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《ずれずれ草》【読書メモ archive】柳下毅一郎『興行師たちの映画史』

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柳下毅一郎『興行師たちの映画史──エクスプロイテーション・フィルム全史』青土社

(2016年3月4日のtwitterより)

◎柳下毅一郎『興行師たちの映画史』青土社
映画は、19世紀後半リュミエール兄弟の初上映の時から、人間の覗き見趣味を満たすため作られてきたのだと著者は喝破する。
観客の金を搾り取るため、没義道ウソ何でもやる興業映画を「エクスプロイテーション(搾取)映画」と呼び、そのたくましい歴史に迫る。
posted at 01:34:39

◎バスコさんから教えて頂いた『興行師たちの映画史』
すばらしき博覧強記。
中学のとき話題だった「グレートハンティング」と
大学のとき風呂屋でポスターをみた「食人族」が、作り物と知ってホッ。
ライオンに襲われた人を助けようともせず撮影し、皆が面白半分に見るなんて。ライオンより人間が恐かった。
posted at 01:37:56

◎「未開民族」、障害をもつ人たち、残酷な出来事。 人間には自分が知らない他者を見てみたい本能がある。 感動ドラマだって「障害」を撮れば、そこに差別は発生するのだと言う。 でもナンダロ、この本、差別を語るには「撮られる方への搾取」という視点が抜けてるような。
posted at 02:01:36

◎以前見た映画「フリークス」のこともわかった。
サーカスの障害者仲間たちが、残忍な健常者スターに復讐する物語。
演じているのは本物の見世物スターたち。
少なくとも強制出演させられたのではないと知りホッ。 
posted at 02:14:27

◎「フリークス」を見たとき、無理やり撮られたのではと心配しながら、「双子」の姉妹も、小人症のハンスと婚約者も堂々と見えた。
見世物小屋であっても、搾取されず、信頼できる仲間とともにあり、自分が誇りをもって生業と出来るのならば、自分もそういう生きられたらいいと思えた。
posted at 02:27:37

◎だから、柳下氏による、腰で繋がった「ヒルトン姉妹」の書き方はいやだ。
「双子の性」への観客の好奇心を満たさず《いい年をしておぼこ娘のまま》《容色衰えた二人》は《投資に失敗し、一文無しになった晩年はスーパーでレジ係りをやっていた。一人がレジを打ち、もう一人が袋に買い物を詰めるのである》p94
ヒルトン姉妹は障害ゆえに生母に捨てられ、見世物として搾取されながらスターになったという。
柳下氏の書き方は、障害を負った身でここまで一生懸命生きてきた「姉妹」への敬意に、やや欠けるような。
それにあの、
スーパーで働くって、みじめですか?
posted at 02:30:50 posted at 02:32:15

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