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カフェ大国韓国で原豆(焙煎)コーヒーより飲まれているもの
韓国のコーヒー文化:差し入れからカフェブームまで
韓国ドラマを見ていると、コーヒーが頻繁に登場します。 オフィスでのランチ後、差し入れに、カフェでリラックスしながら─そんなシーンが日常的です。 インスタ映えするおしゃれなカフェも多く、韓国におけるコーヒー人気の高さが伺えます。
レギュラーコーヒーとカフェ文化の台頭
韓国でレギュラーコーヒー(ドリップコーヒーやエスプレッソ)が広がり始めたのは2000年代頃。インスタントコーヒーと区別するため、원두커피(原豆コーヒー)と呼ばれました。時代にコーヒー専門店が大衆化し、1980年代にピークを迎えましたが、韓国のカフェブームがピークを迎えたのは比較的最近の2017年頃です。
2022年現在、韓国のカフェ・喫茶店の店舗数は約7万店で、日本と肩を並べています。 しかし、韓国の人口が日本の半分以下であることを考えると、一人当たりのカフェ店舗数が圧倒的に多いことがわかります。
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庶民に愛されたコーヒー牛乳とインスタントコーヒー
かつてコーヒーが高級嗜好品だった時代、庶民に親しまれていたのがコーヒー牛乳でした。 1974年にソウル牛乳が発売した三角形のパック入りコーヒー牛乳「커피포리 200(コーヒーポリ200)」は、今それでも愛され続けているロングセラー商品です。ストローを刺せないため、ハサミで飲めるというスタイルも特徴的です。
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1980年には、東西食品が世界初のインスタントコーヒーミックスを「맥심(Maxim)」の商標で発売。 粉コーヒー、クリーマー、砂糖を一度に封入した画期的な商品でした。改良され、ウォーターサーバーの普及とともにオフィス特に1989年発売の모카골드(モカゴールド)は、韓国を代表するインスタントコーヒーとして親しまれております。 さらに、2011年にはカフェブームに合わせてクリーマーや砂糖を含まないKANUが登場し、軽い飲み心地が人気です。
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맥심の広告モデルも豪華で、アン・ソンギ、ハン・ソッキュ、チョン・ウソン、チャン・ドンゴンなど、トップスターたちが起用されてきました。 特に모카골드の広告モデルである俳優イ・ナヨンは20年以上の役割を担い、「イ・ナヨンコーヒー」という愛称で親しんでいただいております。韓国のカフェがおしゃれでステキ、韓国はカフェ共和国などど印象批評的にいうブログは多々ありますが、コーヒーの消費料をみると、おしゃれカフェの高いコーヒーではなく、圧倒的に飲まれているの(およそ半分)はマキシムなどのインスタントコーヒーです。マキシムも飲んだことが無い人が韓国のコーヒー語るべからずです。
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フランチャイズカフェの競争
とはいえ韓国の都市部をうろうろしているとカフェの多さにびっくりはします。韓国でカフェ文化がここまで多いのは、フランチャイズカフェの激しい競争があります。
売上1位は、スターバックス(스타벅스)。初の店舗は1999年、名門韓国女子大である梨花女子大学前にオープンしました。「茶房(다방)」と呼ばれていた喫茶店文化から、今でもスターバックスは「星茶房(별다방)」という愛称で親しまれております。
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しかし、店舗数で国内首位を目指しているのは国産カフェのEDIYA COFFEE(이디야 커피)で、約3000店舗を展開しています。他にも、料理研究家ペク・チョンウォンがローンチした빽다방( PAIK'S COFFEE)や、16年開業のMEGA MGC COFFEE(메가MGC커피)が大学生を中心に人気です。低価格でありながら高品質のコーヒーを提供するこのチェーンは、韓国のカフェ文化を牽引しています。
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コーヒー消費の現状
思いがけず、売上の約5割を占めるのは、今もインスタントコーヒー(コーヒーミックス)なのは上述しましたが(何度でも強調したい)、お茶の消費量は少ないです。これは、お茶が仏教と根付いているため、朝鮮時代に進められた崇儒抑仏政策の影響とも言われています。あと甘いゆず茶やオミジャ茶などもお茶のかてごりーになります。
まとめ:韓国ならではのコーヒー文化
韓国のコーヒー文化は、庶民に愛されたコーヒー牛乳から始まり、インスタントコーヒーの普及、フランチャイズカフェの台頭へと進化を遂げてきました。人口に対するカフェ店舗数の多さは、韓国ならではの特徴です。そして、競争の激しい市場環境が、安くて高品質なコーヒーや魅力的なカフェ文化をずっと続けてきたのです。