つばめのこと

 空の巣症候群 「空の巣」とは、ひなが巣から旅立っていくさまを表しています。「巣が空っぽになる」ということ。


子供の巣立ちでも、寂しさは感じた。毎年訪れるつばめの雛が巣立ちでも同様に感じてきた。今回の出来事は、悲しかった。


 その夜はとうとう巣に戻ってこなかった。早い時期に戻ってきて、危なげなく巣をリフォームして、卵をあたためていた。うちには巣を作りやすいように、3か所に板をはりつけてある。メスは巣で卵をだき、オスはもう一つの板の上で夜をあかす。にぎやかな夫婦で、毎朝私は、オスの音楽的なさえずりで、目をさます。そんな時間が大好きだった。

ある夜、音がした。朝つばめの様子を見に行って、その音の原因がわかった。巣が少し壊れていて、枯草と巣の横にあった大量の糞の塊が、コンクリートの上に落ちていた。野良猫が飛びついたらしい。猫除けのとげとげが付いたマットをてにいれ、足場になったであろう手すりを外した。その時は巣に戻ってきて、卵を抱いていた。朝のオスのセレナーデは続いた。

昼間、つばめが警告声をあげているので

、見に行ったら、羽ばたきがしてカラスがとびたった。卵も落ちていた。その夜は帰巣した。ほっとした。が翌日から声もしなくなった。、巣を覗くと卵が2つあった。卵を残してつばめはどこかに行ってしまった。

「どこかで、また巣を作っているのかな」と夫がぼそっと言った。

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