Yes,and…で会話は劇的に弾む。会話の瞬発力を鍛えてアイデアマンになろう。
もう随分前の話ですが、まだ私が事業主ではなく働き手だった頃、ある転職イベントに参加したことがあります。
キャリアコンサルタントの方が、履歴書と職歴書のチェックや、面接対策の相談に乗ってくれるイベントでした。
その時の私は、学歴高卒、資格ナシ、職務経歴ファストフード店バイトのみ。キャリアコンサルタントの方が、そんな0点に近い私の履歴書をなんとか良くしようと、一生懸命アドバイスしてくださったのを覚えています。
その後、私は10数件の会社の面接を受けました。
ブライダル、営業事務、飲食チェーン、医療、大手メーカー、百貨店…様々な業種、規模の会社の面接を受けましたが、1件も落ちたことはありません。受かった中から、自分が一番働きたいと思った会社へ就職することができました。
履歴書を、採用担当者が心ときめくようなワードで充実させることが出来ない私が履歴書に書いたこと、それはコミュニケーションスキルです。
「どんな人とでも楽しく会話を弾ませ、笑顔にすることができます。物事の本質を、分かりやすい言葉で気持ちよく相手に伝えることができます。それは接客のみならず、営業にも社内での人財育成にも役立つスキルです。」
このようなことを、履歴書に書いていました。
若さゆえか随分横柄な書き方をしたなと今となっては思いますが、自信のあることを「できます」と言い切る潔さが、採用担当者の目に止まったのだろうと思います。
そして「この子、何かしてくれそう」という期待を持って頂けたのだと思います。
どんな人とでも会話を弾ませる。
会話を弾ませるというのは、面白おかしくするという意味ではありません。会話した相手が自分と別れた後に、満たされた状態を作るということです。「あの人と話して良かった!」とウキウキしながら帰れるということです。
これにはいくつかのコツがあります。今日はそのうちの1つ、Yes,and話法について書きます。
会話した相手が、たくさんのアイデアが出て前進を感じることが出来る話法です。
Yes,and話法は、もともと即興劇のスキルとして生まれ、今ではビジネスから家族コミュニケーションまで幅広く使われるようになりました。
特にデザイン思考では、アイデアを広げていくことが出来るスキルなので風土として根付いている企業も多くあります。
「相手のアイデアを否定せず一旦受け入れ、アイデアで返す手法」がYes,and話法です。
具体的な話をします。
A氏「次回のミーティングはオンラインにしようと思うんだが、どうだろう?」
B氏「いいですね!それなら◯◯部へもライブ配信しましょう。伝達の手間が省けます。」
A氏「そうだね。せっかくだから四国営業部からオブザーバーを招待しよう。」
B氏「分かりました!早速、連絡と確認作業に入りますね!」
というように、肯定→アイデアを繰り返すことで会話が発展していきます。
これがYes,butになるとどうなるか?
A氏「次回のミーティングはオンラインにしようと思うんだが、どうだろう?」
B氏「いいですね!だけどメンバー全員にオンライン環境があるかなど確認が必要ですね。」
A氏「そうだね。けれどオンラインにすれば普段参加できないメンバーも参加しやすいだろう。」
B氏「そうですね。でも連絡に漏れがないようにしなければいけないですね。」
なんだか、何も生み出さないミーティングになる気配が立ちこめる会話になりました。
ビジネスシーン以外でもYes,and話法は役立ちます。
友人「今度、ドライブへ行かない?」
自分「いいね!せっかくだからスタンプラリーにしようよ」
友人「いいね!じゃあポイントを決めよう!行きたい場所はある?」
というように、誘いに対してイエスだけではなくアイデアをつけて返すことで、会話が弾みますし、相手に自分が積極的な印象を与えることが出来るので信頼関係が深まります。
「あなたの考えいいね!そして、こうしたらどうだろう!」というスタンスをどのようなシーンでも心掛けることが、良質なコミュニケーションを生み、新しいアイデアを創り出していきます。
最初は「いいね!それじゃ、えーっと、えーっと…」とアイデアを出すことにつまずくかもしれませんが、日常の会話の中で意識的にYes,and話法を使っていくことで、アイデアが出やすい脳を育てることができます。
アイデアに必要なのは持久力ではなく、瞬発力です。瞬発力は反復練習で鍛えることが出来ます。
なるほど!いいね!と思ったら、その日から意識して使う素直さが、自分の成長スピードを加速させてくれます。
早速、家族や友人との会話からスタートしてみてはいかがでしょうか。