九州旅行記:八幡浜から別府〜由布院へ
四国へ移住したら九州が近づいた
わたしは兵庫に生まれ、子供の頃の旅行といえば京都や奈良、鳥取、20代以降は沖縄か鹿児島の離島、もしくは北海道や海外だった。四国や九州は友人の結婚式か修学旅行くらいでしか訪れたことがない。その後関東に住んで、さらに西日本から足が遠のいた。
香川県に住んでいる今、日常の会話にもよく上がる愛媛や徳島、高知の魅力を再確認しており、広島にも行きたいところがたくさん出てきた。地図を眺めていると、愛媛の先から九州まですぐ手が届きそう。愛媛の八幡浜から別府港までフェリーで2時間50分で行ける。遠かった九州が急に身近になった。
香川から愛媛まで特急で行くのも楽しそうなので、先日の休日出勤分で代休をとり4連休にして九州へ!
初の愛媛&大分県入り!
愛媛の八幡浜から別府行きフェリーに乗る
はじめての愛媛では、あんぱんまんがお出迎え。
松山駅から八幡浜に行くときは、乗り換え注意。
同じフォームで次の電車を動かずずっと待っていたら、見逃してしまいそう。
松山駅から八幡浜駅へ到着すると、次は港へ。
これだけ時間がかかるので、出航までに時間がない場合は、さっさとタクシーを使うべし。
わたしはバスを待っていたので、港のチェックインカウンターに出航10分前に着いてしまった。30分くらい前に行っていた方がよかったなと後悔。
団体客がいて、予想以上に手続きに時間がかかった。事前予約をして番号を取っているにもかかわらず手書きで申込書を書く必要もあり。
四国はまだICカードが使えない駅も多く、キャッシュカードさえ受付不可のこともあるので、現金を持ち歩くこともお忘れなく。
別府で、四国と九州の違いを実感
別府港に降り立ったとたん、この上もない開放感を感じた。
なんだ、このオープンな感覚はどこから来ている?と周りをキョロキョロ見渡した。
理由1:道が広い
理由2:晴れ渡る空が高く見えた(たまたま?)
理由3:活火山上にあるから気持ちいい?(さわやか)
別府といえば、鄙びた昭和の温泉街を予想していたので、全く逆の印象をもった。活気に満ち、人は気さくで話術もあり、芸達者。ステレオタイプの酒飲み九州男児の横暴な印象もすっかり消え去ってしまった。
そもそも地獄コンセプトを作るような、しゃれた土地柄なのだ。わたしの偏見は取り払われ消え去った。
運転手のマナーもとてもよく、ものすごく手前で歩行者が渡るのを待ってくれたり、先に行かせてくれたり。別府のみなさまのゆとりに感謝だ。
いま住んでいる香川では、歩行者としてドライバーにかなり信頼されているのを実感している。こちらが急に立ち止まったり、後戻りしない前提で車を走らせ続ける方々が多いようだ。その厚い信頼に感謝だ。
別府に行くなら鉄輪に行け
てつのわとかいて、「かんなわ」。
別府八湯の一つである。
日本で2番目にPHの高い塚原温泉を目指し
どなたかの動画で、酸性度が強すぎるお風呂のことを知り、強酸性の温泉にどうしても行きたくなった。体表の常在菌を死滅させて、きれいな肌になりたい!!
けれど、なかなかに辺鄙なところにある塚原温泉さま。あまりにも九州のことを知らなさすぎて、地図で調べてもよくわからない。
別府の鉄輪から行けるのか、それとも由布院から行くのかよくわからなかったので、とりあえず鉄輪というところへ向かうことに。
これが大正解!
とても素敵な街並みと、年齢も違う国籍もさまざまな旅行者が行き交い、言葉を交わしとっても良い思いをした。旅の醍醐味は出会いと別れにありだということを思い出す。
結局、塚原温泉へは由布院から行く方が良さそうだったので、別府から由布院まで移動し、レンタル電動バイクででかけた。
電動バイクは、前から乗ってみたかったのだけれど、平坦な地では50km/h以上出るようなパワーも、勾配がきつい塚原温泉の近くでは8km/hにダウン。
バイク屋のおじさんが、ガソリンエンジンのスクーターがいいかなと迷っていた理由がわかった。
でも最後まで走り切れ、軽く楽しく乗れて大満足。
山道でも快適に安定したスピードを出し続けたい場合は、ガソリンエンジンを選べば間違いない。
塚原温泉に集まる全国の強者たち
肝心の塚原温泉も、とても素晴らしかった。
露天風呂に入ったので、鳥の声とお湯が流れる音だけを聞きながら湯に浸かり、しばし時が止まったような一時だった。
30分もすると、次々に人が入ってきていっぱいになったら、誰ともなく話し始めて、最後はわいわいと全国の名湯の情報交換の場へ。とりあえず竹田温泉と、ランプの宿は記憶に留めた。
これまで炭酸泉や黒っぽいお風呂しか経験がなく、お湯の質も私には新鮮だった。傷のある部分にピリッときて、効いているような気がしたのと、泉質が合っているような感覚があり長く入っていられた。
貴船城で金色のお蛇さまに触れる
別府の町を見下ろすお城を発見!
予定していなかったが、立ち寄ってみることに。
入場料は300円。
この価格でわたし一人だけに、ガイドがついた。
申し訳ないから辞退しようかと思ったけど他に入場者もおらず暇そうだったので、そのまま後についていった。
するとおもむろにとぐろを巻いた大蛇様の蓋が開けられ、御祈願をしてもらった。なんだかわからない呪文とともに、お蛇さまに触れさせてもらうことに。頬擦りをして手ものせるように言われたけれど、怖くてできなかった。
それでも、なんだかご利益がある気がしていたら、すぐさまお守りと蛇の皮のセールスが始まった。
興醒めである。
なんだか東南アジアの商法ようだと思っていたら、そうでもなく金額も安くて押し売りもなくてほっとした。とりあえず蛇皮のお守り500円だけ購入した。一方のお守りも1000円で相場のお守りと大して変わらない。
その後、すすめられるまま上階に移動したら、思いもよらない光景が繰り広げられていた。
素人目に見ても、価値の高そうな原画がごろごろ転がっており、最上階にはなんともいえないお祀りがしてあった。
よくわかないけれど、そんなにおどろおどろしい感じもしなかったので、ありがたく入場料分のご利益はいただいて帰ろうと思った。
城の外には庭があって、別府の町が一望できた。
暇なのか先ほどのおじさんが、引き続きたくさんの話を聞かせてくれた。そういえば香川では、古民家に住めるよ〜というセールストークを聞いたが、こちらでは、新しい一軒家の一群や、素敵なマンションのビルを指さして、空きがあると教えられた。
どこの地方都市も人を集めようとするのは同じなのだ。ただ餌が違うだけ。
2023年由布院の実情
「飲み食いの街になっている」・・・マダムの嘆き
「ここ10年で街も様変わりしてしまって、飲み食いしに人が集まってきているみたいになっているじゃない。」
と、とある店先で話しを聞いた。
たしかに、流行りの映えるスイーツや話題のお店は、どの店もおしゃれで素敵だ。でも、それだけが価値じゃない!?
わたしは、マダムに同意して首をぶんぶん縦に振ったものの、改めて考えてみると、わたしたちって食べたり綺麗なものみたりそれを写真に撮ったりすること以外、観光地でなにをしてるんだっけ??
楽しいこと、気持ちがいいこと、綺麗なこと、欲が満たされることをしているだけでよいんじゃない?
他になにか大切なことってあったっけ??
高尚で生きる意味を感じられ、人としてのプライドを感じられる観光的行為が、どこかにあるのだろうか。
そうか、これは考える余地がありそう。
持ち帰って考え直したら、地域おこしへの一歩になるかもしらん。
旅では、思わぬところからヒントをもらえる。それも醍醐味の一つである。
観光地の未来地図
今回の旅で、観光地として発展していく街の未来には、大きく3つの道が開かれていると思った。
売れるもの、うけるものを中心に街を改革し、資本を呼び込み、誰のための街なのかがわからなくなっていくような開発地。
古い伝統を守るばかりで、新しい様式を拒絶し、世の中の流れから取り残されいずれはなくなっていく運命の地。
古くから人に喜ばれてきた地域の特質を残しながら、現在のニーズに合わせてコミカルに世界に発信していく風通しのよい場所。
おおらかで人を受け入れながら、自分たちってこうだよ、という表現がうまい別府の街が大好きになった。