見出し画像

川口春奈を起用、好感度CMの狙いはリクルーティングか販売店支援か/ENEOS

石油元売り大手でガソリンスタンド展開も圧倒的トップシェアを誇るENEOSの新しいテレビCMが8月下旬から放映されています。俳優・タレントとして知名度抜群の大泉洋と川口春奈を起用し、ガソリンスタンドを舞台にした日常の何気ない一コマを描いたシリーズ。毎回ほほえましいシーンが登場するCMですが、クルマの広告制作に長年携わってきた元SUBARU宣伝部長の岡田貴浩さんは最初、「誰に何を伝えたいのか」と首をかしげたといいます。視聴者目線で、CMの狙いを推測してみました。

川口春奈を起用、好感度CMの狙いはリクルーティングか販売店支援か/ENEOS

企業イメージ訴求に引っ張りだこの川口春奈さん

ネットでこのCMの評価的なモノを調べてみたら「意味不明」というキーワードがたくさん見つかりました。そういう私も「誰をターゲットに何を伝えたいのかが良くわからない」のが最初の正直な感想でした。

ガソリンスタンド(GS)は20年前に比較して4割も減り、5万カ所あったGSがいまでは半分の2.5万カ所くらいになっているようです。しかし、調べるとそのシェアはENEOSの独壇場で約50%の1.2万カ所もあり首位を独走しています(あくまでも拠点数シェアですが)。

一方でこのCMを語るに「川口春奈さん」を忘れてはいけません。2024年現在33社とCM契約を結んでいるようです。33社って!すごい。33社がテレビCMを流しているわけではないですが、確かに毎日毎日たくさんのCMでお目にかかります。

好感度の高いタレントを用いるCMは王道でありそれを否定することはありません。「出すぎ」という人もいますが、強いタレントパワーに頼るのは王道であり無名のモデルを使うよりきっと効果もあると思います。

川口春奈さんは33社もあるので様々なジャンルのCMに出演されていて「商品メイン」のカルビーや味の素などももちろんありますが、ニデックやJCB、三菱UFJモルガンスタンレー証券、日本製鉄、熊谷組など「企業」「ブランド」寄りなCM、つまり「BtoB」や「企業イメージ向上」「リクルート」などを目的とした「製品差異」よりも「企業名」「企業イメージ」を伝えたいCMに「川口春奈さん」が選ばれている気がします。

トップ企業としての信頼感醸成が最大の狙いか

これは広瀬すずさんのAGCや三井不動産と同様に「企業認知」「リクルート」などが目的なのか?とも思いました。きっとそれもあるのかと思い調べると2025年の就職希望ランキング文系、理系ともにベスト100にENEOSは入っていませんでした。

私が就職した40年前の昭和の時代は「石油系」の人気は高かった覚えがあります。もちろん燃料電池やEVなどの代替燃料に向けて業界の流れも変わっており、いつまでも「ガソリン屋」ではなくいろいろと変革を起こしているので、学生にもっと認知してほしいという気持ちもあるのかもしれません。

別の見方で、以前クルマのCMが「販売店支援」の側面もあるということと同様に、ENEOSブランドを掲げる全国の販売店を支援する目的もあるのではないか、と全国のGSを調査した「GSの課題」調査結果を見てみました。すると課題の1位はダントツに「従業員の確保」でした。人手不足が深刻化する今、進んでGSに就職やバイトする方が少ないことへの支援、GSは楽しいですよ!といった販売店支援かとも思いました。

と、いろいろ悩んでいるうちに「渋谷区のガソリン価格ランキング」というサイトが見つかりました。いわゆる安いGSランキングです。これを見ると上位には50%のシェアを誇るENEOS以外のブランドが並びENEOSが出てきません。レギュラーで168円~203円と結構幅のある価格ですが、このデータだけを見るにENEOSは高い方に分布しあまり安売りをしていないように見受けられます。

結論は「わかりません」。しかし「誰をターゲットに何を伝えたいのか」についてはあくまでも推測にすぎませんが最後の仮説である「安いGSじゃなくて信頼のおけるENEOSを常連にしてくださいね!」なのではないかと思いました。

でも結果的にこういう「モヤモヤ感」がこのCMやENEOSブランドを気にしてしまう常套手段だったりするかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?