上間喜壽 独演会 辺境/FRONTIER 沖縄陰陽の感想
4/22に開催された上間さんの独演会に参加してきました。2022年の9月にも那覇で開催されていたので観に行きましたが、今回も参加したので今のところ皆勤賞。
毎回参加してる理由というか、僕が思う辺境という独演会の面白いところは、政治的なイシュー抜きで「沖縄」について、参加者全員が共通認識をもてる機会であることだと思っています。沖縄の現在地点を知れるというか。僕が周囲には「どんなイベントなの?」と聞かれれば、そう話しています。
内容は三部構成。第一部「陽」では、沖縄の成り立ちから今後の沖縄の可能性について事実(データや史実)を列挙しながら話が進みます。第二部「陰」は基地問題や政治の問題について。こちらも事実の列挙と、一部上間さん個人の意見を交えながら。そして第三部「予祝」で、上間さん自身が想う「皆んなで目指すべき理想の話し」という形式で進んでいきます。
普段、基地のこと、戦争のことは、公の場では話題にあげづらいもの。そういった空気感、雰囲気が漂うものですが、この独演会はそういう感じではない。一部上間さんの想いも含まれますが、大筋は「事実」をもとに「こういうことがあったから、これがいい点ですよね。これが悪い点ですよね」と、一つ一つ確認をするように進んでいきます。なので、多分おおよその聞いている人たちは話される内容について、個々人の観点から「その通りだな」と共感しながら進んでいくようになっている。僕のような県外出身者であっても、確かに「沖縄」ってそういうところがあるなと思えたりするわけです。沖縄出身の人たちに聞いても、「まさしくその通り」という感想が多かった。
実は「沖縄」の置かれている状況や現状をフラットに言語化がなされる機会って、それほどないんじゃないかなと思うんですがどうなんでしょう。もちろん上間さん自身の主義・主張のような箇所もありますが、裏付けとして列挙される事実がちゃんとしている。もちろん博識な人からすれば周知の事実みたいな側面もあるのだと思いますが、「沖縄」の過去・現在・未来を一つのストーリーとして語り、共通の認識を持つことができるというのが、やはりとてもいい機会なんだと思います。映像の世紀見てるのと同じ感じ。
そういえば以前、「あなたの沖縄|コラムプロジェクト」が主催する「わたしが沖縄を発信するワケ」というトークイベントもオンラインで視聴しましたが、これはこれで20代の皆さんが「自分から見た沖縄」というのをあくまで個人の主観をベースにフラットに発信していて、面白かった。
「私には、沖縄ってこう見えてるよ」という感じ。上間さんの独演会もそうだけど「自分から見た沖縄」というテーマは、「思惑」がどこにもないからこそ聞いていて面白いのかもしれない。
個人的に第二部「陰」の箇所で「弱者アイデンティティー」や「怒りの感情で行われる対話」という点において、もしかしたら自分たちのことを一番表現しやすいウチナーグチという「言語」を失いつつあることも影響しているのではないかなと毎回思います。歴史的・社会的要素が複雑である、最も重要な言語が無い。これでは言葉にならない気持ちを「怒り」で表現するしかない。というのも大いにありそう(詳しい人に聞いてみたいところ)。上間さんが言う「弱者アイデンティティ」も、ある種の「アイデンティティクライシス」なのでは。
ここまで書いて改めて、沖縄特有の共通の言語がない場だからこそ、こういう機会って大事だなと思った次第。
あと最後に特に好きな箇所を挙げるとしたら「クオリティの高い遊び」であること。ここまで振り切ってこんなことやってるのが一番好きかもしれない。映像のクオリティも高く、最後にはラッパーが現れ、三線で締まる。まるで新しいお祭りみたいな。こういったクリエイティビティを持ち込んでるあたりも、個々人が想像し、どう解釈するかを求められているのだと思います。
以上個人的な感想でした。3回目?もちろんまた参加します(笑)