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【からり】

からり

冬の風

喉奥をこする

乾いて 熱い

言葉を奪う 口の乾きに

ほぐすようにぺりぺりと

舌先でかすれた潤いを与える

カホッ コホッ

恨めし気に神を睨む

咳き込む生命の苦しみは 

私の声だった

強張る身体を自嘲で解けば

「私の言葉と同じだな」

そうこぼれた

インクの足りない 鈍い音だった

ガラスから差し込むオレンジ色は

人の帰りを待つ事だろう

しかし私には 心許ない灯火

筆のいく先を不安気に見せる

閉ざされた部屋で

言葉を打つ

聴こえてくる 冷えた青色の情熱

私を嘲るのは 

他でもない

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