画って、人類がバターになることだったんだね。
人々はバターになって、地上から去ってしまった。
地球は再び元の野生の世界に戻ってしまった。新世界の輝きは失われてしまった。そこに戻ってきたのは、原始の密林。地球は、もう一度生命の誕生をやり直すのだ。
そんな地上にたった一人残されたのが――新アメリカ大統領聖澤庄之助だった。
彼が新しい人類の最初の遺伝子となる。
こうして人類の新しい夜明け、アメリカの新時代が始まったのだった……。
…………。
夜中に唐突に書き始めたのだが、私、大丈夫か?