「切り絵で世界旅」リキシャの少年(カトマンズ/ネパール)左右に揺れる少年の背中を見つめながら
カトマンズでの移動は、徒歩の他にリキシャ(3輪人力車)、テンプー(オート3輪)、バス、タクシーなどの交通機関を利用することになる。私がもっぱら利用したのはリキシャである。リキシャは前が自転車で後ろが座席になっている人力車で、ネパールだけでなくインドでもポピュラーな乗り物だ。人力で動くので車に比べてスピードは劣るが、のんびりと市内の街並みを眺めながら風を浴びて移動できるのが魅力だ。
ホテルから広場へ行こうとして、ホテル前で一台のリキシャに乗り込んだ。漕ぎ人はまだ若く、10代半ばに見えた。進学せずに家族のために若くして働いているのだろう。一生懸命に漕ぐ彼の背中が左右に揺れる。
目的地に着き、料金を支払うとき、最初の約束より高く言ってきたので私はそれを無視して、約束の料金しか払わなかった。ニューデリーでターバンを巻いたシーク教徒のタクシー運転手に吹っかけられた経験が蘇ったからだ。だがリキシャの少年と別れてから後悔した。払ってやればよかったと。こうして撮影にも応じてくれたのに。