【陶芸入門】陶土の種類~知っておきたい6種の土の特徴
陶芸を始めると、いろいろな種類の土があることに気づくと思います。
陶芸体験や陶芸教室では決められた土しか使えないかもしれませんが、陶芸用品店や原料屋さんに行くと、見たこともないような種類の土に出会えることも。
土によって仕上がりがまったく異なるので、「陶芸でさまざまな作品を作りたい」と思ったら土の種類を知っておくと便利なんです。
今回は、そんな陶芸用の土について種類や特徴を説明していきます。
最低限知っておきたい陶芸用土の種類と特徴
陶芸用の土は、細かく分けるとたくさんの種類があります。それは、土の産地によって名前が変わったり、微妙な成分の違いで分けられているから。
陶芸用の土が採れる地域は限られていますが、それぞれの産地で採れる土が違ったり、原料屋さんでオリジナルブレンドをしていることもあります。
ですが、大まかに分類してみればシンプルなので、陶芸初心者の人にまず覚えてほしい土の種類を6つご紹介します。
白土
一般的によく使われている土で、焼き上がりが白っぽいのが特徴。生の状態だと、グレーがかった色なので「白土」と言われてもピンとこないかもしれません。
どんな成形方法でも扱いやすく、食器からオブジェまで幅広く使うことができます。
生地が白いので、釉薬をかけるとそのままの色合いを出すことができますし、絵付けをする器にもぴったり。
土の中に石粒が入っている荒い土(白荒土)もあります。
赤土
鉄分を含有している土なので、焼き上がりの色が焼成方法によって異なります。
酸化焼成ならレンガのような赤茶色、還元焼成なら黒っぽい赤になるのが一般的。冷却還元という焼き方であれば、還元焼成よりさらに黒っぽくなり味があります。
石粒の入った赤荒土というものもあり、黄土の割合(3割、5割など)によって土や焼き上がりの色が代わります。
白化粧を使った粉引の器は赤土が素地として使われており、独特の風合いが出るのが特徴。
釉薬をかけたときも、白土と違った風合いが楽しめます。
黒土
白土に黒い顔料を混ぜ合わせて作られた土を黒土(黒泥)と言います。焼き上げるとグレーがかった黒になり、モダンな雰囲気の作品に。
ややコシが弱く扱いにいことと、白土や赤土より値段が高いというデメリットがありますが、いつもと違った作品を作るのにぴったりです。
磁器土
長石やケイ石などの石を主成分とした土で、焼き上がりは白く透明感があります。
こちらの記事で解説していますが、焼き物は大きく分けて陶器・磁器・炻器・土器の4種類があり、そのうちの磁器を作るために使われるのが磁器土なのです。
非常にキメが細かく、ろくろで成形をするか鋳込みの泥漿として使われることが多い土。
陶土に比べると扱いが難しく、手びねりをする場合は「手びねりも可」となっている磁器土を使うようにしましょう。
半磁土
陶土(白土)と磁器土の中間に位置する性質を持っているのが半磁土です。
陶土よりも白く焼き上がり、キメも細かくて滑らかなのですが、手びねりもできて扱いやすいのが特徴。ただし磁器土ほどの白さや透明感はありません。
手びねり、ろくろ成形、鋳込み、と幅広い成形方法で使用できるのが嬉しいところ。
培養土
土鍋など、直火にかけて使うものは専用の土で作る必要があります。
直火にかけた鍋は急に熱されて熱膨張を起こし、冷めていくときに再び収縮します。食器などを作る普通の土で作ったものは、その熱衝撃で割れてしまうのです。
そのため、鍋土にはペタライトという鉱物を混ぜて耐熱性を上げています。
配合されている成分によって土鍋土や耐熱鍋土などがありますので、いろいろ試してみてもいいかもしれません。
土が違えば焼き上がりの雰囲気・用途も変わる
さまざまな種類がある陶芸用の土ですが、種類によって成分が異なるので、焼き上げたときの雰囲気も大きく変わってきます。
特に高台の部分を見れば素地の色がわかるので、一度見比べてみてください。
また、釉薬を掛けていても白土と赤土、磁器土では色の出方が異なりますし、酸化焼成と還元焼成でも色合いが変わってきます。
土が変われば色や手触り、透光性、耐熱性も異なりますので、作りたいものに合わせて適切に選ぶ必要があるんです。
まずは白土・赤土・磁器土あたりで焼き上がりの違いを見比べてみるといいですよ!
まとめ
陶芸を何年続けていても、使ったことのない土がある…というくらい多くの種類が存在する陶芸用の土。
基本的な土は上記で説明した通りですが、これ以外にも本当にたくさん種類があって奥が深いんです。
産地や原料屋さんによって取り扱っている土も変わりますし、原料を採ったタイミング(ロット)によっても成分が変わって色合いが変わることがあります。
自分で顔料を練りこんだり、採取してきた土を使ったりして、自分だけのオリジナル土を作るのも陶芸の面白さのひとつ。
最低限の知識を身につけた上で、自分好みの土を見つけて陶芸を楽しんでくださいね。
文:ユキガオ
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陶芸情報サイト『陶楽』運営者 小暮貢朗