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5月9日&14日 Xbox Series Xの映像を見たけれども……&PS5実機映像を見た感想
『アサシン クリード ヴァルハラ』ワールドプレミアトレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=I3Cr7HcXxKw&feature=emb_logo
noteの仕様上、YouTube動画の貼り込みができないので、上のリンクから見に行ってね。
5月9日、MicrosoftはInside XBOXにおいて、Xbox Series X映像を公開した。
それをざっと見た雑感なんだけども……映像は確かに凄い。おそらく「レンダリングムービー」ではなく、そのように見える映像もすべて「リアルタイムムービー」なんだろうと思う。そう考えると、一見すると実写映画にしか見えないシーンの数々が、プレイシーンとして表現されることの凄さは間違いなくある。
でも私は「うーん……」といまいちな気持ちになった。というのも、やっていることはその以前のゲーム機でやっていることと大して変わらない。相変わらず破壊と暴力だけ。映像も今までのゲームによくあるようなホラー風のトーンばかり。いっそ、どのゲームも「中二病」っぽいと言って捨ててもいいくらいだ。
私は前から書いているが、ゲームが8K120フレームになるということは、映画の解像度を超えるということだ。映画はいまだに4K24フレームが最大だから、ゲームがそれより一歩先へ行く。でもやっていることは今までのゲームと大して変わらないのなら、なんのための表現力だろうか。
今まで以上に高精細な映像を作り出せるのなら、それを活かした映像表現もあるだろう。人物の表情もフェイシャルキャプチャーでより繊細に表現できるようになったのだから、今までにない人物の機微も表現できるし、演技の奥深さも違うレベルのものが表現できるようになるはずだ。
でもゲームのやっていることは結局のところ今までと大して変わらない。破壊と暴力ばかり。いっそ、そういう発想は捨て去って、今まで誰も表現していないドラマを持った作品を制作したらどうだろうか。映画の世界ではよく描かれていたようなもっと静かで奥深いドラマの表現であるとか……ゲームであまり表現されていない、今までのゲーム機ではできなかったような表現とか、探せば一杯あるはずだ。そういったものを表現したゲームを見てみたい。
続いて、PS5実機映像の話。
→ファミ通.COM:Unreal Engine 5の詳細をEpic Gamesが公開。PS5のリアルタイムデモを用いてふたつの新しいコア技術をプレビュー。フルリリースは2021年後半に
Unreal Engine 5 Revealed! | Next-Gen Real-Time Demo Running on PlayStation 5
要するに「PS5ではこういうものが表現できますよ~」というムービー。なかなかインパクトが凄い。
映画用に作られたアセットを、そのままダウングレードせず、PS5に放り込むことができるという。1つの画面の中に数十億ポリゴンがポンと表現され、おそらくはノーローディング。しかも光源なとリアルタイムで変えられるし、地形の変化もやはりリアルタイムに表現できる。映像では崩れやすい砂の塊がゴロゴロ転がっていくところが表現され、そこに足を乗せて歩く様子を、「シュールの谷(※)」を挟まずに表現した。
しかもこれらの映像が8Kで描画されると明言された。今までは「8Kはできるけど、パフォーマンスが最大になるのは4K」という説明を聞いていたが、8Kでも余裕でいけるようだ。
(ただPSは初代の頃からデモやカタログスペックは凄いけど、実際は……ということはよくあることだから、期待値は少し下げ気味のほうがいいかもしれない)
※ シュールの谷……ゲーム中によく起きがちな奇妙な表現のこと。見えない壁を前に走ったり、瀕死の状態なのにドリンク一杯で回復したり、剣の先が壁にめり込んだり……。「不気味の谷」の「表現」版といったところ。このワード、流行らないかな……。
映画用に作られたアセットがそのまま使えるということは、例えば映画が制作され、その映画制作に使用したCGアセットがそのままゲームの世界に持ち込めるということ。「映画で見たあのシーンが、ゲームの世界で自由自在に動き回れる」と考えるとなかなか感動するかもしれない。これからはハリウッドで制作された映画のCGセットがそのままゲームの方へコピペしてくる流れが流行るかもしれない。
CGだけでなく、セットなんかも最近は(後でエフェクトを足すために)3Dスキャンされるはずだから、CG背景やCGキャラクターだけではなく、セットもそのままのものがゲームに持ってくることができる。
コピペするというと手抜きっぽく思われるかもしれないが、映画に描かれた舞台そのままのものを探索できるわけだ。例えば映画『スターウォーズ』で制作されたCGセットをそっくりそのままゲームのほうに持ってきて、ゲーム内フォトモードで映画中の画を再現できる……とかあったらそれだけで欲しいという人もいるだろう。しかもゲームは8Kなので、映画で見るよりディテールを細かくチェックできる。
いっそ、そういう前提として作られる映画も今後出てくるかもしれない。映画のCGはそれ単体で使い捨て、ではなく、これからはゲームで使用することも前提で……となるだろうか。同じアセットを使えるなら、映画制作とゲーム制作が同時進行……という作り方もあり得ないものではなくなるかもしれない。当然、映画に出演した俳優もそのままゲームにも出演してもらう。
(映画中のセットをただ巡り歩くだけの「映画セット見学ツアー」みたいな立体設定資料みたいなゲームとか……もちろん解説付きのね。それはさすがにないか。私は興味あるけど)
気になったのが出てくるキャラクターの顔だが、ここだけがアニメっぽい。まあテスト映像だから。今後は、実写俳優の顔を取り込んで、芝居もそのまま取り込んで、というのが標準になっていくだろう。デザイナーが空想で作り出したキャラクターの顔なんて限界があるし、ここまで映像がリアルになっていくなら、実在の俳優の顔を取り込んで、芝居もそのまま取り込んだ方が手っ取り早く確実にクオリティアップが望める。
今では「実在俳優をスキャンして」というゲームは少ないから珍しがられてニュースになりがちだけど、今後は増えていくだろう。ゲームメディアでも、「あのハリウッド俳優がゲーム出演」という記事が増えていくだろう。かつて「CGに役者の仕事をとられる」と言われた時代もあったが、実際はその逆。ゲームのおかげで役者の仕事が増える時代が来る。
と、PS5実機映像でこういった映像が可能だということは、たぶんXbox Series Xでも可能なんじゃないかと思う。どちらもAMD提供の技術で、発売時期が一緒で、カスタムが違うだけという代物ですから……。
ちょっと変な想像をするが……ローンチタイトルがPS5とXbox Series X、ほぼ同じだったらどうしよう。「PS5版、Xbox Series X版、どちらでも発売されます!」……という宣伝を行うメーカーはきっとあるだろうし。ローンチタイトルがどれだけ被るかもちょっと楽しみにしておこう。とりあえず『アサシンクリードヴァルハラ』はPS5でも登場するはずだし。
→4Gemer:西川善司の3DGE:PS5のスペック予想はいくつ当たったか? CPUとGPUは予想どおりだが,最も意外なのはPrimitive Shaderの採用
PS5とXbox Series Xの類似点はこちらにまとめられています。
ゲームの表現がここまでくると、ゲームの付き合いかたって、少し変わるんじゃないか……という気がしてくる。まだ時代がそこまで行ってないけれども。今までのようなテレビの前に座り、コントローラーを握ってアクティブにアクションする、というだけがゲームじゃない。
前にもちらっと話したけれども……例えばの話。家の壁一面がモニターになっている。その向こうにも空間が表現されているが、ぱっと見にはこちら側向こう側が地続きになっていて、境界がわからない。んで、カメラでこちら側の存在を察知しているから、あちら側の住人であるキャラクターがこちら側に向かって手を振ったり、声をかけてきたりする。そんなSFみたいなシーンも、そろそろ現実的に可能になってきた。
テレビといえばフレームがあって壁際に設置する、という形は昭和の時代から変わってないが、それもそろそろ変わるかな、という気がしている。これまでテレビといえば一番に「テレビ番組を受像するもの」という概念だったが、これも「それも一部の機能」に過ぎなくなり、というか「テレビ番組受像機」としての地位はもっと格下になり(もうすでにテレビ番組を見ていない、という人も多かろう)、ゲームも現代のようないかにもゲームばかりじゃなく、インタラクティブにこちら側とあちら側が交流するものになっていくんじゃないかな……。もはやゲームかどうかもわからない。それくらいに日常に溶けていくかな……みたいに考えている。
これももうちょっと未来の話だけれども。
ゲームの話に戻ると、ゲームももはや「いかにもCGでござい」という感じではなくなってきた。実写かどうかの区別が付かなくなってきたし、おそらくは映画俳優もどんどんこっちの側に来て客観的には「ゲームで遊んでいる」というふうには見えなくなっていくのだろう。『デトロイト』というゲームがあるが、あのゲームよりもっと自然にゲームの世界、物語の世界に干渉し、プレイヤーの心情がその世界に溶けていくような一体感が表現されるだろう。それこそ客観的には「ゲームで遊んでいる」という映像ではなくなり、一本のリニアな映画を見ている……という感じに。
ゲームのグレードは上がっていくし、そうすると社会的な立ち位置も変わっていく。特に映画俳優のゲーム出演が続くようになっていくと、一般メディアのゲーム観も変わるだろう。
(それを目論見として、宣伝として映画俳優やアイドルをゲーム出演させる……ということも増えるだろう。アイドルの演技力問題? 顔だけ提供してもらって、あとは芝居ができる人にパフォーマンスキャプチャーしてもらえばいいよ。声は声優で。一般マスコミはモーションアクターとか認識してないだろうし、説明しても理解もできないだろうから、そこまで突っ込んで情報を出さなくてもいいでしょう)
PS5とXbox Series Xはそういう時代への変わり目になるかも……という気がするから、ちゃんと購入して、今後の時代がどのように変化していくか、を確認していきたい。
そうそう、任天堂のNintendo Switch。前から「根本的に客層が違う」と言われていた、実は競合もしていない、と言われていた任天堂ゲームだが、ここから“分化”が見える形で進んでいくかもしれない。
映画映像との継ぎ目が消えていくPS5と、古典的な“遊ぶためのゲーム機”という立ち位置を守り続ける任天堂と。すでにだいぶ違う路線を持っているが(見た目として形が全く違う)、これからはよりはっきりと違うものへと進んでいくのだと思う。
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