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アプリマーケティングにおける広告IDの制限について

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はじめに

こんにちは!Fantiaマーケターの3号です。
モバイルアプリ業界からの転職で、畑の違いに右往左往することもありますが、これは共通点だなと思っていることがひとつ。

それは
ユーザーのプライバシーを守るために、データに関する制限が厳しくなってきている
こと。

今回はアプリマーケティングにおけるプライバシー規制。中でも広告IDの制限について備忘録としてまとめられればと思います。

移り変わりの激しい業界ですので、今となっては古い情報かもしれないこと、ご留意くださいませ。


そもそも広告IDって何?

スマートフォンに付属するユニークなIDです。リセットすることができますが、持っていない状態になることはできません。

多くのアプリ広告ではこの広告IDを使用してユーザーデータを取得しております。
ターゲティングからデータ分析まで、広告のあらゆるところで使用されているIDとご認識いただければOKです!

ちなみにですがOSごとに呼び方があって
iOSはIDFA(Identifier for Advertisers)
AndroidはAAIDまたはGAID(Google Advertising Identifier)
となっております。

ID制限の歴史

かなりざっくりですが、以下のような変遷を辿っています。

~2011 端末IDを使用したアプリマーケティング
2011年ごろ 端末IDの制限
2011年ごろ 広告IDへの移行
2021年春頃 iOSにて広告IDの制限
2024年まで予定Androidにて広告IDの廃止

制限の理由は様々ありますが、各国が法整備を進めた点が大きいと考えられます。
以下はEU、アメリカ、日本における、広告IDに関する法律の変遷です。

2018年5月 GDPR(EU一般データ保護規則)
2018年6月 カリフォルニア州消費者保護法(CCPA)
2022年4月 改正個人情報保護法(→個人関連情報概念の誕生)
2023年6月 改正電気通信事業法(→3rdパーティクッキーの制限)

ここ数年で大きく変わっていることが伺えます。

なぜIDを制限するのか?

・個人情報保護のため

端末IDは変更やリセットができません。
スマートフォンは1人1台を持つことが一般的です。
つまりその端末を特定することは、個人を特定することに繋がります。

端末IDの利用が制限されるのも納得です。

広告IDに関しては、ユーザーが任意でリセットできる点や端末データは匿名化されているため問題ないとされていました。

しかし様々な手法、クロストラッキングで個人特定ができるのではとの懸念から、各国の制限に引っかかる(あるいは各国が制限の対象とする)ことになりました。

スマートフォンはインフラとも呼ばれる時代だからこそ、個人情報保護のために制限が必要になったのです。

ブランディングのため

AppleはiOS14.5が出て以降「ユーザーのプライバシーを守ります」といったプロモーションを積極的に行っています。

こちらのCMを見た方もいらっしゃるのではないでしょうか?

iOSはAndroidに先駆けて広告IDの制限に乗り出しました。
ユーザープライバシーを守ることを、上手にブランディングに活用している印象です。

ID制限によるデメリットはあるの?

さて、広告IDが制限されることによって、私たちにデメリットはあるのでしょうか?

以下は所感も含みますが、主に広告を見る側を「ユーザー」、配信する側を「広告主」として、デメリットを挙げていきます。

ユーザー側:

そんなにないです!笑
デメリットを挙げていきますと書いた手前、なにか挙げるべきなのですが…正直これといってという…。

強いていうなら、広告IDを使用したターゲティングが崩れるので、趣味に合わない広告が出るかも、というくらい。

ただこちらは「趣味に合わない広告が出る鬱陶しさ」VS「趣味に合う広告が出てくる不快感」のどちらを取るかの話になります。

広告主側:

・ターゲティング精度が落ちるため広告効果も落ちる
・取得できる情報が減るためデータ分析に影響が出る
・レポーティングのコストが増える

ざっと並べましたが要するに、広告配信にも広告成果分析にも広告費にも悪い影響がたくさんあってやってらんないぜ〜😭 といった感じです。

こちらは余談ですが、もちろん広告面を持つ企業や、広告IDというビッグデータを元にしたビジネスを行っている企業に対する影響もありました。

ID制限に対しての個人的な感想

実務への影響が大きかった

私はやってらんないぜ〜側の人間ですので、ありとあらゆるところに影響がありました。

とくにリターゲティング広告への影響が凄まじく、CVRがとんでもなく下がりました。
実際自社アプリのオプトイン率は2割弱だったので、広告面を持つアプリのオプトインと重複する部分はもっと低かったと思います。

情報を扱う上での安心は得た

企業的には困ると思いますが、担当者個人としてよかったこともあります。
ユーザーの個人情報の取り扱いが減り、ストレスが減ったことです。

業務では、この広告IDのユーザーが〇〇という機種を使っていて、OSバージョンはこれで、住んでいる地域は…とかなりパーソナルな情報を取得しておりました。
自動的に取得されてしまうとはいえ、前職では使わない情報がほとんどでした。
アクセス権限や情報の保存場所、見たくないのに見えてしまう…といった状態は、とてもストレスになっていました。

プラットフォームへの不信感を持った

プライバシー保護をうたう、法に従う点は問題ないです。
むしろ上で申し上げた通り、個人的にはヤッタ〜の気持ちでした。

ただAppleとGoogleに関しては、プラットフォームの強みを活かした抜け道を持っています。これは明らかな矛盾です。

たとえば、Appleが持つ広告面のAppleSearchAdsは、広告の計測にAppleIDを使用しています。
Googleはいわずもがな大手広告企業ですし、ChromeもYouTubeもGoogleIDでのログインを求められる場面が多いです。

他社のデータ利用を「プライバシー保護」の旗印の元に著しく制限しながら、自社はデータを存分に活用しているのでは?という不信感を持つようになりました。

おわりに

自分の振り返りとWebの学習を兼ねて調べていたのですが、クッキー規制とほぼ同じ経緯を辿っていることに気がつきました。(法整備されているので当然なのですが。)

アプリにしろWebにしろ、プライバシー保護に基づくデータ制限は続くと考えられます。

規制と対策がいたちごっこになっていくため、1つの方法に依存しない計測が求められています。
適応できるよう、日々知識をアップデートしていければと思います。

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参考