最期の願い〜002〜ショートストーリー
「では、次の者入りなさい」
静まり返った冷たい廊下に低い声が響き渡る。
「失礼します」
男がドアを開け、会釈をして部屋の中に入ると、向かいの壁際にテーブルを挟んで五名の面接官が並んで座っていた。ずいぶんと広い部屋だ。その部屋には窓もなく、電灯もうす暗い。重苦しい雰囲気が漂っていた。部屋の真ん中には安っぽいパイプ椅子がひとつだけ置かれている。男は五名の面接官の視線を一斉に浴びながら、その椅子を目標に歩いた。
「座りなさい」
男が椅子のとなりに来るのを待って、中央に座ってい