6日目-夢って何?-
クラゲ娘の直近の課題は、通信制高校の願書に添付する作文。
課題は「将来の夢」
ふと思った。
彼女に「夢」なんてものはあるのか?と。
「夢」なんてものがあるのかい?
彼女の頭の中にあるのはいつも壮大な世界が広がっていて、「夢」なんて、おもちゃ箱にありそうな、わかりやすいかわいいものではない。
いつだって大真面目に国レベルでしか解決できなさそうなスケールの大きいことを考えているのだ。
で、尋ねてみた。
母「そもそも夢なんてあるの?」
ク「そぉーなのよ。ないの。
『看護婦さーん』とかそういうの無いの。
みんな夢って言うと、職業でしょ?」
母「じゃ、あなたの夢って何よ?」
ク「人としてどうあるべきか?とかどう生きるか?だよ」
母「だよね~ほんとビッグスケールだよね」
ク「じゃあさ。大人の夢って何さ」
母「・・・・どう生きるか、だね」
ク「でしょう。私はもうそこなの!」
そうなんですか・・・・
頭の中が先に大人になっていたって話を分かりやすく言うと・・・
ここから彼女の恒例の演説が始まります。
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私って、生まれつき頭の中が大人なわけじゃない?
(彼女が小さいころから生きにくかったのは、なぜか小さいときからすでに道徳心とか理性とかが頭の中にあり、周りの子の年相応の振る舞いが理解できなかったってとこから、そういうことかな、という親子の共通認識)
頭の中が大人なんて話をしても、周りの人にそんな非現実的なこと、理解してもらえないでしょ。
だから、それを現実的なものに変換して、私は人より脳の容量が多いとか吸収力がスゴイってことにしようと思って。
つまり、人より成長スピードが速いってことになるのかなと思って。
みんながボヤっとしている間に私は、みんなが考えるレベルの夢について考えたし、
みんなが夢について考えている今は、私は人としてどうあるべきかを考えているってこと。
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なんだそうだ。
周りの人に理解してもらえない、ということは説明が難しい、ということ
今回、学校をやめるにあたって、中学1年から関わってきてくれた学年主任の先生にまずお話に行った。
うちの娘、高校に入ってからは、特待という縛りがなくなり、出席日数ギリギリまで休んでいた。
2年生になってからは、休むよりは遅刻の方がいいということで、重役出勤は当たり前。
そして、授業中は寝てばかり。
母「もうすでにうすうすお気づきのこととは思うのですが…学校をやめることにしました」
先生「!!!!(頭真っ白)」
まったく気づいていなかったそうです。
心から驚いて、何も言えなくなっていました。
成績も悪くない、生徒会も一生懸命やっていたし、ましてや文化祭のリーダーとしてものすごい活動をしている。
そんな子がやめようとしているなんて想像すらしていなかったのだそうだ。
それからやめるまでの数日、担任の先生から、理由を聞かれたりしたわけですが、「いじめが」とか「勉強についていけない」とかわかりやすい理由はないわけだし、端から見ていたら、人一倍いきいきと活動して活躍している。
どう説明してもわかってもらえない世界。
彼女は理解してもらうことをあきらめていたようで、理由は「未来に希望しかありません! やりたいことに向かってワクワクしています」をひたすら繰り返していたらしい。
担任「そんなに希望に満ちている姿を見たらもう止められないよ・・・」
と先生は全く理解できないまま、あきらめてくれたらしい。
理由は過去の出来事。ってことなんだな、と思った
例えば、私が理由を聞かれたとしたら、これまでの状況を細かく話すと思う。
でも、彼女はやめる、と決めてからは本当に未来の自分に対しての期待しかないらしく、過去のことは過去のことで、どうでもいいというか、それはもはや理由なんかではなくなっている。
もしかしたら忘れてしまっているのかも、とさえ思う。
彼女の口からは、本当にポジティブな言葉しか出てこない。
わが子ながら、本当に不思議な子だし、その、無理してではなく自然体で前しか向いていない姿には感動すら覚えるのであった。