漫画『正反対な君と僕』が完結した(泣)ので、作品中に散りばめられたB-BOYイズムについて語りたい
ついに最終回を迎えてしまった『正反対な君と僕』。
いやもう完璧な最終回…泣
『正反対な君と僕』は少年ジャンプ+で連載されていた青春ラブコメ漫画。本日配信の第65話で最終回を迎え、完結致しました。
脱力しながら読めて、他者を受け入れることを学べる作品
『正反対な君と僕』は、高校生たちの日常の学校生活を、コミカルなタッチとテンポでやさしい眼差しをもって描いていて、マジでこの2-3年ずっと推しまくりの癒し作品だった。
少年ジャンプ+だと『チェンソーマン』や『ダンダダン』とかも面白いんだけど、バトルものって読んでて結構しんどくなるというか、とにかく読むのに気合がいる。バトルが終わって次の闘いが始まるまでの合間にある日常のエピソードの方が好きなタチで。バトルはもう終わりにしてこっちの話しがずっと続けば良いのに…と思っちゃうんだよね。
その点『正反対な君と僕』は読むのに気合いなんてものはこれっぽっちもいらない。ダラーっと脱力しながら楽しめて、他者との関わりの中で一歩一歩成長していく登場人物たちを追っていきながら、愛おしさと尊い気持ちで抱きしめたくなってしまうような作品なのだ。
ジャンルでいえば、青春ラブコメということになるが、この作品は決して恋愛そのものにフォーカスしすぎてるわけじゃない。
もっと広範囲に、自分とは違う人間である他者を対等な相手として捉え、受け入れようとすること。違う人間である他者と、わかり合おうとすること。そのことをとても丁寧に描いてる。
時に自問自答したり、時に友人に相談したり、個々に精一杯の真摯さで他者と向き合おうとするティーンの姿が胸を打つ、青春群像漫画なのだ。
この作品には、主なペアが3組いる。1組目は誰とでも仲良くなれる陽キャの鈴木と、一見陰キャな谷くんという真逆な2人のペア。
2組目が鈴木とバイブスがめっちゃ合うこれまた陽キャ男子の山田と、人と話すことが苦手な図書委員のニッシー。
3組目が自意識過剰&ネガティヴ思考だけど周囲のボケに芯食ったツッコミを打ち返しまくる平と、寄ってくる男に自分を安売りしてしまう東のタイラズマペア。
この中でメインキャラクターとしてフューチャーされているのは鈴木・谷ペア。
なんだけど、作品全体を通して2人してそれぞれの根深い個人の悩みにずーっと向き合ってて、3歩進んで2歩下がるを繰り返し、最後にようやくお互いを素直に認め合える関係性になるのが3組目のタイラズマペアなのだ。作品の後半をドライブさせるのは実はこのタイラズマだったりする。2人ともわりと最初の方(第4話)から登場するんだが、どっちも心のどこかで「ここに居ていいんだろうか?」とずっと思ってる。
それだけに最終回1コ前の第64話で、2人が「高校(ここ)…来れてよかったねぇ…」ってわかり合うシーンのカタルシスが、もうどえらいことになってまして…号泣
最後の最後までオマエら…んもぉぉー!!ってハラハラしたり悶々としたり萌え狂わされたりして堪らんかったわ…。
とはいえメインキャラクターの鈴木・谷ペアの最終回にもヤラレた。
ずっと明確になっていなかった、ある疑問が伏線回収されつつ、過去と今がつながって円環の輪が閉じられる。
最終回読んだらすぐまた1話目から読みたくなるし、それでいて大学生になったアイツらの姿もちょっとだけ垣間見れたりもする。もうこれ以上ない見事な結末で、感無量すぎる…。
ちなみにニッシー・山田ペアは、ニッシーめっちゃ応援したくなるけど山田がメチャクチャいい奴だからあの2人まぁ大丈夫w
でね、前置き超長くなったがw、ここからが本題。
散りばめられたB-BOYイズム
この『正反対な君と僕』という作品はB-BOY・B-GIRLイズムがそこかしこに散りばめられているのだ。要するに日本語ラップのリリックを思わせるセリフや、90年代のストリート系ファッション雑誌のBOONとかCOOLとかで取り上げられていそうなスニーカーなんかをちらほら見かけるのだ。
なので日本語ラップ初期から聴いてる40代以上のヘッズにもわりとブッ刺さるんじゃないかと思い、最終回にかこつけてそれらをピックアップしておきたい。
まずは登場人物たちが履いているスニーカー。
鈴木がカラービジュアルで履いてるのはNIKE エアバラージ。
山田がニッシーとのデート時に履いてるのはNIKE エアレイド。
で、実は東もこれの色違いをよく履いている。
更に、ずまちん(東)はNIKE モアアップテンポもたまに履いている。
次に日本語ラップのリリックを思わせるセリフ。
まず鈴木と山田の掛け合い。これレペゼン地球の『お前へ』のリリック。
鈴木と山田の掛け合いはまだあって、これはキングギドラの『公開処刑』のリリック。
次に、図書室でナベが谷にいろいろ教えてもらって咄嗟に言うこのセリフ。ちょっとだけ単語が異なるものの、おそらくスチャダラパーの『彼方からの手紙』のリリックからインスパイアされてそう。
あとHIP HOPじゃないんだけど、日本語ラップのパイオニア・RHYMESTERと縁が深いPerfumeも。
こういうちょっとしたとこに紛れてるB-BOY・B-GIRLイズムを発見してニヤっとするのもこの作品の楽しみの一つなのだ。ぜひ日本語ラップやHIP HOPカルチャーどっぷりなヘッズたちにも一気読みしていただきたい。
あーそれにしても、本当に終わっちゃったのか。こりゃマジでしばらくロスだな…。終わったばっかりなのにもうアイツらにまた会いたくて仕方ねぇっす… 号泣