生まれ変わっても
「生まれ変わっても、おれの姉さになって」と弟は言った。
「考えさせて」と返答した。
だいぶ前のことだが、夫が
「生まれ変わっても、また一緒になりたい」といった。
「こりごりだから」と私は間欠をおかず答えた。
あの頃は、夫の物事の処理速度にふりまわされ続け、気持ちが安定していなかった。結婚後の速度のずれのエピソードは山のようにある。
私がインフルエンザの高熱で弱っていた時、夫はビールを片手に自室に戻った。水を必要としてたわたしは、台所までの距離は同じくらいだったが、廊下の手すりにすがって、夫の部屋まで半分ほど行ったところで
「きつい時くらい手伝ってよ」と叫んだ。水を運んできた夫に
「カーテンを閉めて」と頼もうとしたら、もう廊下に出ていた。
最新のは私が廊下でこけて、夫のスチール製の本棚で頭を強打し、救急車で病院に運ばれたおり、医師が
「今夜は誰かにそばでいてもらって、異変があったらすぐ病院にくるように」その言葉を伝える間もなく
「なにかあったら、携帯に電話して」と言い残して部屋に戻った。
何かあったら電話も出来ないでしょうよ。明日の朝、私が冷たくなっていたら、泣いてくれるかしらと枕を濡らして寝た。
それでも薬に例えると、夫は副作用より作用の方がはるかに大きい。私と子供たちの生活の糧を十二分に供給してくれた。そのてんは十分感謝している。