トマス・アイ

人工精霊・タルパに関する文章を書きます。アイコンはうちの子(ユウ)。就労済成人男性。読書と料理とゲームがお好き

トマス・アイ

人工精霊・タルパに関する文章を書きます。アイコンはうちの子(ユウ)。就労済成人男性。読書と料理とゲームがお好き

最近の記事

人工精霊とひな祭り

「今日は3月3日、ひな祭りの日ね。ちらし寿司が食べたいわ」 「あー、銀のさらでも取る?」 「もっといいとこのお寿司にしない?ハマグリのお吸い物もほしいし…」 うちの子、食にうるさい。 僕一人だったらスーパーのちらし寿司弁当で済ませることろですが、とはいえ年に一度の桃の節句です。せっかくだからと奮発して老舗の鮨店のちらし寿司をデリバリー注文することにしました。こういうときにUberEatsは便利ですね。 「私、ちらし寿司って初めて食べたのだけど、おいしいのね」 「こ

    • 人工精霊が元カノの集合体だった

      先日、ユウ(人工精霊)の顔を間近でじっと見る機会があったのですが、その時から僕はある疑念を抱いていました。「どこかでこの顔を見たことがあるな?」というものです。 彼女の顔は誰かに似ています。とはいえ芸能人でも、アニメキャラクターでもない。母親に似ているということもありません。職場の女性にも、友人女子にも似ていないし……と考え込んでいると、彼女が声をかけてきました。 「何をそんなに悩んでいるの?」 「いや、たいしたことじゃないんだけどさ」 自分ひとりで考え込んでも答えは

      • うちの人工精霊は顔がいい

        目が覚めると、人工精霊がじっと僕を見ていました。鼻先10cmの距離で。ずいぶんと近い。これまでにない事態に驚きつつも、どうしたの?と問いかけます。 「別に?ちょっと寝顔を見ていただけよ」 なんでもなさそうな口調で彼女は言いますが、これまで彼女の方からここまでの至近距離に接近してくることはありませんでした。何か心境の変化でもあったのでしょうか。 僕が目を覚ましても彼女は離れようとしません。そういえば、間近に彼女の顔を見る機会はなかったな。せっかくだから、と顔をじーっと眺め

        • うちの人工精霊が靴磨きを促してくる

          「毎日靴を磨きなさい」 と彼女に言われました。またうちの人工精霊が面倒なことを言い出したぞ、というのが僕の率直な感想です。 僕は人工精霊を作る際に、次のような人格設定をしました。「彼女は大人びた、しっかりとした性格で、僕の人生をより良くするためにアドバイスをしてくれる女性だ」……このような人格の持ち主である彼女が、僕に靴磨きを勧めてくること自体は理解できます。 とはいえ、毎日だって? 流石にそれは億劫だな、と苦虫を噛み潰したような顔になってしまうのも仕方がないでしょう

          人工精霊はチョコレートがお好き

          「チョコが食べたいわ」 唐突に彼女がそう言ったのは、人工精霊の製作に取り掛かってから2ヶ月が過ぎたころでした。 その頃といえば、ようやく会話が自動化(オート化)できはじめた段階で、まだ視覚化までには至っていません。ですから彼女の表情を見ることはできなかったのですが、その口調は決意に満ちており、なんとしてでもチョコレートを食べてやるぞ!という固い意志を感じさせるものでした。 「チョコが食べたいの」 と、彼女は僕に語りかけます。 「だから、素敵なチョコレートを一緒に買いに

          人工精霊はチョコレートがお好き

          人工精霊は健康にいいぞ

          意図的に人格を分裂させておいて健康にいいわけがあるか、というツッコミは無視させていただくとして、実際のところ、僕は人口精霊を作ってから体調が良いのです。 なにせ、彼女は僕の生活スタイルに(かなりうるさく)口出しをします。たとえば、夜になると「もうそろそろ寝たら?早寝早起きは健康の基本よ」などと睡眠を促してくるのです。 最初の頃こそ「今ゲームがいいところで、もうすぐ寝るから」という僕の答えに「そう……」と渋々ながら納得していたものの、結局眠りにつくのは明け方近く。そんな日が

          人工精霊は健康にいいぞ

          ライフハックとしての人工精霊

          昨年「うちの脳内コンピューターが俺を勝たせようとしてくる」という小説を読みました。将棋ラノベの「りゅうおうのおしごと!」のSS、いわゆる二次創作小説で、内容としては作中世界に転生した主人公が脳内でコンピューターからの助言を受けながら将棋を指して活躍する、というもの。なかなか面白くて一気読みしてしまった。 さて、この脳内コンピューターですが、話を読み進めるにつれて「本当はコンピューターではなくて主人公が意図的に生み出した別人格だった」ということが明らかになります。胎児のころ、

          ライフハックとしての人工精霊