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橋本絵莉子の『やさしい指揮者』を聴いて考える、ツネちゃん(Hi-STANDARD)が叩くカウントについて。
元チャットモンチーのえっちゃんこと橋本絵莉子の最新ソロアルバム『街よ街よ』に収録されている『やさしい指揮者』。
この曲にはハイスタのツネちゃん(恒岡章)のドラムの音が使用されている。
まさに『やさしい指揮者』のごとく、ツネちゃんの穏やかで寄り添うようなやさしいビートを聴くことができる。
ツネちゃんはチャットモンチー時代からソロまでえっちゃんのサポートドラマーを長年務めていて、本作にも参加予定だったそう。
その辺りのいきさつはアルバムの特設サイトに載ってるえっちゃんのインタビューで語られているため詳細はそちらをどうぞ。
でね、この曲。ツネちゃんのドラムの音もさることながら、曲中「1 2 3 4」とカウントするえっちゃんとコーラスするバンド全員の声が、自分でもちょっとびっくりするぐらい泣けてきちゃって。
カウントしてる時間の豊かさ
いままさにバンドが演奏を始めんとする寸前の、曲の始まりの合図である「1 2 3 4」のカウント。
この、カウントしてるほんの1〜2秒、ってじつはとても豊かな瞬間なんだよね。いままさに産みだされようとする胎児の鼓動を聴いてるような感覚。
「1 2 3 4」のカウントで、バンド全員が同じベクトルに意識を向けて息を合わせる。
リスナー全員が今まさに鳴らされようとする音に向けて全神経を集中させる。
このように鳴らされようとする音を求めるすべての人の意識やバイブスが、このカウントしてる瞬間に集約されて、うっすら神聖な感覚もあったり。
ちょっと話逸れるけど、カウントといえばユニコーンが再結成した時に出演したミュージックステーションが忘れがたい。全員でカウントして演奏を始め、全員でカウントして演奏を締めてるのが、もうむちゃくちゃグッとくる。
ちなみにビートルズやラモーンズみたいに、フロントマンが「1 2 3 4」と声でカウントする場合や、ドラマーが2本のスティック同士を打ち鳴らしたり、ハイハットを叩いてカウントするとか色々ある。
そんなふうに考えてると、改めてツネちゃんが叩くハイハットのカウント、めっちゃ好きだわ…、ってジワジワ込み上げてきてしまって…。
というわけで、ツネちゃんが叩くカウントが聴けるハイスタの曲をピックアップしてみた。
ツネちゃんの「1 2 3 4」カウントが聴ける曲
『JUST ROCK』
アルバムの並びだと、1つ前の『Teenagers Are All Assholes』が割とクセ強めな曲で、しかもアウトロなしで終わる。なのでここで一気に流れを変える、余韻をあえてぶった斬るようなファストなカウント。
『Dear My Friend』
なんと(アルバムの並びだと)『JUST ROCK』に続く、ハイハットカウント曲2連発。今となってはツネちゃんそのものというようなオーラを纏った曲に昇華していて、故にこの曲がツネちゃんのカウントから始まるのはもはや必然と思えちゃう。
『KISS ME AGAIN』
これ本当に名曲なのにLIVEで全然演ってくれない曲の筆頭に挙げられるやつ。この曲は森高千里の名曲『私がオバさんになっても』の男版だと思っていて。いわばa.k.a『俺がオジさんになっても』なのね。時間の経過によって物事はすべからく変化していくけど、それでもあなたの気持ちは本当に変わらない?と切実に思う気持ち。時間によって変わるものと変わらないもの(変わってほしくないもの)の対比を歌ってる曲なわけ。
回りくどくなったけど、つまり"刻まれていく時間"という概念がベースにある曲なので、ハイハットのカウントとの相性がとんでもなく良い。しかも、イントロで難波くんが叫ぶ「1 2 3 4」の追いカウントまで聴けちゃう。カウント視点で見ると圧倒的に強い曲。
ちなみに健くんが叫ぶ「1 2 3 4」が聴けるのは『GLORY』。
『THE SOUND OF SECRET MINDS』
そして何よりこの曲。ハイスタの曲でも特に好きな曲なんだけど、なんというか他の曲とは違ってシリアスで内省的な雰囲気があって、凛としてて神聖なものすら感じる。そしてツネちゃんのカウント4発にはそれらの要素が既に含まれてるような気がして、もはやカウントだけで昇天できる。やさしい指揮者ツネちゃんの真骨頂が詰まったカウント4発だと思う。
どうでしょう。改めてカウントにめっちゃ集中して聴くと、その後の曲の鳴り方、聴こえ方も変わりません?
というわけでまさかのツネちゃんの"カウント"だけにフォーカスして興奮するという変態記事でしたw
えっちゃんの最新ソロアルバム『街よ街よ』お勧めです。