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「切り絵で世界旅」ハノイの行商(ハノイ/ベトナム)旧市街は、職人の街としての顔が生きている

 ハノイの旧市街は狭い道路に人とバイクが溢れ、歩道も人々が小さな椅子に腰掛けて食事をしていたり、バイクや商品が置かれているため、それらを避けながら車道を歩く羽目になる。危なくて仕方ないのだが、それもまた刺激的で面白い。

 このエリアで特徴的なのは、通りごとに何の職人が住んでいるが一目でわかることだ。アオザイ、ハンコ、ペンキ、額縁、ブリキ、彫金、墓石彫り、漢方、(法事などに使われる)冥器、楽器、シルク、卵、調味料、籐製品などなど。角を曲がるたびに扱っている商品がガラリと変わるだけに、見ているだけでも楽しい。中にはブリキ職人の人たちが店頭で一生懸命に商品を作っていたりする。

 大阪の街も10年ほど前はこうした性格を持つ通りがいくつかあった。人形の松屋町、薬の道修町、家具の堀江通り、乾物の阿波座といった具合に街の性格が一目でわかったものだ。だが今はこうした特色はどんどん薄れ、商人や職人の姿も減ってしまった。

行商の女性。天秤棒には野菜や果物が載っている

  また街中では女性たちが天秤棒を担いで野菜や果物を売っている行商の姿もよく見かける。日本でも私が小さい頃はよく見かけたものだが、今はほとんど姿を消してしまった。

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