「切り絵で世界旅」旧大連ヤマトホテル(大連/中国)李香蘭が歌った宴会場、溥儀が使用した部屋も
大連では、中山広場の周辺の建築物を見回した後で、一番代表的な旧大連ヤマトホテル(現在の大連賓館)を見学した。
ヤマトホテルは、かつて南満州鉄道(満鉄)が経営していた高級ブランドホテルで、大連の他にも、旅順(1938年廃業)、長春、星ヶ浦、奉天(現在の瀋陽)、哈爾浜(ハルビン)、牡丹江などにもあった。これらのホテルは軍部や政財界の要人、著名人らが多く投宿した。
大連ヤマトホテルの外観は、花崗岩のイオニア式ジャイアントオーダーが8本並ぶ見事なルネサンス様式。正面玄関には鉄製のキャノピー(ホテルの出入り口などに設ける張り出しテント)が設けられている。
ガイド氏に食堂、舞踏室、玉突室、読書室、酒場などを案内される。そして宴会場でステージを指差して、「ここで李香蘭(山口淑子)が歌っていました」という。『支那の夜』『蘇州の夜』などの映画に出演していた大スター、李香蘭がここで歌っていたのか、と思えば感慨も深くなる。
さらにラストエンペラー、溥儀が使っていた部屋を案内される。説明を受けた後、ガイド氏が言った。「このホテルのお客さんもほとんど日本人客です。ホテルの維持のためにお金がかかります。今日はこれを特別価格で販売させてもらいます」。出してきたのは、35万円の白檀と28万円の時計だ。「そんな高価なもの、買う人なんておらんやろ」と思っていたが、何と両方とも売れてしまった。本物かどうかもわからないのに。いやはや。
<旅行日/2018.03.11>