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大人の学校と青春「世界青年の船」パート1

2025年1月24日(金)から2月22日(土)までの約1カ月間、日本代表メンバーの一員として内閣府国際交流事業『世界青年の船(SWY)』に参加し、無事にプログラムを修了しました。

SWYでは、多くの経験や気づき、学び、そして苦悩を得るとともに、自身のリーダーシップ像について内省する貴重な時間と機会となりました。プログラムを終えた今、SWYでの経験や参加前に立てた目標を振り返り、SWYを経て変化した自身の考えを整理したいと思います。そこで、本投稿をパート1とパート2に分け、今回はパート1としてSWYへの印象や私が掲げた目標を振り返りながら、全体の総括をしたいと思います。

SWYを一言で表すなら、「大人の学校と青春」

約1か月にわたる陸上・船上プログラムを通じて、文字通り24時間、約200名の13か国の参加青年や管理部員などと寝食を共にしました。外界との接触がほぼ断たれた環境の中で、それぞれが何かしらの目標や想いを持ち、SWY公式の催し・イベントや自主的な活動に取り組むことで生まれた濃密な時間は、まさに「第二の青春」と呼べるものだったと振り返って感じます。

特に印象的だったのは、ナショナルプレゼンテーション(NP)のために、日本人参加青年全員でソーラン節を練習したことです。十数年ぶりに踊るソーラン節に懐かしさを感じながら練習した時間は、「青春してるな~」と青臭い感情が生まれました。

(ちなみに、「大人の学校」という表現は、島根県の活動報告の際に聞いた言葉ですが、私自身も深く共感し、この表現を使わせてもらいました。)

ナショナルプレゼンテーション(NP):音楽・ダンス・寸劇・ビデオ・プレゼンテーションなどを通じて、各国の伝統、文化、歴史などの特徴、また現在の国の現状を伝える公式的なプログラム。

The Ship for World Youth program 2025 Handbook

大人の学校で学んだ2つの気づき

この「大人の学校」を通じて、私が深く痛感し、考えたことは大きく2つあります。

  1. 国を代表する意味と国際社会でのリーダー像

  2. 自身のリーダーシップ像

私にとってSWYの1か月は、「リーダー像」と「リーダーシップ像」について模索する時間でした。(一見、同じ意味に思えるかもしれませんが、SWYを通じて、私はこの二つを異なる概念として捉えるようになりました。)

次の投稿では 「2. 自身のリーダーシップ像」 について詳しく触れますが、本稿ではプログラム全体の総括として、 「1. 国を代表する意味と国際社会でのリーダー像」 について考えたことを記します。

代表団としての意味

各国の代表メンバーのことをデリゲーション(代表団)と呼ぶんですけど、正直なところ、私はSWYに参加する前も、そして参加してすぐの頃も、日本代表団の一員であるという強い自覚を持っていたわけではありません。しかし、ナショナルプレゼンテーション(NP)を通じて、「国を代表して自国を紹介する」ということの重要性を考えるきっかけを得ました。

各国の代表団の青年たちは、普段は友人として接していたときとは異なる真剣な表情で、時にユーモアを交えながらも、祖国の文化や歴史を熱意を持って紹介していました。その姿を見て、「私たちが国の顔なのだ」と強く実感しました。

これまで留学を経験して海外で暮らしたことはありましたが、「国際的な環境の中で、日本を代表して何かを伝える・表現する」という経験はありませんでした。しかし、今回のNPを通じて、「日本人として何かをする」ということの意味の大きさをひしひしと感じるようになりました。

「国の顔」としての責任を実感した瞬間

特に印象に残っているのは、スリランカの代表団がNPで国歌を歌ったときのことです。その姿を見て、「私は故郷である日本について真剣に考えたことがあっただろうか?」と、自問せざるを得ませんでした。

さらに、オマーンのナショナルリーダーと話していた際、彼が「私たちの一挙手一投足が国の印象に強く影響する」と言った言葉が強く心に残りました。その瞬間、「国を代表する意識とはこういうことなのか」と、ハッとさせられました。

ナショナル・リーダー(NL)/サブナショナルリーダー(SNL):参加国に1人ずついる、自国の代表団を統率する役割を担う。日本は他の国よりも参加青年が多いため、SNLがいる。

「世界青年の船」Ship for World Youth (SWY) 広報部 Available from https://note.com/swy_lifechanging/n/nad5764271ca4

日本人として、国際社会で何ができるのか

私のCD(CDについては以前のnoteを参照)では、各国の環境保護の取り組みについて議論する機会が多く、そのたびに「日本人である」という意識を強く持ちました。「日本として何ができるのか」、そして「それを世界にどう伝えるのか」を考え続ける時間でした。

このような特殊な環境で過ごす機会を得た私が、今後、国際社会の前線でどのように活躍できるのか――その答えはまだ見つかっていません。しかし、SWYを通じて、少なくとも「国際社会における日本の立ち位置」「国際社会における自分自身の役割」について、より深く考えられるようになりました。

目標の振り返りと評価

まずは私がSWYに参加する前に立てた目標を軽く振り返りたいと思います。

  1. 大学院の学びの最大化=Peer Learning セミナーの満足度評価で5段階中4.4以上・サステナビル経営に関して議論する場の創造

  2. ソーシャルインパクトを目指したビジネスアイデアを考える場を作りたい=ビジネスピッチイベントでの最終発表の際に船の中で一番大きいホールを満席で埋めて発表者が生き生きと発表する場を創る

これを個別ごとに5段階で評価すると、
1. 大学院の学びの最大化(評価: ⭐⭐⭐⭐☆ 4.0)
2. ビジネスアイデアを考える場の創出(評価: ⭐⭐⭐⭐☆ 4.0)

両方とも一定の結果を出すことが出来たのはある程度の満足感は得ることが出来たのかなと思います。
理由として、まず「大学院の学びの最大化」においては、無事に私がPeer Learning セミナー (PLセミナー)を開くことができ、目標であったサスティナブル経営を議論する場の創出でき、「これについて考えたことがなかったけど、今回のセミナーを聞いて今後考えていきたいと思った」という声が上がったのは私たちが頑張ってきた意義があると感じました。また、ほかの参加青年が企画したPLセミナーの状況を踏まえ、1時間という限られた時間の中で私たちのメッセージをどう伝えるかを考え直すためにメンバーとの議論を通じ、柔軟に対応することが出来たのも良かった点だと考えています。また、参加者の満足度レーティングでは平均4.5であり、目標の4.4を超えることが出来ました。
一方で、参加者青年の日々の疲労の蓄積により、自分たちのセミナーに参加する人が少なかったことが悔やまれます。これに関しては私たちがコントロールできないところではありますが、もう少し参加人数が多い状態で満足度レーティングを集計したかったです。しかし、意外なところでオマーン人が「ソーシャルインベストメント」についてのPLセミナーを開いていたためそのセミナーに参加しました。大学院での経験や知識を活かし、ソーシャルインベストメントに関する実務経験やケーススタディを学ぶセミナーに参加したことで、より実践的な視点で自身の知識を深めることができました。また、その分野において彼とのコネクションを築く貴重な機会となり、大きな収穫を得ることができました。

ソーシャルインベストメント (社会的インパクト投資):
社会的事業を展開している企業、組織、ファンド、などに投資することで社会的成果と財務的リターンの両方を獲得すること目指すもの。

経営改善ラボ Available from https://keiei-kaizen.net/social-impact-investment/#toc1

また、2番目の目標に繋がってきますが、ビジネスピッチに参加したアルジェリア人から先日、若者のエンパワメントを支援する職に就いたという嬉しいニュースが届きました。また、ビジネスピッチを主催した私たちに感謝の言葉も綴ってくれていたので、彼との関係性も今後強くなっていくと考えると私が1番目の目標である「学びの最大化」に関してはある一定の効果を生むことができたと言えます。

2番目の目標である「ビジネスアイデアを考える場の創出」に関しては、紆余曲折ありながらもビジネスアイデアを考える環境を創り出すことが出来たとともに、先ほどの嬉しい声が届いたのでこの活動をして良かったと心から言えます。しかし、これも1番目同様、全て良かったかというわけでもなく、活動の内容自体も大きく変わりました。
まず、第一に全8回のミーティング+最終発表プレゼンの日程を全て1日に凝縮させたことです。従来、参加予定であった人々には各回90分のミーティング計8回の参加をお願いしていましたが、いざ船上プログラムが始まると、ミーティングの同時刻に別の活動に参加したい人が多く、ビジネスピッチに参加する人々の中でチームを組む以上、継続的に8回のミーティングに参加できない人が多いと考えた結果、一日の短期集中開催にシフトしました。また、1日の短期集中開催をする以上、事前に私たちがテーマを考えた方が当日の運営の時間短縮などに繋がると考えた結果、事前に私たちでテーマを考えました。そのため、従来の「各チームで何をテーマにしてアイデアを考えるかという合意形成の機会」を無くしてしまったのは悔しいところではあります。
また、一人の運営メンバーに強く依存させてしまったのは申し訳なさと悔しさの感情があります。
彼女自身、起業という領域で活躍していて経験があり、また非常に聡明であるので、ビジネスピッチの企画・運営、司会進行、トラブルに対する対応など、彼女無しでは今回のイベントは開催出来ませんでした。その点で、私自身で司会進行であったり、トラブルに対するアイデアなどでもう少し手伝うことで、メンバー1人に強く依存させてしまったことは無かったのかなと思います。
しかし、その一方で彼女のタスクのこなし方、トラブルへの柔軟な対応を間近で見ていてものすごく勉強になるものが多かったので、これらの経験・学び・悔しさを次に活かしていきたいと思います。また、彼女の思考にまだ追いつけていなかったり、なぜそのような発想が出来たのかと理解できていないところが企画中にあったので今度会った時聞いてみたいと思います。(笑)

とここで、これらの2つのイベントを通じて私自身の良かった点と課題点をまとめることが出来たらなと思います。

自身で作成

もしかしたら、まだ気づけていないだけで良かった点・課題点はあるかもしれませんが、現時点での言語化ができたことで、SWYでの目標の振り返りを通じて私の現在時点を知ることができたのではないかと思います。
(ピッチイベントでの発表の際は、大なり小なり発表者が生き生きと活躍していましたが、観衆をもう少し呼べたかなー。。まぁけどその日ポーランド式のパーティーが同時刻にあったから難しかったかなーーー。。。)

目標の振り替えり2

上記の活動前提の目標とは異なり、

  1. 頭で変に考えずに普段しないようなことをしていきたい

  2. 相手を想った行動を心がける

の2つがまた別の目標として考えていました。これらも少し振り返れたらなと思います。(2に関してはパート2のほうに繋がることであるのでそこで言及します。)

目標に関して振り返ると、特に1の目標について、自分でも驚くべき体験がありました。それは、フェアウェルパーティーの際に感動して涙を流したことです。これまで卒業式や部活の引退、留学中の海外の友人との別れ、感動映画を観ても一度も涙を見せたことがなかった私が、まさか泣くことになるとは思ってもいませんでした。自分自身つまらない奴だなーとか、友人からも半分冗談で「心がない奴だなー」と言われることが多く、それが私なのかなと思っていました。しかし、今回の経験を通じて、自分が普段とは異なる行動を取ることができたことは、心の豊かさを感じる良いきっかけとなり、成長を実感しています。(友人に泣いたことを言うと、冗談だと思いますが、「ついに人の心を取り戻したか」と言われる始末でした。)

パート1のまとめ

以上がSWYの総括をしたパート1です。総じて、私はSWYで自身の目標に対してどんな形でも全力を尽くせたと感じています。その点では後悔はありません。ただ、ここでの課題やもっとできた部分も多々あり、その反省を今後の社会人生活に活かしていきたいと考えています。

個人的には、泣くことができたというのは大きな出来事でした。この経験を通じて、「大人の学校」という言葉の意味を改めて実感しました(笑)。パート2ではリーダーシップについて書いていきたいと思います。SWYでの1ヶ月間、先に挙げた活動だけでなくさまざまな経験をする中で、自分のリーダーシップ像を模索しました。この経験を交えながら、リーダーシップに対する考え方を深めていきたいと思います。

リーダーシップの向上はSWYの主目的の1つでもあるため、次の投稿でSWYが目指していることについてもさらに理解を深めていただけると嬉しいです。それでは、また!!

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