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「切り絵で世界旅」ベナレス市街地(ベナレス/インド)インドの多様性を実感させる5人


1979年の風景

 初めての海外渡航先はインドと決めていた。それもベナレスに行くためだ。1979年1月2日、ベナレス市内のホテルに宿泊し、翌朝、ガンジス川をめざし市街地を歩いていた。市街地の雑踏ぶりは凄まじく、オールドデリーに負けないほどだ。

 カメラのレンズを人々に向ける。嫌がられると思いきや、警察官らしき男がニッコリ微笑んでくれた。素敵な笑顔だ。彼の左にいる男は円形の皿に盛った饅頭を売っている。右側の男は刺又のような棒を持っている。何に使うのだろうか? その右にいる少女は右手に弁当箱を持ち、左手で自分のお尻を掴んでいる。まさか、40年以上経てから切り絵作品に登場するとは思いもしなかっただろう。右端の男性は、ジャッケットにパンタロン、サングラスというインド人らしかぬ格好である。5人の顔の向きがそれぞれ違うように、仕事も服装もバラバラ。いかにもインドらしい光景ではある。

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