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人間として美しい
「人間として美しい」
こんな表現は変かもしれないけれど、あの人は人間として美しかった。
持ち物が少なかった記憶はないけど、身分からあまり持っていなかった。
質素だけれど、幸福に満たされた生活をしていた。
お化粧はせず、いつもすっぴんだった。白い肌に大きな瞳がきれいだった。
そんな「あの人」とは、中学1年生の担任のシスターだ。彼女は、苗字から『ワッキー』というあだ名で呼ばれていた。修道女にそんな呼び方するんだ!と入学当初は思った。しかし、私もワッキーと呼び始めた。
カトリックの学校だったので、シスターと呼ばれる修道女が、クラスの担任を持ったり、宗教の科目を教えたりすることもあった。
ワッキーは、間違いなく、私の憧れの人のひとりである。
彼女は凛としていた。百合のようだった。優しさを含みつつ、物事をはっきり言う性格だった。ワッキーはみんなから慕われていた。
修道女/シスターという身分・職業が、彼女への憧れにある1要素かもしれない。でも、他のシスターで憧れる人はいなかったから、シスターだからという理由が、一概に憧れになるとは言えない。
たぶん、彼女持っていた「手の届かない何か」に憧れてるんだろう。まとっていたオーラ、たたずまい、雰囲気。
そんな思いを馳せながら、今日を始めよう。
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