「切り絵で世界旅」ヨガの男(ベナレス/インド)ホテルの庭でヨガの実演
ベナレスの宿泊先は2階建ての瀟洒なホテル・ド・パリ。広い庭もよく手入れされていて、のんびりと寛ぐには申し分なかった。その庭に一人のインド人が現れ、手に持っていたゴザのようなものを芝生に敷きはじめた。そして入念に屈伸運動や柔軟体操を済ませた後、さまざまなポーズをとり始めたのだ。おお、これはヨガではないか。
ヨガは日本でも人気があり、何度もブームを起こしている。今は3度目だという人もいれば、5度目だという人もいる。何度目でもいいが、最初のブームだけは知っている。1962年にカッパブックスから沖正弘の「ヨガ入門」が発刊された。さまざまなポーズの写真と健康上の効能が紹介されていた。その頃から日本各地にヨガ道場が誕生し、多くの女性が瞑想をし、肢体をアクロバチックにくねりはじめた。
沖正弘氏が提唱するヨガは「沖ヨガ」と呼ばれ、カリスマ的な尊敬を集め、多くの弟子を育て、ヨガの普及に多大な貢献をした。その沖氏は、皮肉にも64歳の若さで亡くなった。
さて、本場インドのヨガのおっちゃんは、実演を終えると、チップをねだるわけでもなく、スッと消えた。単なるデモンストレーションだったのだろうか。
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