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ゴミの城〜014~あっという間に過ぎていく時間とゆっくりな時間

これまでのお話

久しぶりに文字を書く。実家のゴミ屋敷の掃除をしながら、その模様をYou Tubeで動画をあげたりもしていたのだが、夏の初めに子供がコロナウイルスに罹り自分も罹患してしまい回復後、待機期間を過ぎて、いざ実家へ行こうかと思った矢先に、また別の子供が今度はインフルエンザに罹り、その待機期間を経る前に僕の友達がコロナウイルスに罹り、またその子供が罹りと……。高齢の母親に感染してはマズイと思い、実家には足を運ばなかったのだ。

そのまま心が折れてしまった……。

その前から実家に行っても椅子に座ってばかりだった。思ったように進まぬ作業、何かをすると五十肩で肩に痛みが走る。ゴミを綺麗にするのには何年かかることやら。母親はときどき意味不明なことを呟き、ほとんど二階の布団で横になっている。実家は去年の夏に亡くなった父親が物を捨てられずゴミ屋敷になったのでたくさんの物だらけだ。僕にとっての想い出の品も多数でてくる。家族写真に卒業証書。子供の頃に使っていた茶碗やアイドルのレコードなんかも。それに見たこともなかった父親の高校のアルバムまであった。

想い出に触れる度に、頭の中に子供の頃の幸せが「ふわっ」と広がるが、すぐに目の前の現実がそれを打ち消してしまう……。

夜中に何度もトイレに起きる。髪が薄くなり頬の筋肉も垂れてくる。早朝に歯を磨き、鏡に映るのは老いて気力を失くした己の顔だ。同じように気力が失くても若さに任せて飲みすぎた二日酔いの顔とは程遠い。無駄遣いをしてばかりの人生で今となっては使える金もない。芸能人の訃報のニュースが心を蝕む。憧れたスターは次々と逝ってしまう。人は死へと向かっているのだ。

なんのために生きて行くのか……。

実家へ行くという気持ちが重くなっていった。兄が母の面倒を全て負担しているので顔を出さなくてはいけないのだが、溜息が重くて重くて下を向いてしまう。せっかくYou Tubeを見てもらって、コメントを頂いたりして応援してもらったのだが、申し訳ないことに心が折れてしまった。

なんとかしないと……。

時間が過ぎていった。それでも10月になってからは、なんとか実家に足を運ばせて少しずつ掃除をしたり、母親とスキンシップを取るようにしている。以前は実家に行けば長い時間作業をしていたが、少しずつやれることをやることにした。動画も作らないと。ちょっとだけ分かったことがある。

時はあっという間に過ぎていくが、心はゆっくりと動いている。歳を取ると時間を合わせるのは少しだけ難しい……。

少しずつ。少しずつ。

動画をご覧になりたい方は~こちらから

続く 〜015~ モチベーションを上げるには


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