見出し画像

原体験が、幼少の頃からの土台を作る



人は小さいころから子どもの立場で親に接し、様々な経験をする。この原体験が子との絆を育む土台となる


★今日は共創の時代・・・せんせいあのね

<せんせいあのね>
 鹿島和夫氏の著作「せんせいあのね 1年1組かしま教室 1 ひみつやで」は、80年代から90年代にかけて神戸市の小学校で教鞭をとっていた鹿島先生が、自身の1年生クラスの子供たちとの交換日記「あのね帳」から189作品を抜粋し、まとめた書籍だ。

子どもたちが先生に話したいことや疑問に思ったことなどを綴った「あのね帳」は、子どもたちとの対話を大切にし、毎日詩を書くことで子供たちの物の見方を育むなど、きめ細やかな指導を行っていたことがうかがえる。この教育では、1年生の子どもたちが毎朝「せんせいあのね」と書いた帳面を鹿島先生に手渡し、先生は夕方までに全員に返事を書いて返す。この交換日記のようなやりとりを通じて、子どもたちの「ものを見る目」が変わり、自然とやさしい気持ちが育まれる。
1年の終わりには10,000を超える作品が仕上がり、その中から2,000余りを選んで冊子を制作し、子どもたちに配られる。
「あのね帳」を媒介して生まれる 親と子どもとのコミュニケーションを通じて、親は子どもとの関わりを楽しみながら、子どもの成長に必要な柔軟な考え方や対応を学ぶ。また、他人の子どもの存在を意識することで、親は自分の子どもだけでなく、他の家庭の子どもにも配慮が必要であることを理解する。

けっこん
  ないとうゆうこ
けっこんあるばむをみたら
おとうさんが おかあさんのほうをむいていた
おかあさんも おとうさんのほうをむいていたよたのしそうにしていた
いまはふたりでしゃしんもうつさないのよ
よるねるときは
だぶるべっとでねているけど
ときどきおとうさんが
べっとからおとされているんだよ

せんせいあのね 1年1組かしま教室 1 ひみつやで

著者の鹿島和夫氏は1935年生まれ。泉佐野市立第二小学校、和泉高校から神戸大学教育学部を卒業。約40年 神戸市で小学校教諭を勤め上げた。子どもの素直な視点を表現できる教育を独自で模索。現在も小学校などで取り上げられることが多い「あのね教育」の創始者。その独特の教育がマスコミにも取り上げられ、ドキュメンタリー「一年一組」は文化庁芸術作品賞優秀賞受賞。北原白秋賞や読売教育最優秀賞も受賞している。

現代では核家族化の進行や地域交流の希薄化により、人々が自分以外の小さい子どもと接する機会が減っている。親子問題の背景には、原体験の不足により親たちが子どもの年齢や気質に応じた「距離感」を測れなかったり、自分と子どもの関係を理解できなかったりすることがあるのだろう。

_

★「あのね教育」では、原体験期に重点が置かれている。人は小さいころから子どもの立場で親に接し、様々な経験をする。この原体験は、子どもができてから初めて親になる資質が育つのではなく、幼少の頃から土台が作られ始めると考えられている。

◆ 本書は、鹿島先生が遺された膨大な資料を読み込み、編集して作成されており、当時鹿島先生が書かれた未発表のエッセイも掲載されている。毎日詩を書くことで、ものの見方を覚えていく子どもたちの様子は、大人たちの生き方をも変えていく。その素直なことばに、涙し、笑いがはじけ、やさしさにつつまれる。
.


ひみつ
  やすみくにのり
いそべさんがラブレターを
四かいだしたといっていました名まえはひみつです
ぼくだけおしえてくれました
ひみつやで ゆうたらあかんでそういって いかりもとくんとおしえていました
とゆうてましたさかたさんにも

せんせいあのね 1年1組かしま教室 1 ひみつやで

.

時代の変化を捉え
これからの生き方を
考えてみよう!

.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?