見出し画像

なぜ大人になると虫が触れなくなるのだろうか?


 右手に虫取りアミを持ち 、首から斜めに緑色の虫かごをかける。白い色のランニングに青色の半ズボン、そのポケットには石ころがいくつも入っている。そして頭に麦わら帽子をかぶる。これで完璧。

 あの頃の街には、原っぱや池がたくさんあった。バッタやイナゴ、アゲハ蝶にシオカラトンボ。季節によって虫の種類も変わる。池にはドジョウやザリガニ。メダカやタナゴなどを見ることが出来た。虫を取ったり魚を取ったり。今では考えられないが、あの頃の僕は素手で虫に触ることが出来たのだ。蜘蛛やダンゴムシだって普通に触れた。残念だが、いまでは気持ち悪くて何も触ることが出来ない。それでも虫には興味がある。さすがに草むらには入って行くことはないが、たまに虫を見つけるとスマホで写真を撮る。

 なぜ虫を触れなくなったのだろうか? 例えば、虫について詳しくなり、虫の怖さを知ったという訳でもないし、虫から害を受けたといえば、蚊に刺されたぐらいだ。

 他に大人になって嫌いになった物は? 雨や雪。降れば外に行くのが億劫になる。特に雪なんて降ると仕事に行くのも大変だし、雪かきだのと余計な仕事が増えるだけだ。それぞれ理由があるから納得できるが、他に嫌いになった物は浮かばない。逆に食べ物なんかは大人になって好きになった物ばかりだし。勉強も今では「しとけば良かった」とも思っている。なぜ虫だけ触れなくなったのだろう。手が汚れたら洗えば良いし、なにより虫は小さい。仮に襲ってきても手でかわせるし、毒を持っている虫なんて一部だけだ。嫌いになった出来事もトラウマも浮かばない。

 そういえば子供の頃、昆虫の標本を作りたかった。標本のセットという物が売っていて、虫を針で止めたりして作るのだけれど、少し難しそうで断念した。

 今年の夏は虫取りに行ってみようかな。やっぱり虫に触るのは嫌だからスマホで写真を撮ったら一匹捕獲。野原や川辺の草むらには何種類くらいの虫がいるのだろうか? 大人の夏休みの宿題、自由研究といったところだろうか。何匹と写真を撮っていってたら、そのうち触れるようにもなれるだろうか?

 まずは、麦わら帽子と虫よけスプレーを買おう。虫取りに行くのに虫よけスプレーとは我ながらアホっぽいけどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?