市島は鯖が苦手【短編小説】
久しぶりに大学時代の仲間が集まった。第三ビルの地下、せまい中華料理屋での小さな会合だった。いつかの晩に後輩から電話がかかってきて、いま近くに住んでいる。特に用事もないが、久しぶりに先輩たちの顔が見たい、とのことだったので、昔バイトをしていた時に連れてきてもらい、おいしかったという記憶のある店を予約した。注文を通し、生が四つ来た。中華料理屋はあまりにやかましくて、サークルの仲間たちと異質なのがよかった。
だからといって面々はしゃべらないというわけではなくて、現況をぽつぽつと