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事業立ち上げからの約8年。(2020年12月30日追記)

今年でTopothesia開業から7年目。準備期間を含めると8年くらい経ちました。たくさんの支援をいただく中で、今年は令和元年度沖縄県産業・雇用拡大県民運動(みんなでグッジョブ運動)推進功労者として県から表彰していただきました。学生が思いつきで始めたただのコワーキングスペースの立ち上がりからこれまでの約7年について。収益化できてるコワーキングって結構稀なんじゃねとは思いますが、自分語りで5000文字超なんで読むのはおススメはしません。

●2011年〜2012年くらいの話
僕自身が就活をする中で東京のコワーキングスペースを多用していたのが始まり。(今はもうないですが、原宿のTHE TERMINALというコワーキングスペースをよく利用していました。)大学院修士1年目から2年目の夏頃にかけてだったと思います。時期的には2011年から2012年の夏頃まで。当時は就職プチ氷河期でまあまあ就活苦しんだというのは余談。コワーキングスペースなるものが沖縄に、かつ学生向けであったらいいなあとか思ってたら、研究室の後輩との話が盛り上がっていって、2012年の12月頃に修士論文そっちのけで資金調達の動きをスタート。

沖縄の学生が自由に使えて、個々人の「やりたいこと」を実現するために必要な人とのつながりや、情報が集う場所を作りたい。という、今思えば至極平凡な目標でした。

●2013年の話
僕自身は2013年の4月から東京の広告制作会社での勤務が決まっていたので、とにかく資金調達とかお金周りが僕の役目。立ち上げメンバーは僕以外に2人いて、彼らは現地で店舗の内装を進めたり、必要なものを買い集める担当でした。事業計画書なんて当然見たこともなかったけど、見様見真似で一生懸命書いて卒業式後そのまま宜野湾商工会に企画書を持ち込んだのは懐かしい話。宜野湾商工会のおっちゃん、コワーキングスペースのコの字も知らないうえに、その時はえらい怒られて「こんな学生の夢ごときに誰が金を出すんだ」と追い返されました(笑)。あの時は「なんだこのおっさん」と思ったけど、僕の書いていたPLの甘さが今ならよくわかります。

それから僕は東京で広告制作のディレクターとして働き始めるのですが、同時進行で約半年かけて事業計画書を作り上げ、ついに銀行から500万の融資をいただけることに。そのタイミングで沖縄では内装工事をスタート。新卒でそんなお金なんてなかったけど、定期的に休みは沖縄にきて、僕も内装工事を手伝っていました。そして2013年11月15日に無事開業(最初のフライヤーが11月1日となってるけど、2週間遅れでの開業)。後から思えば、社会を知らない若者だと言うことで内装工事の業者さんや、大家からも足元見られまくって、ほんと理不尽な契約が多かった。借りている物件の下水が壊れているのを自腹で直させられたり、雨漏りも自分たちでなんとかしたり、変なところでお金かかりまくってた。

●2014年の話
開業してからまさに地獄で、まずお客さんが来ない。収支計算の表には利用者数を打ち込める表があったんだけど、当然0が並び続けていました。どうやったらお客さんが来るんだろうと言いながら1年が過ぎていくのは本当苦しかったです。当然単月でさえ黒字化したこともなく、特に仕事のないスタッフを3名雇い続けてたりしてたのもあって資金繰りが怪しくなり、ぼくは会社で稼いだ給料をトポセシアに突っ込み始めることに。自分の給与を、そのままスタッフの口座に送るのは辛かった。働いても働いても貧乏になっていく感じ(笑)。この時は沖縄でアンティーク家具を仕入れて県外に転売するなどして、なんとかお金をやりくりしていました。
ちょうどこれくらいのタイミングで、学生から利用料をもらうだけじゃ厳しいし、東京の企業を呼んでビジコンを開いたりとかする中で、就活に関する分野で収益を作るのもありかもしれないなと、少しずつ企業からお金をもらうという路線も考え始めた感じです。今じゃ10名、20名集まる自己分析ワークも、初めての開催は参加者数0人でした。そういえば、この時期はパンの販売とかアイス食べ放題とかしてたな(笑)。

●2015年の話
2年目に入る直前くらいから立ち上げメンバーが辞めたいと言う話がではじめる。とにかくお客さんが来ず、イベント持ち込みとか企画をやってもうまくいかないという話だったけど、本当に細かくイベントを打ったり、いろんな角度から利用者を獲得しようとする動きができていたのかと言うと、もっとできることはあったよなあというのが本音。ただただ毎日足を運んでくれる顧客を待ち続けているだけだった。ようやくいろんな人たちにイベント利用してもらえそうになったタイミングで、行政から創業補助金的をいただくことに。メンバーはこれを返済に当てて、店を畳みたいと言う話をしはじめる。僕はこれを使ってもう一回伸ばしに行こうという考えだったので、意見の相違でぶつかりはじめます。2014年から2015年くらいはこの話でぶつかり続け、最終的に僕が一人で続けていくと言う話になったのが3月くらい。会社には事情を説明して「会社を辞めたい」と言う話をしましたが、「辞めるのはお前のわがまま」と怒られ会社を辞められず。社長のお情けでTopothesiaを掛け算にできる新規事業を考えろと言われ、勤めている会社に事業売却。お金は全部借り入れていたお金の返済へ。(それでも個人的な借金は200万くらいはまだ残ってたけど。)このタイミングで、登録者数は2000名弱くらいだったかな。

2015年はスタッフの数を10名以上に増やし、関係者人口を増やすことで利用者獲得を目指しました。売り上げはそれまでの3倍から5倍くらいまで増え、単月での黒字化も(ただし僕の人件費は除く)。スタッフごとにイベントを企画してもらい、染め物のイベントや学生が企業の人事向けにプレゼンするイベントを実施していきました。2015年の7月からは完全に勤めている会社の一新規事業に。このタイミングから就活支援事業をスタート。

夏頃までは県内の人事が参加するイベントに足繁く通っては関係性を構築。所属している会社も県内では知られていない、トポセシアも学生集めて怪しい事やってる場所くらいのイメージ。そんな中で収益化しなきゃと一生懸命走り回ってました。外部で活躍している営業の方に営業先のリスト見せてもらったり、営業資料に混ぜ込んでもらったり。初めてスポンサー決まったのもこの時期で、確か2015年の8月とか。会社としてはまだまだ赤字事業だし、僕も県内で細々とクリエイティブの仕事をもらいながらなんとか延命していた。この年の秋口に、会社に新しく外部から役員が入ってくるんだけど、これが完全に転機。徹底した市場調査から始まり、ジャストアイデアではなく商品の価値をどこに置くかと言った議論を徹底的にやり、改めて企業側に提供するものを決める。Topothesiaの価値を「学生の就労感を伸ばす」ということに定め、学生からはお金を取らず徹底的に学生のためになることをしようと。このタイミングで一番苦しかったのは、社会的に意義のあることではあるけど、それでも稼がないとその価値を提供できないこと。このタイミングのインターン生にはほんと感謝してもしつくせない。社員は本社から1名送ってもらって僕と2名+インターン3名。店舗スタッフが8名くらいの組織規模。冬には、Visions+campという企業人事と泊まり込みで自己分析やるイベントの開催と個別面談をスタート。これが本当によかった。ただ接点を持つだけのイベントではなくて、長い時間かけて伴走していくツールができたことで、単発のイベントしかなかった場にコミュニティが出来上がり始めた。この経験が、後々CODE BASE立ち上げとかですごい活きてくることに。

あと、外野でワーワー言う人も増えてきた。大学のよくわからん客員教授みたいな人に呼び出されて、学生を売り物にして楽するな!とか怒られたり(笑)。元人事で俺は人材のプロだから!みたいな変なマウント取られたり(笑)。やってることの説明も聞かず、イメージだけですごい色々言われたなあ。そんな楽なことやってないんだけど。

●2016年の話
2016年はひたすら価値を磨く年。やらないことを決めて、集中していく年だった。就活生でいくと2017年卒の学生さん達の支援がメイン。就活生だけで150名くらいの利用者を獲得。(年間、沖国と琉大で民間就職する人数が1600人のなかでいうと10%いかないくらい。)Visions+campも継続開催でだんだん精度が上がってくる。自己分析ばっかやらせてる場所みたいな間違った見え方もこれくらいのタイミングじゃないかな。基本的には内省する行為と、いろんな企業に行って大人と会話する行為どちらも大事と言い続けてる。やらないことを決め、細かく経費を削りながら、売れるものを地道に売っていく。県外に本社があるITベンチャーを中心に営業をかけたりしていたのも実は理由があったり。営業戦略も出来上がってきて、とにかくコツコツ積み上げた1年でした。(地道な1年過ぎて全然記憶がない。)

●2017年の話
2017年は初の通期黒字化。この年黒字化できなければ撤退と言われ続けた年。すごい太った(笑)。店舗を完全無料化し、生き残るためにも就活支援に完全に振り切り始め、店舗運営スタッフを撤廃。経常利益で150万くらい残って首の皮一枚生き残った。もともとやりたかったことは、学生自身が自己実現していく上で必要な人とのつながりや、情報を提供できるようなプラットフォームを作ることだったので、手段が就活になっただけ。大きくぶれたことはしていない。むしろ市場分析から見えてきた「学生の活動が働くと言うことに対して何故不活性なのか」という点を解決することが、本来の「学生の自己実現」ととても密につながっているなと思うようになった。この冬から社員3人体制。学生への価値提供をより明確にするためにも、自己分析のやり方を大きく変えて、喜怒哀楽ワークを導入(R社の部長職任用の際に用いられるフレームワーク)。学生自身の価値観を整理し、自己実現や企業選びの軸を考えるお手伝いを面談のなかでも徹底。

CODE BASEもこの年立ち上げはじまった記憶です。

●2018年〜2019年の話
2018年、中小企業課題解決プロジェクトに選ばれる。年間沖国と琉大で1600人民間就職するうちの約400名が利用するサービスに成長し、さらに社員が1名増える。2019年冬はトポセシア初の100名規模のイベントに挑戦。大手企業も参画してくれるようになってきた。夏には県から令和元年度沖縄県産業・雇用拡大県民運動(みんなでグッジョブ運動)推進功労者として表彰。取引のある企業数も2015年は5社程度だったのが、現在は通年で40社弱に。人員もさらに増加。助成金はいただいていますが、あくまで事業を進化させるためです。なくても単体黒字化になるよう徹底しています。

CODE BASEはおかげさまで広がっていっているし、本業の方のブランディング事業もちょっとずつ種まきできている。

Topothesiaの新たな挑戦として今仕込んでいるのはオンラインサービス。ここまでオフラインで走ってきたけど、今後の収益の柱として新しいサービスを走らせている。先回りしてこういう事業の種をどんどんまけているのはすごくいい。

●2020年の話(2020年12月31日追記分)
これは別に僕たちだけに限った話ではなく、コロナの影響がちゃんと出た1年でした。4月頃から、面談・イベント共にオンライン化。夏時期には軒並み中止になっていくインターンシップを踏まえて、企業と学生をオンラインでつなぐ、OBOG訪問weekを実施。例年開催してきた就活合宿は中止となり、100名超が参加するOBOG交流会もオンライン化。もちろん、影響がないといえば嘘になる。学生さんに他の就活サービスとの違いが伝わりきらず、ドタキャンが増えたりと今まさに改善している要素も結構ある。(ここは本当に課題。。。)

ただし結構イノベーションが起きた点もたくさんある。ライングループのオンラインサロン化と、youtubeやウェビナーを活用した活性度向上の試作。自己分析ツールもオンライン化し(自分史ート)、イベント内容も刷新できた。トポセシアオンラインという企業と学生のマッチングサービスもスタートした。次の収益の芽が育ち始めている。

集客から学生面談までのあらゆる点をデータ化できるようになってきたので、どこに問題があるのかが数値で見える化され始めている。もともとオフラインでのコミュニティ形成はしっかりできていたので、オンラインの筋力を鍛える1年になった。おかげさまで収益は伸びているので、オンライン化してもクオリティ高いサービスにしていくトライが来年も求められる。

●今後の課題とか
とにかく、面談、集客の動きをもっとクオリティを上げていくのが何より優先。オンライン化していくのはとても効率よく事業を回してい蹴る側面もあるが、手間暇かけないと他のサービスとの均一化がとても進行してしまうところが難しい。まずはしっかりと僕たちが大事にしたいことを発信し続けることが大事だし、改めてもっと学生さんのためになることを中心に事業を組み上げていくことも大事。2021年は、とにかく売ることから、改めて軸を振らさず“学生のため”を軸に事業を推進していきたい。

8年くらいやってきた気づきみたいなもの。僕個人の感想なのであってるあってないとかの話ではなく。
●磨き続ける価値をどこに置くか。集中と選択とよく言うけど、事業として磨くべき価値に集中するというのが一番大事。
●細かくやることを変え続けること。KPIが大事なのではなく、その数字のためにどれだけトライアンドエラーできるか。大きな方針(KPI・KGI)は変えず、その中でのやることは本当にどんどん変えていかないといけない。準備に時間をかけるより、その場その場で流動的に動かせる意識を持てるかどうか。
●諦めない。お金がない時もあったし、生活できなくなるかもなあみたいなこともあった。けど、実現したいことがあるのであれば、その場その場でどう切り抜けていくかを考えて実行するだけ。諦めるという言葉がそもそも存在しない。とにかくやり切る意識で。
●短期的な収益に飛びつかない。これが一番ブレる要因になる。しんどくても耐えることは必要。
●いつも道半ば。なんかやり切った!とかっていう瞬間は永遠にこない。事業を伸ばしていくのが僕の役目なので、これが終われば次はこれ、次はこれ。ずっと先を見続けること。

コミュニティづくりの観点だと、CODE BASEもTopothesiaも、教育的コンテンツと、新規層の取り込みのところで色々と仕掛けがあるのは事実です。この辺りはまた気が向いたら書きます。

ここまで書いて、やっぱりいろんな企業の方々や、メンバーのみんな、出会ってきた学生さんたちのおかげでここまで来れたなと思っています。来年はどんな1年にしたいかというと、より価値のある場にしていきたいの一言に尽きます。今年も1年間大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

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