思い浮かぶ?『スト6』の売れるプロゲーマー、売れないプロゲーマー。その違いはこれだ
先に書いておくが、この記事にはいわゆる裏話は一切ないので変な期待はしないでほしい。あくまでeスポーツファン、『ストリートファイター』のプレイヤーとしてプロシーンを見続けてきた私の視点で書いたものであることを断っておく。
この記事では人気/不人気のプロゲーマーの違いについて書いていく。中には至極当たり前のことも書いてあるが、少しでもeスポーツに関わったり、プロゲーマーという職業に興味があったりする人には最後まで読んでほしい
人気のある人、売れている人
プロゲーマーは十分な実力があり、大舞台にも立って目立っているのに、なぜ人気に差があるのか。それを考えたとき、私は3つの答えに辿り着いた。
ちなみに、ここで言う人気や売れているかどうかのバロメーターは、私の主観のみだ。本来なら具体的なSNSのフォロワー数や動画の視聴数を例示するべきだとは思うが、あくまで趣味でやっていることなのでそこは割愛する。
1.個性または自己主張がある
これは特に格ゲーマー人狼を見ていて感じたことだ。格ゲーマー人狼に何度も出演している人やコメント上で人気のある人は、自発的にゲームを動かす人や強い個性を持っている人だ。
カワノ選手は独自の理論を展開するし、ふ~ど選手は今までにない展開を作ろうと作戦を立てる。また、大須晶さんやハンサム折笠さん、ケンジさんのような人は強烈な個性があり"五辛"という異名を与えられている。こういった個性がある人や自己主張がある人は人気が出やすい。
プロゲーマーの配信の例でいえば、ボンちゃん選手は"ジャスティス"とか、ネモ選手は"投げキャラ嫌い"とか、板橋ザンギエフ選手は"投げキャラ使い"とか、二つ名のように一言で言い表せる個性を持っている。
流石にそこまで端的に表せる人は多くはないが、それ以外の例をいくつか挙げておく。
ガチくん選手
広島弁で人が好さそうで、親しみやすい。
カワノ選手
変なことまでしっかり検証する。
ウメハラ選手
たとえ話が多く、上手い。
ナウマン選手
優しいイケメンに見えて、サイコパス。
上に挙げた例は、いわばお笑い的な面白さだ。英語でいえばfunnyにあたるようなものだが、そうではなく興味深い、interestingな面白さがある人もいる。ふ~ど選手やsako選手はその例だろう。
もちろん彼らにもそれぞれの個性的な魅力もあるが、彼らは人に何か言われたくらいでは曲がらない自己主張を持っていると強く感じる。それが視聴者からの「この人のプレイは参考になる」、「この人に質問すれば正しい答えが返ってくる」という信頼感に繋がり、一笑より一勝を求めるプレイヤーからの人気を得ているのではないだろうか(少し上手いことを言えたかも)。
2.ファンサービスが手厚い
ファンサービスは印象に大きく関わる。それまで「好きか嫌いかでいえば好き」とか「たまたま配信中だったら覗いてみる」程度だった人でも、一度のファンサービスでガチのファンに変わることだってある。それくらいファンサービスは大事だ。
もちろんリアルで会って対応する方が強いが、配信においてもファンサービスは可能だ。「いつも見に来てくれてありがとう」など名前を憶えていることを暗に伝える、個人にコーチングをする、プレイを褒める、など。単にコメントを拾うだけでは「数ある名無しのコメントをたまたま読み上げた」と思われるので、特定個人へのサービスと思われるような工夫をしていくことが大事だ。
それは一見たった一人だけのためのようにしているようにも見えるが、他の人も「同じように取り上げられたい」と思わせられれば効果は大きくなっていくはずだ。
下記に、私が実際にしてもらったファンサービス、見かけたファンサービスを例としていくつか挙げておく。
アールさん
10年以上前に私の勤めていたゲーセンターへ来店して声を掛けたことがあるのだが、そのときのことを覚えていてくれた。「確かそのとき、コミュニケーションノートに何か書きましたよね。」といった具合。
ガチくん選手
街中で見かけたときに「さっきすれ違った人、ガチくんに似てない?」「あ、本物のガチくんだ!」と言っていたら、乗っていたエレベーターの閉じかけのドアをわざわざ開けて来てくれた。プライベートにも関わらず。
総師範KSKさん
声を掛けて記念写真を撮ってくれたのだが、その後進んで握手をしてくれた。
カワノ選手、ウメハラ選手
配信中にコンボやセットプレイを教えてもらったとき、〇〇式とコメント投稿者の名前を付けてそれを扱う。
ササモ選手
質問を随時募集し、かなりの高頻度で多数に対して回答している。
3:スポンサーの宣伝をしっかりする
カワノ選手がTwitterに上げた写真で、凄く印象に残っているものがある。それは、ディズニーランドでHitBoxを持って撮影された写真だ。夢の国にあんな大きなコントローラーを持っていくなんて、普通だったら考えられない。好きなものと写真を撮るとしても、普通は小さいぬいぐるみとか、アクリルスタンドとかその程度だろう。カワノ選手は重さ2kg、大きさにして46cm×23cm×9cmという無用の長物をわざわざ持参し、記念写真を撮っているのだ。正気の沙汰ではない。
この写真にどれだけ宣伝効果があるかは分からない。むしろこの写真を見て「HitBox買おう!」と思う人がいれば、それもまた狂人だ。
しかし、スポンサー企業から見たらこのような無意味と思われる活動でもかなり好印象に見えたはずだ。そもそも企業は写真を上げもらったことで売上が上がるなんて短絡的なことは考えていないだろう。それを望むならもっとストレートに商品やサービスの良さを伝えて、販売ページに誘導した方が手っ取り早い。しかし、カワノ選手の上げた写真のような活動は、恒常的に見せていくことで「次にコントローラーを買うときの選択肢」として候補に挙げらられるようになるだろう。
私自身eスポーツにかすっている会社で働いた経験がありスポンサー関連のことも触れたことがあるが、積極的・能動的に選手がPRすることは非常に好印象であると聞いた。反対に、ロゴの掲載だけのような消極的なPRはほとんど評価していないと感じた。
カワノ選手と同様にスポンサーの宣伝をしっかりしていると感じた例をいくつか挙げておく。
ときど選手
・冒頭に必ず「ロートZ!のときどです!」と挨拶をする
・大会でカメラに向かってロートZ!を見せつける
ストーム久保選手
・動画の最後に企業名を読み上げ、サービス内容まで長時間表示する
・同じタイミングでスポンサーへの感謝の言葉を述べる
ガチくん選手
・レッドブルの帽子を常に被っている
特にストーム久保選手に関しては、ゲームとは無関係なスポンサー、さらには対企業向けのサービスでもしっかりとPRしていて素晴らしい。視聴者層とミスマッチにも見えるが、格ゲープレイヤーの中には社会人も多いと思われるので無効化ではないだろう。ここまでやると逆にお金の臭いとかいやらしさも消えて、スポンサーへ感謝する姿勢がむしろ好感へと繋がる。
いまいちパッとしない、売れない人
上に挙げたことができていない人は、実力があってもパッとしない人が多いと感じる。具体的な選手名は避けるが、以下のような人だ。
個性、自己主張に関しての悪い例
・配信がずっとランクマッチの様子を流しているだけ
・対戦以外にすることが、解説、攻略の紹介だけ
勘違いしないでほしいのが、格ゲー以外のゲームをすることが個性や自己主張には簡単には繋がらないということ。視聴者の9割はプロゲーマーの実力を評価し、そのプレイを見たがっている。それ以外のゲームをプレイして興味を持たれるのは、その人自身の魅力が既に十分に伝わっている場合のみだ。
ファンサービスに関しての悪い例
・たまにコメントを読み上げるだけ
・イベントで忙しそう、または不愛想で話しかけづらいオーラを出している
・イベント中、歩くのが速く声を掛けづらい
常に笑っていたら薄気味悪いが、少し口角が上がっているだけでも人の印象はかなり変わる。対戦中はともかく、移動中や談話中は細かい表情や立ち方、姿勢まで気を配るべきだろう。
スポンサーの宣伝に関しての悪い例
・企業ロゴを配信中に表示しているだけ
・新発売の製品紹介など、企業から要請があったときだけPRする
これはスポンサーとの契約内容にもよるし、安請負いや無償でのサービスをしすぎると相場を下げる可能性もあるので一概に悪いとは言えないところもあるだろう。あくまで個人的な意見としては、下積み時代は多少の安請負をしてでも次の大きな一手へ繋げた方が良いとは思うが。
実力だけではダメ
あなたは「SFLに出場しているけどパッとしない人」と言われて思い浮かぶ選手がいるだろうか。そういう人は十分な実力を持ちながらも、私が挙げたようなことが何か足りていないとは感じないだろうか。
もちろん人気の要因は本人以外にも様々なものが絡んで来るし、本人の努力ではどうにもならない部分もあるだろう。しかし、それでも上記のようなことができていなければ、そもそものスタートラインに立ててすらいないと私は感じる。
もしこれを読んでいる人の中にプロゲーマーを目指している人がいて、少しでも納得するところがあれば今日から実践してみてほしい。そして私に感謝してほしい。それも言葉ではなく、形として。具体的にはお金とか。
さておき、もし暇な人がいたら以下のようなことをやってみてはいかがだろうか。
1.プロゲーマーの人気度をSNSのフォロワー数からTier表にまとめる
2.その人の配信でやっていることをまとめる(コメント拾い、企画)
3.SNSでファンサービスを受けた人のツイートを集める(数、内容)
4.SNSや配信でのスポンサーのPRをまとめる(ロゴ表示だけかどうか)
きっと面白い相関図が見えるはずだ。