一色十花

自作の現代詩や映画レビューなどを書いています。 明けない夜も、そこに生きるあなたも愛しています。

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最近の記事

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差異愛

君といると孤独を感じた それを弱虫だと世間は隠した ほんとうは気づいていたのに 強くないと愛は生まれない それが正しいこととしないと 自分、自分たちが消えそうだったから だから君が羨ましくて 君の目線を真似したけれど いつの間にか足元を見てしまうから 繋いだ手の先が 私にとっては手でも 君にとっては腕だったかもしれない そう感じたのは 1歩先に君を見つけたから 並ぶことの無い足を見つめた 私は孤独を共有したかった あまりにも違うことに 発展が生まれてきた歴史ならば もっ

    • 変身

      夜の波打ちを上手く歩けないように 光が射さない時間は 恐ろしく 少しだけ 許されてる気がした 砂浜で目指したのは 孤高の灯台 その目に映るには 夜の海へ たった1人 漕ぎ出す必要があった 全て飲み込んで 高らかに叫んでくれ 海も空も境目がわからない今 星に手が届くのは今だけだ 壊れた花瓶を 一生懸命もとに戻そうとする 綺麗な花を差す 純度の高い水を注ぐ 隙間から逃げようとする 居心地の悪さに もう僕は見ていられなくなる 不安定な球の上 落ちない不幸は 諦められない悲し

      • 『名探偵コナン100万ドルの五稜星』はやくみたい

        「めっちゃ良かった…」 「あれとあれは事前に見とけ」 「大泉さん笑」 「おおい済」 ………… ……… … みたああああああああああい!!はやくみたいみたいみたいみたーい! なに、何が起こってる?何が明かされた? Adoが紅白でコナンのパラパラ決めポーズかましたこと???(ラジオ情報) 気になって夜しか眠れん! はい。 というわけで、コナンの映画今年も始まりましたね。 きっとこの記事にたどり着いたということは、もう見終わって、何が明かされたかも知って、得意気な顔でX(旧T

        • 創作

          タイムリープ してるみたい あの頃は毎日が 冒険だった 家の中でも 自分自身で 遠くへ行けた あの頃よりも 大きくなって お金も増えて 電車どころか 飛行機にも 1人で乗れるのに 自由から遠のいている 気がする もっと遠くへ 私を連れていきたい 期待も騒音も 何も聞こえない所へ 私は自由だから

        • 固定された記事

          ハッピーエンド

          本のページを1枚めくるように ハッピーエンドに近づけばいい たとえ今の私がたどり着けなくても 愛するあなたが笑顔ならいい 少しの勇気は私から見れば人類の第一歩 意地悪しないで 誰も傷つけないから 良い人ばかりで嫌になるね だって誰も悪くないから みんな一生懸命に生きてた 夢から醒め 私たちは涙を流した 美しい涙など どこにもなかった あなたに手紙を書きます あなたの幸せを願います そのために私は今を生きます アルバムを1ページめくるたびに 自分を認めてあげればいい たと

          ハッピーエンド

          同じ穴のムジナも 志が同じじゃなかったら 簡単におもちゃのナイフで 切りかかる真似をする 安い錠剤をゼリーで包んで もっと優しい世界へ 往復切符をスマホ裏に挟んで 急行トリップ誘って いつも笑ってるからって 馬鹿にしないで 誰のために生きてるかなんて 改めて聞かないで 愛してるで満たされた 昔の私たちじゃない そうでしょ? 直ぐに満たせる欲を 簡単に自尊心に繋げて この世の春と歌って ゴミ捨て場をランウェイに 美しく散る覚悟も権利も持たない それでも蝶になれると 心の

          【詩】2月14日

          祝日ではない、 誰かの思惑で誰かが勇気を貰う日。 溢れかえる恋愛や友愛、自愛…。 本心を伝えるハードルがぐっと下がるから、 言えないこともある。 そんな事がないと言えない訳ではなく、 そんなことがないと甘やかさないわけではなく。 他人や自分を想う時間は、 昨日も明日も変わらない。 変わらないから今日あえて言おう。 何でもない日を特別にしよう。 人は言わないと忘れてしまうから。 君を、私を、大切にしていると。

          【詩】2月14日

          リンゴ

          君とこのリンゴを分け合いたかった たとえその時自分が死んでしまうとしても 本当を突き止めても仕方がないよ 多面鏡の前では自分ですらも信じられないから 君があの時あの場所で、どんな気持ちでいたか 本当の所、誰にも分からない、神だって知らない だけど、だから、私は君の表面を愛す 君とこのリンゴについて語り合いたかった たとえその時、種まで赤いリンゴだったとしても 真実を暴いても悲しいだけだよ 別の愛を知って、日常の自分を思い出すから 君があの時あの場所で、どんな気持ちでいたか

          【詩】落ちる

          落ちていく 巨匠の机からペンが 牛乳の入ったコップが 通学路に咲くツバキの頭が 誰の目にも明らかな悲しみが 本当の悲しみを隠している 靴箱に入れたはずの靴を探した 忘れ物リストチェック済みのものを探した 授業参観で母の姿を探した なんてことのない日常が みぞおちに鉛を落している ……。 落下した日はケーキを食べている ケーキが鉛を溶かすから そう伝えると恋人は顔を背けて笑った ……。 落ちない 手に汚れたペンの跡が 頼まれた食器の汚れが 苦手な香水の匂いが

          【詩】落ちる

          諦めてばかりの女が『ウィッシュ』をみて泣いた話

          みなさんは「願い」と聞くと何を想像しますか? ディズニーは100周年を迎えたそうで、 その記念すべき年に制作されたのが『ウィッシュ』。 ディズニーファンならもうご覧になったかと思います。 私自身は今年5年ぶりにディズニーランドに行き、 シーの「ソアリン」(飛んで世界を旅できるアトラクション)で拍手するほど感動したのですが、 今回『ウィッシュ』をみてソアリンのことを思い出しました。 今回ディズニーが映画のテーマにしたのは「願い」。 ぶっちゃけてしまえば、映画のストーリーの

          諦めてばかりの女が『ウィッシュ』をみて泣いた話

          簡単に好きといえば幸せ

          どうしても趣味とか夢とかやりたいこととか、ないなぁと思ってしまうことが多い私ですが、最近はそんなもんかなとも思います。 寧ろ自分が思っている趣味とかがハードルが高い気がする。例えば私は文章を書くことが好きだけど、それで小説を書き上げた経験もないし、なんなら長い文章を書くことが苦手だったりするから胸を張って趣味とは言えないなと思っていた。 私にとって趣味とか夢とかやりたいことは、寝食を忘れて何時間も没頭できることだと。 じゃあそれを行った結果どうなるの?と考えた時に、やはり

          簡単に好きといえば幸せ

          映画館に霧越未麻をみにいった① 『パーフェクトブルー』

          福岡の名所「中洲大洋」で今敏監督の初監督作品『パーフェクトブルー』をみた。25周年を迎えたこの作品はファンが多いようで、劇場の8割ほどは席が埋まっていた。 私がこの作品を最初に見たのはスマートフォンの小さい画面のなか。 ベットの上で布団に包まりながら、アニメキャラクターというより現実の人にそっくりな登場人物たちの動きをおそるおそる見ていた。 そんな映画が大画面で、他人と同じ空間で同時に、「あの世界」を見られるというのだから休みの日にすぐに足を運んだ。 ちなみに観に行く前は、こ

          映画館に霧越未麻をみにいった① 『パーフェクトブルー』

          本音と建前

          美しく見えるのはどちら? ようは使いようでしょう 君を惑わすための嘘、僕を騙すための本心 酸素が切れる前に呼吸をしなきゃね 余計な詮索はだれのため? ようは偽善なんでしょう 私を楽しませる嘘、あなたを苦しめる本心 自分が仕掛けた罠に引っかからないようにね 何回も頭ん中泳がしたシュミレーション つまらないように 逃げ出さないように さあ、はやく瞳の中にダイブして 目の前の玉座(プライド)に抗えないのよ だって言葉を得てしまった我ら 実態のない圧倒的支配者 はやく指針をみつ

          本音と建前

          1時

          午後1時 揺れるカーテンを眺めた テレビの音は遠くで鳴り 木々の揺れる音が隣で聞こえた 白いテーブルに影が横切る 追いかけるまもなく過ぎてゆく いつだって 暗闇の中は理想で溢れていて 世界の反対側へ行けてしまう ここは海が揺蕩う場所 大きな風よ 早く吹いてくれよ 退屈も面倒も 今となっては全部楽しい 過去も未来も見ないよ 今を愛したいから 午前1時 窓に映る読書灯を眺めた 虫の根は遠くで鳴り 最終電車は耳元を通り抜けた 白いテーブルに閉じた本 繰り返すほど愛してはいなか

          パレード

          そのどれもが私の気を引くから 手元の溢れそうなおもちゃが いつだって見えやしないの 何にでも名前をつけないで 普遍化することに慣れ親しんでいる 私は私だけの歪を愛していたい 綺麗なドレスも綺麗な靴も 四畳半の城の中で 1人ショーをやるため 誰にも見せないことが快感 映画のセリフに酔っていたいの 茨道の剣になって 私の行く道を他でもない私が認めて 好きになって痛いの どうでもいい世間のことを どうでもよくない目線が 何故かキラリと光ったの そうかきっとこうだったのだ 目

          この夜の悲しみをこねて、ひとつの塔にしたら あの月に手が届くのでしょうか。 君の夢も希望も、輝く分だけ伸びていく塔。 私はどうか振り向かないで、と嘘でも願う。 変身した昨日が、何食わぬ顔して裏切っていく、何も変わってなどいないと。 頬に添えた手だけが本物だ。しわくちゃの、たくさんの悲しみを拭った手だけが。 愛していた、あの塔すらも。 鏡はどこにもなかったのに、沢山の私が、私をなぐさめる。 その高くそびえ立つ頑丈な姿に、勝てやしない富士山よりも、もっと無機質で哀れで、目を背