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サニーデイ・サービス「若者たち」 陽だまりに座り 若さをもてあそび ずっと泣いていた

正直言って、サニーデイサービスについての知識はほとんどありません。ボーカルが曽我部恵一さんってことぐらいしか・・・。ウィキペディアによると、曽我部さんって、香川県坂出市出身なんだ。へえ。四国からの視点で「東京」なんかはつづられているんだろうか?

1990年代、TSUTAYAで推されていたコーナーで手に取ってから、もう30年。ただただそれだけの縁。

ライブに行くこともなく、たまに、新しいアルバムが出てることを知ると、聴くレベル。でも、今はなぜ当時の生の音を聴こうとしなかったのか、後悔しかない。

最初に聴いた瞬間からサニーデイサービスはもっと爆発的に売れると思っていた。実際にはかなり売れているのかもしれないけど、どうなんだろう?なぜ、ミスチルとかスピッツとかと肩を並べるくらいのメジャーシーンに出てこないんだろう・・・と不思議だった。

「青春狂走曲」なんて、とんでもなく素晴らしい前奏。
サビの

「そっちはどうだい
 うまくやってるかい
 こっちはこうさ
 どうにもならんよ
 今んとこはまあ
 そんな感じなんだ」


仕事を初めて、なかなかうまくいかない自分と重ねてたなあ。ものすごく熱い言葉なんてないし、メッセージ性もあえて消しているんだろうけど、聴いていると心が軽くなるような。ずいぶん助けてもらったなあ。

「シルバー・スター」
いきなりサビスタートのような始まり方が大好きだ。失恋をイメージさせる歌詞たちが、優しい。
「24時間とちょっと きみの声まだ聴こえず」
未練を引きずりながら、「それでもいいよ」と強がる感じがとってもいい。

「東京」
こんなにも美しく、優しい歌があるんだろうかと思った。
この歌詞に「東京」という題名を付けるんだ。挑戦の象徴としての「東京」を念頭に置いているのでしょうか。とーっても美しい曲なので、ぜひ聞いてみてください。

やっと「若者たち」。
この優しい前奏ったらない。
語りのように始まる歌。ありふれた男女の光景を淡々と表現しているようにみえる。

「きまって細い肩縮めて『それは自分じゃない』なんて
自分の影が少し大きく なりすぎたから」

夕方の1シーンをこんな風にきれいに表現できるんだって、驚いたなあ。

でも、急に深刻そうな歌詞に変わる。

「彼女はと言えば 遠くを眺めていた
ベンチに腰かけ 若さをもてあそび
ずっと泣いていた」

将来への不安を抱えた若者特有の思いなのかと推察するしかない。

最後は

「ぼくらはといえば 遠くを眺めていた」

若い2人には、2人がこのまま続いていかないことは分かっていたのかしら。なんとも物悲しい一瞬を、こんなにも静かで、美しい歌に昇華させたサニーデイ・サービス。なぜ、多くの人たちの知るところとならなかったのだろう。

後悔したくないから、サニーデイ・サービスのライブ、次こそ絶対に行こう。

2022年7月5日 トラジロウ

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