
KEN YOKOYAMA w/HONEST The Golden Age Of Punk Rock Tour @渋谷CLUB QUATTRO 思い出を上書きしていくPunk Rock!
KEN YOKOYAMA がリリースした、90's Punk Rockをピックアップするというコンセプトのカバーアルバム『The Golden Age Of Punk Rock』。このタイトルを冠したツアーが10/21、渋谷クラブクアトロ公演からいよいよスタート!
90年代にHi-STANDARDを筆頭にこの手の音楽を聴き漁ってきた人間にとって、今回のカバーアルバムはもう宝物みたいなもんで。そんな輝く楽曲たちを音源だけじゃなくLiveで喰らいたい!という想いで、おしゃれタウン渋谷にノコノコと出かけてきた。
個人的な話になるが、渋谷クラブクアトロというハコにやって来たのはもうかなり前、2005年だった。SNUFFのDuncanのサイドプロジェクトであるBily No Matesの日本ツアーのクアトロ公演を見に来た時以来。Bily No Matesはツアーを周るその国ごとにバンド編成が変わる。日本ではキーボードがニール&イライザの堀江博久、ベースがex.UPPERのYUYA、ギターがex.SLIME BALL、REACH、SHERBETの渡辺誠、そしてもう1人のギターが、本日の主役でもある横山健であった。

あれ以来、再びクアトロでKenくんが見られるということ自体がもうめちゃくちゃ楽しみで、この日を今か今かと待ち侘びておりました。
※尚、完全に記憶だけで書いてるんでMCの内容とかはあくまでニュアンスということで。
オープニングアクトはPIZZA OF DEATHの超新星スリーピースバンド、名古屋のHONEST!
今回のツアーTシャツをお揃いで着用している健気な3人。その健気さそのまま真摯なバイブスのド直球なメロデックパンクを鳴らす。
個人的にここ最近ずっと受験生の娘や息子と一緒に色々な学校の文化祭に行ってて、学生たちの軽音部のLiveばっかり見てたせいもあって、この3人演奏むちゃくちゃ上手っ!!!って感心してしまった。プロはやっぱり違う(学生たちのつたない演奏も、あれはあれで好きだよもちろん)。
中盤に「新曲です」と演奏された『One More Time』という曲がまぁ良かった。新曲をLIVEでやる場合って、オーディエンスが聴き入ってしまって落ち着きがちで。でもこの曲は一聴してすぐ覚えられるキャッチーでグッドメロディなミディアムナンバーなので、オーディエンスも想い想いにハンズアップで応える。この曲は音源化されるのがとても楽しみ。
この曲含めミディアムテンポの曲を2-3曲ほど中盤にたたみかけて
「Punk Rockは速けりゃ良いってもんでもないんですよ」
なんて言い放つGt.&Vo.樋口の度胸も大したもん。さらに終盤、
「ぼくは健さんに憧れてこのバンドを始めました!」
なんて言われたら、もう応援しないわけにはいかないじゃないか。とりあえずはよ新曲の音源化希望。
続いてセット転換を経て今宵の主役、KEN YOKOYAMA。

FATBOY SLIMの『The Rockafeller Skank』がSEで流れるステージに4人が登場。
KenくんはDescendentsの白Tシャツ。EKKUNはHONESTの3人と同じくツアーT。そしてMinamiさんはMisfits、JunさんがDANZIG Tシャツってことで両翼まさかのMisfitsで固めてきた(Glenn DanzigはMisfitsの初代Vo.)!90'sパンク推しかと思いきや70年代からやってるバンドwまぁ個人的にはMisfitsの90年代のアルバムすごい好きだから無理くり90'sで揃えてきたと捉えるけど。
でね、最初に言っちゃうと(これKenくん本人が先日の配信ライブとかインスタとかいろんなとこで言ってるから問題ないと思うんだけど) 、今回のツアーでは、全体の構成を3部構成のような形で組み立てている。前半がKen Bandのオリジナル曲パート。中盤に今回のカバーアルバムからの曲をまとめてやるパート。そして後半再度オリジナル曲パートという流れ。
そのいわゆる前半部分のオリジナル曲パート。これがもういきなりのクライマックス!初っ端から『How Many More Times』で泣かしにかかってくるわ、Ken Bandのテーマソングと言わしめる『Let The Beat Carry On』でHONESTとの対バンの意味や今回のカバーアルバムの意義とリンクさせてくるわ、『4Wheels 9Lives』で場内全員「Yeah!Oh!」の大シンガロングさせられるわ、『Helpless Romantic』でまた泣かされるわ、『Believer』で昇天させられるわで、もう早速このLIVE終わらせにかかってるだろ!?という怒号の勢い。早くもマイクをフロアにバンバン放って煽るし、かと思えばちゃんとケツの穴の話とかしょーもないこと喋ったりもする。この前半パートにKen bandのLiveの荒ぶり具合がギュウっと凝縮されててビビった。
ここで一旦場内暗転。
Beastie Boysの『Sabotage』のSEがフルでかかりきってパッと明かりがつくとそこには「The Golden Age Of Punk Rock」のフラッグ!!!シンプルな演出だがめちゃくちゃアガる!!!(終演後に写真撮ったけど、初日だしあえてUPしない)
こうして今回のツアーの肝である中盤のカバー曲パートがスタート。
あの無条件で鳥肌立っちゃうイントロが鳴らされる。もちろんNOFXの『Stickin’ In My Eye』!本ツアーのカバー曲一発目は当然これでしょうよ!続いてDescendentsの『I’m The One』!
Kenくん:ヤバくね!?カバー曲まとめてやるの失敗だったかもwでもどっちも名曲だから当然か!
オーディエンスの反応が凄まじく思わずこんなことを漏らすKenくん。
EKKUNに「次の曲なに?」と振って、「そんなパターンなかったじゃんw」と戸惑うEKKUNによってコールされたのはSatanic Surfersの『Shoothing』!ゴリゴリに硬派な哀愁サウンド堪らん。
No Use For A Nameの美メロチューン『International You Day』!ただでさえダイバー凄いことになってんのに、この曲で一段と増えてきていやがる!曲終わりに
Tony Fuck'n Slllllllly!!!
と叫ぶKenくん 泣
Kenくん:(ダイバーがとんでもないことになってるのでそれをフロアに押し戻すセキュリティの方々とダイバーとで)
相撲とってるみたいになってるw
セキュリティの方々ありがとう!
毎晩こんなところに来てる人はなんとも思わなくなってるだろうけど、初めて来た人は、一体この人たちは何をやってんだ?って不思議に思うよねw
これはパンクロックです!
Kenくん:次はSKAの曲やるよ。2曲しかないからわかっちゃうな。
ちなみにどっちだと思う?スーサイドマシンだと思う方?レスザンだと思う方?(ややレスザンの方に多めに手が上がる。)
え?なんでレスザンだと思うの?
観客:好きだから!
Kenくん:それはあなたの主観です!あれ?こういうやつ何だっけ?
観客:ひろゆき!それはあなたの感想です!
Kenくん:それだw じゃ、なんでレスザンだと思うの?
観客:好きだから!
Kenくん:それはあなたの感想です(猛爆)
言いたいだけw
答えはLess Than Jakeだった(ちなみに的中)!Mimamiさんもガンガン歌う。ギターをホーンっぽく鳴らすアレンジ生で聴けて震えた。
お次はThe Get Up Kidsの『Holiday』!Ken Bandの鳴らす音にEmo Coreの抒情性が立ち昇る。今までに感じたことない音像。曲終わりにぼそっと「いい曲だ…」って呟くKenくん。
そしてSNUFFの『Too Late』!
この曲聴きながら否応なしに脳裏に浮かんだのは冒頭に触れた19年前のBily No MatesのLive。あの日もDuncanとKenくんはこの曲を演奏してくれた。中3の時にHi-STANDARDとSNUFFを同じ日に知って、以来同じくらいに愛おしく思いながら聴き貪ってきたこの2バンドの2人が一緒に演奏した『Too Late』。再びここクアトロでKen Bandが奏でる『Too Late』を聴きながらその時のことを鮮明に思い出していた。
Kenくん:みんなの喜んでる表情見てたらこのアルバム作って良かったなぁ〜と本当に思ったよ。
このアルバムでピックアップした16バンドのうち現存してるバンドはまだ14もある。
そのバンドが今度来日したら是非ライブに行ってくれ。それでやっぱ本家がいいなと思ったら俺たちはそれで全然いいから。
更新されることがない思い出を、上書きしてくれよな。
『Too Late』の思い出がたった今まさしく更新された事実と、Kenくんのこの言葉がシンクロして、とても不思議な感覚におそわれた。
カバー曲パート、オーラスのLAG WAGON『May16』の切ないメロディ聴きながら、なんだかもうとにかく胸が一杯になって、エモくて、ただただ泣けた。
…
…
…
カバー曲パートが感無量すぎて、後半こっからのオリジナル曲パートは、もはやボーナスステージみたいなもん。
急遽リクエストで演ってくれた『Pressure Drop』のピースフル感、『Parasites』のNOFXをいつだってリスペクトせずにはいられない感、『Still I Got To Fight』の野郎くささ全開感、『Punk Rock Dream』の今宵を全て象徴してる感、『These Magic Words』の絶対の安心感。
ずーっとロングアンコールのフィーバー状態。
Kenくん:現在も過去もごちゃまぜにして、こうして演奏できるっていいな。
さて、もう一曲聴いてくかい?
もちろん大歓声で応えるオーディエンスの反応に、「よし!」って嬉しそうな表情を見せるからたまんない。ビビッドに反応確かめて、演りたいと心底思って演ってくれるPunk Rock。予定調和のアンコールでは味わうことのできない、演者と観客双方による至福の交歓。
『I Won't Turn Off My Radio』!暗がりのステージ後方からスポットライトが当たって神々しく浮かび上がるKenくん。最高かよ。でもラストにサビを皆でリピートするとこで、青白い光がオーディエンス側にも当てられる。この空間、この光景こそが神々しく浮かび上がる。いやマジで最高かよ。
客電点いてからも1人でしばらくステージ上に残り、ピック投げ切った後もオーディエンスに両手でサムアップ、そして深々とお辞儀するKenくん。場内から惜しみない拍手が送られ続ける中、そのまま下手にはけてツアー初日公演終了となった。
ツアー初日のステージ喰らって強く感じたのは、Ken Bandの4人からからダダ漏れしちゃってる90s Punk Rockへのどこまでも深いリスペクトや愛情の発露だった。
前半はいつも通りというか、いつも以上にひっちゃかめっちゃかと濃いKen Bandの Liveなんだけと、中盤のカバー曲コーナーが始まると雰囲気が一変する。普段以上に楽しそうに、大事そうに、一心不乱にひとつひとつの名曲をプレイする。歌も歌詞を絶対飛ばさない。マイクをフロアに放るなんてこともしないし、下ネタだってない。まじりっ気のない純粋なPunk Rockに対する慈愛だけが溢れている、神聖な空間と時間。その慈愛は、Punk Rockばっかり聴いて育った我々観客を全肯定してくれるかのように包みこんでくれていた。
クアトロからの帰り道、渋谷の駅に向かう道すがら。ディスクユニオン渋谷店の前を通るじゃない。
あそこもう何年も行ってないけど、学生時代は毎月のようにバイト代握りしめて中古Punk RockレコードやCDをディグってジャケ買いしてた。そのぶん流行りの曲なんてなんも知らないから、皆とカラオケ行っても一緒に盛り上がれず、歌える曲といったらゆずの『夏色』ぐらいしかなくて肩身が狭かったあの頃。
それでも自分の好きなものをずっと信じてたからこそ、こうしてPunk Rock Heroが珠玉のPunk Rockを奏でてくれて、思い出を上書きしてくれる瞬間に立ち会えた。あの頃の自分に
「It's Alright!It's gonna be OK!」
って大真面目に胸張って言ってやりたい。
はたから見たらわけのわからんことやってたって、それを全肯定してくれる。いつだって思い出を上書きしてくれる。
これがPunk Rockなのだ!
ありがとうKen Yokoyama!
あぁExtraツアーも行きてぇぇぇぇぇ!!!
↓ 帰り道のセンター街にて、ABCマートのシャッターに描かれたTM Paintさん(今回のアルバムジャケを手がけたイラストレーター)のグラフィティアートを発見!

