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「切り絵で世界旅」歓喜の丘(サンティアゴ・デ・コンポステーラ/スペイン)世界に2つしかない“道の世界遺産”

 ボルトガル旅行のつもりだったが、私が選んだツアーにはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラも組み込まれていた。ポルトワインで知られるで美しい街、ポルトから北にバスで4時間ほど揺られてやっと着いたのが、歓喜の丘だった。

歓喜の丘に建つ巡礼者の像

 スペイン北西部に位置するガリシア州の州都サンティアゴ・デ・コンポステーラは、エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大聖地のひとつで、巡礼路の終着地である。9世紀に聖ヤコブ(サンティアゴ)の墓が発見されて以来、巡礼者がヨーロッパ中から引きも切らず訪れる聖地であり、その巡礼路は世界遺産になっている。巡礼者たちは長い辛く苦しい旅を経て、やっと憧れの聖地まであと5kmという場所にある歓喜の丘に到着する。その眼下にはスペイン・ロマネスク様式のカテドラルが見える。その喜びがいかほどのものか、十分想像できる。

 私も歓喜の丘から巡礼の道を1時間半ほど歩いてサンティアゴ・デ・コンポステーラにたどり着いた。ちなみに“道の世界遺産“は、日本の「紀伊山地の霊場と参詣道(熊野参詣道など)」と、この「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路」しかない。その熊野古道も少しばかり歩いたことがあるので、2つの道の世界遺産をほんの僅かにせよ歩いたことになる。

 最近、日本でも四国八十八カ所巡礼が人気だが、巡礼者に外国人の姿が増えてきた。中にはスペイン巡礼の道を歩いた人たちもいる。キリスト教徒が何で四国巡礼なの? という素朴な疑問が湧く。
 ここからは私の独断的推論であるが、彼らはキリスト教、仏教といった宗教とは関係なく、巡礼マニアなのだろう。何百キロも歩き続け、到達したときの達成感、至福感が癖になるのだ。マラソンランナーのランナーズ・ハイに似てなくもない。巡礼者たちに怒られるかもしれないが。

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