クラフトビールで四国旅
琴平町にできたマイクロブルワリー「呑象ブリューイング」。
田舎町にできたビールバーに、心が踊った。
生活圏に、ふらっと立ち寄るおしゃれでカジュアルなバーができるとは!
もともとビール好きというより、自分の肝臓の能力値で飲めるお酒がビールかワインくらいしかないのもので、もっぱらビールを飲んできた。
けれど、こちらでいただくクラフトビールを飲んだらその魅力の虜になってしまった。
四国各地の醸造所から届く様々なビールを試飲してみると、自分の好みが、いくつかの醸造所のビールであることに気が付く。
ビールが作られている環境や土壌、文化背景を想像すると、最初に自分が美味しいと思った感覚に繋がるいろんな要素が見えてくる。
たとえば徳島の上勝ビール。上勝という地域は、「葉っぱビジネス」で有名と記憶していたが、改めて調べると、現在ごリサイクルに取り組んでいる町で、規格外の野菜や果物もビールに活用されている。
そういったウンチクがはじめにあって興味をもったのと違い、最初に「美味しい!」という感覚があったことが大事だと思う。
かっこいい取組みがあって大々的に宣伝されていても、味がそれほどでなければ、きっとその取り組み自体も長くは続かないだろうから。
町の新しい価値を作るという気概で、上勝ブランドの素晴らしいビールが出来ているのを知れて、すっかりファンになった。
次に、わたしが最初に魅了されたクラフトビールであるミロクビールは、香川県丸亀市にあるビール工房。ミロクというと、弥勒菩薩を連想するが、これも弘法大使誕生の地である香川らしい。そして味が強く酩酊状態に人を引き込む。こちらのビールは天才肌のとがった性格と表すのがよさそう。
飲むたびに、感動し、生命の躍動感と自由を思い出させてくれるような感覚になる。
今治街中麦酒のビールのラインナップは、わたしの味覚にもっとも合うビールだ。どうしたらこんなに美味しいビールができるのだろう?とその土地を訪れたくなる。
美味しいビールを作りたいという熱意と、出来上がった商品の素晴らしさにより、その町に行ってみたくなり、その町の背景を知りたくなる。
そんな風に町が振り返られ、人が集まる場所になっていき、好きなクラフトビールを介して人に出会え、交流が深まっていく。
クラフトビール作りという、地域で醸成されてきた農産品と食文化を使って、新しい価値を作る取組みは、地域がどこへ向かおうとしているのかを示しているように思う。過去の蓄積と未来の展望が詰まっている。
とくに自然豊かな四国では、きれいな水でビールもより一層美味しくなるので、クラフトビールをたどって四国をめぐってみよう。