弟エピソード4

 子供の多くは、親を喜ばせたいと思っている。たとえそれが矛盾をはらんだ親の望みだとしても。しいていえばそれが矛盾を内包してることを気づいていないことも多い。親もだが、私もそうだった。

「どうせ出ていく子だから」と私には投資しなかった。子供が生まれた時はお祝いをくれたし、孫の入学時も祝い金を送ってくれた。

「器量が悪い、嫁の貰い手がないだろう」と私を称し、深く傷つけたことは,言ったことさえ覚えていないだろうと思う。でも、勉強はトップレベルでないといけなかったし、目立つ学校の役こなすように暗に強要された。私は目立つことが好きではない。責任を背負う可能性が高いからだ。本を読んだり、自然の中で、木々とふれあったり、私を貶める人々がいない世界で、過ごしたかった。

 私には弟が二人いた。跡取りはそれはそれは大事にされた。跡取りがしでかしたことでも、ほぼすべて下の弟のせいにされた。母以外の家族はそれでいいと思っていたと思う。待遇も違った。私も後になって知ったのだが、祖母が跡取りには小遣いをあげていた。私と下の弟は貰ったことはない。

 こうして跡取りは、何をしても自分以外の姉弟のせいにすれば済むと学習した。そうして生きてきて、後に家を崩壊させた一因となった。

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