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最初に読んでね:このブログがめざすところ

「るるぶ的韓国」から「ディープコリア」へ もうひとつの韓国を探る旅

韓国への関心が広がり始めたのは、「冬のソナタ」ブームの頃。日本では、このドラマをきっかけに韓国へのイメージが一気に向上し、女性を中心に韓国語を学ぶ人や韓国文化に親しむ層が急増しました。今ではその勢いが低年齢化し、高校生向けの韓国語検定試験や小学生をターゲットにした語学本まで登場しています。SNSではコスメやグルメ、K-POPなど、韓国発の「かわいい」が溢れ、「韓国っぽ」と真似するのがトレンド。「韓国人になりたい」というハッシュタグまで生まれ、今では若者にとって韓国はポジティブでカッコいい、憧れの対象となっています。このような現象は、韓国語が昭和のフランス語のような「実用的ではないがおしゃれで格好いい言語」になったといえるでしょう。


2016年の雑誌。「韓国っぽ」という言葉はその後広く浸透している。

ここ10年の日韓関係は、歴史認識問題などを背景に悪化し、「失われた10年」とも呼ばれる時期でした。この間、日本では韓国を「非難すべき存在」と捉えるいわゆる「嫌韓」層(イライラ層)が大きく台頭しました。一方、K-POPや韓国ドラマを積極的に受け入れる若者や女性を中心とした「韓国好き」層(キラキラ層)も拡大しました。さらに、韓国のフェミニズムやリベラル思想に共感し、韓国文学(K文学)を愛読する層も加わりました。


韓国の「イライラ」と「キラキラ」の切り取りは同時代的に起こっている

韓国を切り取る際、多くのメディアや個人の発信は一時的で表面的な印象にとどまることが多いように感じます。例えば、韓国の長距離バスに乗った経験を振り返ると、2024年という1年間でも異なる体験が得られることに気づかされました。ある日は静かにするよう注意される一方、別の日にはバス内でのおしゃべりが止まらない様子を目にしました。このようなエピソードからもわかるように、「韓国はこうだ」という個人の体験に基づく印象批評的なものは一面的であり、それをもとに韓国全体を語るのは難しいものです。簡単に言えばインスタ、YouTubeなどは「それってあなたの感想ですよね」的言説にあふれかえっていますね。それらは「正しいガチ情報」ではない怪しい誤情報込みのエンタメとして楽しめばいいのですが、時に「ガチ」であると思い込んでしまうものです。

韓国文化の消費が「るるぶ的」な軽さに偏る中(それを否定する気は全くありません)、このブログでは、華やかではないけれど確かに存在する韓国の姿に目を向けていきたいと思います。そう、KBS「人間劇場」という渋いドキュメンタリーのような、そんな韓国のリアルな一面をお届けしたいと考えています。その世界は消費欲求をばかりを刺激する「キラキラ韓国」とは真逆なものです。(KBS教養ドキュメンタリー「人間劇場」は相当な長寿番組です。面白いので是非見てください)


90年代から韓国をウッチしている人にとってはまあ伝説的な本があります。それは「元祖ディープコリア」。

この韓国の地方を訪れた著者が等身大で向き合ったルポルタージュで、韓国を卑下し茶化すような描きぶりに問題もあるものの、政治的な頭でっかちな切り取りやキラキラおしゃれ消費ではなく90年代にソウルではなく地方に乗り込み体当たり取材・交流をしたルポです。圧倒的な「アナログ感」という意味ににおいて今の表面的な韓国観とは異なる深みがあります。本書のブログ名はこの書籍にあやかっている節は否定しません。著者も学生時代に大いに影響受けた1人でした。

このブログで大切したい3つのこと:韓国文化を多面的に捉えるためのアプローチ

1.イライラやキラキラを超えた視点で切り取る
韓国に関する情報には「イライラ(不快)」や「キラキラ(快)」といった感情的、イデオロギー的な視点が多いですが、自分の視点からの情報だけを取り上げて「分かった気になる」ことを避けたいです。

2.分かりやすいものではなく、見過ごされてきた分かりにくいものに光を当てる
インスタや『るるぶ』的な「モノ消費」として、表層的で簡単に理解できる文化は、すでに多くの媒体で取り上げられています。そこで、地方文化や宗教、価値観といった「見えない文化」「見えにくいもの」に注目したいと思います。それが専門でもありますし。

3.専門知識を「現実的な視点」で活かす
自分では自戒しているつもりでも、学生や周囲から「クセが強い」「浮世離れしている」と言われることが多々あります。だからこそ、このブログでは専門的な話をベースにしながらも、専門家でなくても興味を持ちやすい話題に引きつけることを意識して書こうと思います。韓国(社会や文化)は他国と比べて情報量が多く、大衆文化を通じて興味を引きやすいエリアに成長しました。そういった事情をいかし、ドラマなどをフックに楽しみながら学べる内容を提供することを目指します。

本ブログの助成および写真について

本ブログは韓国学中央研究院の한국바로알리기事業の支援により運営されています。( 이 결과물은 2024년도 한국학중앙연구원 한국바로알리기사업에 지원에 의해 수행되었음)この文化助成は韓国に関心を持つ高校生および高校関係者、そして韓国に関心のある人にブログという文字情報だけでなく、音声というpodcast「韓活韓国語のススメ」でも韓国語や韓国文化について発信をしています。

「too deep korea」のロゴが入っている写真は著者が直接撮影したものであり、著作権フリーとして教育などに大いに使ってください。


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