
私の空き家売却までの記録〜相続不動産をどう活かすか〜
どうも、とらぎつねです。
今回は私の実体験を書いていきたいと思います。
(ただ、今回めちゃ長いです。全部で4800文字くらいあります…)
読んでもらいたい人はズバリ
「親族の空き家をどうするか悩み中、またはこれからそういうことで悩むことになりそうな人」
です。
誰の身にも起こりそうなこと、私の身にも起こりました。
私はこういう流れでこうした、という一例としてご参考にしてください。
なお、先に流れだけ書いておくと以下の通りです。
・祖母、認知症にて施設へ。祖父も徐々に認知症に。
・祖父、死去。祖母は既に意思能力なし。
・田舎にある祖父名義の家と土地が残るが、結論として祖母が亡くなるまで待つことに。
・祖母、死去。相続し、空き家バンクにて売却を試みる。
・無事売却が完了。
以上になります。
<死去の順番と相続について>
私の場合は祖父、祖母という順番で亡くなりました。
つまり登記簿の名義人、相続人という順番になります。
法的に正しくやろうとすると、祖父が亡くなった時点で(遺言もなかったため)法定相続が必要でした。
うちの場合は妻と2人の子への相続がいるということです。
しかし妻(祖母)は既に意思能力がなく、実印の登録もしていない状態でした。
この場合、やはり法的に正しくやろうとすると祖母に「成年後見人」をつける必要があります。
しかしそれには一つ問題が。
それはこの手続きが必要な間だけやってもらう、ということができないことです。
つまり一度成年後見人をつけてしまうと、祖母が亡くなるまでずっと後見人が財産管理をすることになり、毎月数万円の報酬を払い続けなければならない、ということです。
じゃあ、子どもの誰かがそれをやればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが成年後見人の指定は家庭裁判所が行い、そのほとんどは弁護士や司法書士などの第三者がなっている事実があります。
これは親族間での相続争いなどが起こりうるため、公平性の観点からそうしているようです。
実際、うちも親族間での争いはなく、空き家をどうにかしたいという気持ちで一致していたのですが、それでもダメだそうです。(弁護士への法律相談で聞きました)
親族が成年後見人になる可能性もあるにはありますが、うちは成年後見人をつけるという選択はしませんでした。
そのため、結果としては祖母が亡くなるまでは相続の手続きをしない(上記の理由でできない)ことになりました。
この間、家は当然売ることも貸すこともできないため空き家のままです。
<祖母の死去、そして相続へ…>
数年に渡る入院生活を経て、祖母が亡くなります。
既に意識もなかったと思うので、苦しんではいなかったと思いますが…。
何年も胃ろうだったばあちゃんのお供えには、好きだったシュークリームを選びました。もう我慢せずに好きなものいっぱい食べてね。
通夜、葬式、火葬、遺骨の埋蔵を済ませ、私の父は相続の手続きを行います。
自分と弟しか相続人はいないので、必要書類を法務局に提出して相続を長男の自分とし、名義変更を完了させました。
余談ですが2024年4月から相続手続きを放ったらかしている人たちに対する罰則規定ができまして、今後何年も既に死亡している人の名義になっている土地や建物があると、相続人(亡くなった人の家族)に罰金が科されるようです。
そのせいもあってか、相続手続きの簡略化(必要な戸籍が一箇所で取れるようになったなど)もされているようですね。
この時、弟については実印と印鑑登録証明書を用意するくらいでよく、遺産分割協議書もネットで簡単に印刷できるようになっているため、そこまで手間はかからなかったようです。ここで争いがあると話が進まなそうですね…。
さて、無事に相続できたところで、次は空き家をどうするかです。
<空き家をどうしたいのか?>
現在空き家になっている家をどうするのか?うちが検討した選択肢は3つでした。
なお、うちの場合は親族間で誰もこの空き家に住みたい、土地が欲しいという希望者がいなかったことを追記します。
1、建物を解体、更地にして売りに出す。
2、空き家をリフォーム、賃貸で貸し出すか売却を行う。
3、リフォームせず、現況の取引ということで賃貸または売却する。
それぞれ一長一短ありますので、解説していきます。
1、建物を解体、更地にして売りに出す。
・メリット
危険家屋となる可能性がなくなり、管理責任も低くなる。ホームレスが住み着く等の問題も起きない。
・デメリット
固定資産税が上がる。解体費に数百万円かかる場合もあり、まとまったお金が必要。建物がある場合に比べ、売れにくい傾向がある。
2、空き家をリフォーム、賃貸で貸し出すか売却を行う。
・メリット
家賃収入を毎月得られるか、売却したお金を得ることができる。売却の場合は固定資産税もかからなくなる。
・デメリット
リフォーム代が高いとペイできないことも。自分でリフォームすることも可能だが、道具代と時間と手間はかかるし、大規模なものはできない。水道や電気設備など資格がないとできないリフォームもある。また賃貸の場合は設備の修理費などが発生する可能性もあり。もちろん入居者が決まらない、買主が現れないリスクもあり。賃貸の場合は固定資産税を毎年支払う。
3、リフォームせず、現況の取引ということで賃貸または売却する。
・メリット
貸す、売ることに関して費用がかからない。売却の場合は固定資産税がかからなくなる。
・デメリット
貸す場合は設備の修理費などが発生する可能性もあり。もちろん入居者が決まらない、買主が現れないリスクもあり。賃貸の場合は固定資産税を毎年支払う。
うちはこの中から、3番目のリフォームせず売り出すという選択肢を選びます。
祖母が亡くなってからリフォームの見積もりを数社にお願いしたのですが、思っていた以上に代金が高かったからです。
最低限のリフォームをかけても、数百万円でした。
やはり空き家だった期間が長くなってしまうと、これくらいはかかってしまうもののようです。
<売却へ向けてやったこと>
うちは自治体が管理している空き家バンクというサイトに登録しました。
空き家バンクは売りたい人と買いたい人を繋げるだけが目的のサイトなので、仲介や交渉などは一切してくれません。
買いたい人が空き家バンクでニーズに合う不動産を見つけたら、空き家バンクではなく売主に直接連絡を取るという仕組みです。
うちは買取価格については具体的な金額を書きました。
「要相談」となっている物件も多々あったのですが、そこの交渉からスタートしなくてはいけないとなると、買う側の工程が一つ増えてしまうため、問い合わせが来にくいのかなと思ったからです。
もちろんリフォームしていないしそのまま住める状態ではないため、かなり安い金額としました。
こちらとしては正直タダで貰ってくれる人でもありがたいかな…と悲観的な憶測だったのですが、その金額でいいという希望者が現れました。
空き家バンクに掲載して3ヶ月くらいで計3人から問い合わせがあり、そのうちの1人に決まりました。
なんでも別荘的な使い方を考えているとのこと。
それなら確かにいいのかもしれないと思いました。
同時に、ここの物件はかなり田舎の方なのですが、それでも結構問い合わせ来るもんだな…というところは意外でした。
<いざ契約へ>
自分でネット検索して契約書の雛形をダウンロードし、今回の売買に当てはまるように作り、内容について問題ないか知り合いの司法書士に見てもらいました。
(もちろん有料で。知り合いだから安くしてとかはナシです。)
見てもらったポイントとしては以下の通りです。
・契約不適合責任の免責特約が書かれているか
これはつまり「買主が買った後、事前に教えられなかった不具合(傷があった、何かが壊れていた等)があった場合でも、売主に修理代等を請求できない」という内容です。
これが書かれていないと、ようやく空き家を売ったのに後日修理費を請求されるということが起き得ます。
これは買主側を守るための原則なのですが、契約書に「売主は通常そういう責任を負うけど、今回は負わないことを条件に売るからね」と書いておき、双方の合意を得ておくという意味があります。
ただ、当然不具合を知っていて黙っていたとか、その不具合が売主のせいだった場合は、この特約があっても支払義務は免れません。
売る前にここが壊れてますよ、ここはこんなに汚れてますよ、など知り得ているデメリットについては全て包み隠さず伝えましょう。
そうしないと後で自分が困ることになりかねませんからね。
・代金は土地と建物に分かれているか?
実は土地代金には消費税がかかりません。消費されるものではないから、らしいです。
そのため売却価格は土地と建物に分かれるのか?と思いましたが、個人間の売買の場合は一緒にしてしまっても構わないそうです。
契約書には「土地と建物の合計金額⭕️円で〜」と書かれており、これで良さそうです。
税金の問題も発生しないようですね。
以上、これで問題はなさそうだったので契約日を迎えます。
契約は特に問題なく終わり、金額も安かったためその場で支払いを受け、100均で買ってきた領収書を渡し、終了しました。
<今回の経験について>
今回、私はリフォーム代によっては賃貸を考えていました。
これまで祖父母が過ごしてきた家を誰かが使ってくれて残ってくれるならありがたいし、低くとも家賃収入があれば数年に一度発生するかもしれない修理費や固定資産税の支払いにも対応できそうだったし、5〜10年くらいでペイできる家賃設定にできれば…と計画していました。
しかし近隣の情報を集めていくと、家賃設定とリフォーム代を比較したときにどうしてもペイできる可能性が低くなってしまいました。
そのため「もし空き家になる前に準備ができており、空き家になった瞬間すぐにでも賃貸として入居者を募集できるようにしておけたら、結果は違ったかもしれない」というのが私の感想です。
今回は空き家になってから貸す・売るという行動に移れるまでが長すぎました。
その間に家が傷んでしまったので、リフォーム代が高額になってしまった。
仕方なかったのですが、そういう流れでこうなりました。
ただ、状況が変化したタイミングで精一杯のことはできたと思います。
次はこの経験を活かし、自分の両親が住む実家が同じような状況になった場合に、ベストな行動ができるようにしたいと思っています。
どんなボロ物件でも、不動産屋に聞いて終わりではなく、自分で調べて考えて手を打つことで、別の打開策も見出せるかもしれません。
やはり不動産を持っている、というのは素人が思う以上に価値のあることです。
上手く活かせれば毎月家賃収入を得られるかもしれません。
または売却したお金で自分たち家族の思い出づくりができるかもしれません。
不動産を残してくれた人も、相続人となる家族の幸せを願っているのではないでしょうか。
以上、私が空き家を売却するまでの流れを、記録として残しました。
細かいところは省略していますが、それでも長くなってしまいましたね。
同じような境遇にある方の参考になれば幸いです。
何かご質問などありましたら、お気軽にコメントください。
わかる範囲でお答えします。
最後に、田舎の戸建て不動産の売買についてかなり詳しい友人に対し、感謝を述べます。
ネットで調べるだけではわからなかったことを、色々とアドバイスしてくれました。
何か、お礼を考えておきます。
それではまた!