ご利益は、神社に行くより山にあり
わたしが住む香川や近隣の徳島には、おむすびの形をした三角の山がたくさんあって、はじめてこちらに来たときに目についた。テーブルマウンテンと呼ばれる山の存在も知った。
山の形もさることながら、山中に入ってみると植生が豊かで、さながら宮崎駿作品の世界に入ったかのようだ。複雑な植物が、それぞれの場所で生命を生き、それぞれに連なってそれぞれを生かしあっている。その多様性が複雑すぎて、面白い世界が広がっている。
わたしは、もともとディズニーランドやテーマパークよりも人知を超えた存在の方に興味がある。人工的なしかけは、計画のもとに安全な範囲で存在できる。一方の自然は、生命の繋がりと命の一回性を意識できる。そんな体験こそに、わたしはワクワクするのだと思う。
そうは言いつつ、植物の種類もよくわかっていないし、花の名前でさえもうろ覚え。なんとなく山にいるのが気持ちよくて、美しい景色が好きなだけなのだけど、今回は苔の観察会に来た。
苔の観察というと、生物部や何かの研究者さんだけが興味をもちそうな印象があり、
「わたし、そこまで苔について、詳しく知りたいわけじゃないけど・・・」
と思いながらも、山に行くのが楽しいので参加を決めた。
多分、多くの人が苔観察というと、そう思われるかも?!
そんな適当な感じでの参加だったのけれど、予想外の得るものが大きかった。
苔の細胞は、丸見えで、水を振りかけたら、そのまま直接細胞に取り込むという。
水が来たらいただいて、乾燥してきたら生命活動を休止したり自由自在の苔の生態。
どうにかなるさ、ケセラセラ。そうやって生き延びればいいのだ。
普段、見えてはいないけど、こうやって自分以外の生命がこんなに活発に活動し、巡り巡って我々にも酸素を供給してくれている。
自分が気をつけていなくても、注意をしていなくても、それらは止むことなく続いていて、わたしたちは生かされている。
まあまあ、さぼっても生きていけるし、一生懸命周囲に貢献してもいい。
どっちにしろ、生きる場所はどこかにはあるのだ。
・・・というのを体感として味わうことができた。
これって、すごくプラスではないだろうか。
ご利益を願って、神社に行くよりも、もしかしたら良い効能があるかもしれない。
日頃の恵に感謝することこそが、ご利益につながる精神なのだろうから、必死に拝むよりは、きっと効能があるはずだ。
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