「不動産屋さんって怖いし嫌な人が多くない?」はモラルより構造の問題。僕らの挑戦ポイント。
不動産屋さんのイメージって、やっぱこんな感じですかね?
わかります、わかります。今ここで僕がどんなに
「不動産業界って以外と良い人も多いよ」
と伝えても、詭弁になることを。
でも、ちょーっとだけ大きな声で言い訳させてください。不動産屋さんがこうなってしまうのは、個々のモラルの問題以上に構造がそうさせているんです。
負の感情と向き合い、自分に否がないことにも代理でお叱りをうけることが常である不動産業界。
モラルハザードが起こるのは、この世界で生き残るために個々が環境適応した結果であることを解説させてください。
▼問題その1、情報の非対称性
不動産業界は顧客との情報格差によって収益を得ているビジネスモデルです。
これを情報の非対称性と言います。
(経済学部出身のくせに頭の良い解説はできませんので、こちらのリンクをご覧ください。自分でもよくわかるようにまとめられていました。)
どの商売にも原価と売値の差という情報の非対称性は存在します。セブンイレブンでも、まちの焼き鳥屋でもそうです。
ですが、不動産屋は以下の理由により情報格差が特に顕著に表れます。
・世の中に同じ商品が無く個別性が高いこと
・品質の判断に専門的な知識が必要であること
・悪い情報をオープンにする仕組みがないこと
これにより、不動産屋と顧客が合理的な判断をすると、ざっくりこんな感じになります。
不動産屋は顧客が情報を持ってないから
価格をふっかける
↓
顧客は商品の質がわからず、ふっかけられる
リスクを知っているから値切る
↓
正当な値付けしている不動産屋も、同じように
値切られる
↓
正当な値付けしている不動産屋が馬鹿馬鹿しくなって辞めていく
↓
ふっかける不動産屋だけが生き残る
こうして不動産業界では正当にやろうとすればするほど、損しやすくなるため、ふっかける業者のみが残っていく構造になっています。
▼問題その2、負の感情を全力投球でぶつけられる仕事
不動産屋さんの日常をちょっと見てみましょう。
【管理のシーン】
「今日も雨漏りしてお店やれないんですけど、至急なんとかしてもらえますか?」
↓
(原因は設計施工不良or経年劣化)
「すみません、すぐにオーナーさんに修理してもらえるよう調整します」
↓
「◎◎さん、営業できずに困ってらっしゃるので、急ぎで対応お願いできますか?」
↓
「えー、そんなに漏れてないでしょ?こちらも相見積とったりしたいからちょっと待ってもらえるように伝えてもらえますか?」
↓
以下、解決するまで板挟みのエンドレスループ
上記のようなやりとりなら、とても円満です。どちらかから怒鳴られたり、感情的になられることも多々あります。
他にも、
【賃貸仲介のシーン】
散々案内して、申し込みして、交渉もうまく通して、調整を全部完了したあとに「あ、やっぱ、ちょっともう少し様子見たいんでやめます」
→オーナー側に謝罪
【売買仲介のシーン】
契約満額で入れてローン通って、いざ契約となったタイミングで「やっぱ、知り合いで買いたい人が出てきちゃったのでそちらに売ります」
→買主側に謝罪
なども日常茶飯事。
いずれにしても人様の資産を扱う仕事&高額商品のため、こちらではどうしようもない理不尽があったとしてもうまくやる期待と責任があります。
(文句があるなら所有者になる or せめて元付けになれなので当然、実力の問題もあります。)
感情の噴火をシャワーのように浴びることもザラです。
優しくて親切な人ほどダメージを受けて、やりたくない仕事になっていきますし、残る人も環境に合わせて強靭化していきます。
(幸い僕らの周りには親切な方が多くて本当に感謝です。そして負の感情をぶつけられても優しさを持ってomusubiで働いてくれるみんなには感謝しかないです。)
▼問題を解消する2つの方法
じゃあそれはどうやったら解消するのか。
個人的な提案は2つあります。
1、レインズを公開する=情報の非対称性を解消
レインズというのは、簡単に言うと不動産屋だけが見える不動産サイト。
そこには
・どの物件がいくらで出ているのか
・どの不動産屋が取り扱っているか
・過去にいくらで取引されていたか
などを調べられるようになっています。
そりゃ自分たちもこれでご商売させていただいているので、いくら綺麗事を言おうと、僕らも既得権益の受益者側です。
だけど、これはさっさと公開してほしい。情報格差を少なくすると、正当な不動産屋が残りやすくなります。(業界団体様、はよーカモン!)
2、社会の役に立つカッコいい仕事にする
負の感情をぶつけられることだけが、不動産屋ではありません。不動産屋は人生の節目に立ち会える素晴らしい仕事です。
「結婚して子供が大きくなったからご自宅購入を決めました。好きな設計事務所にお願いして、リノベして暮らしたい」
「念願のお店をオープンするためにお店探し。良さそうな物件のオーナーさんと条件交渉して、やっとお店をオープンできた」
「離婚をするから家を売却できて、リスタートに踏ん切りがついた。」
などなど。たくさんのパーソナルなご事情をお聞きして、望みを叶えられた時の感動はひとしおです。
さらに不動産屋はまちづくりに直結できる立ち位置にあります。
エリアリノベーションを実践し、荒廃していた街が再生する、まちの未来をつくるという社会的価値の高い仕事にして「不動産屋さんいいですよね!カッコいい」というイメージをつくっていくことも重要です。
▼既得権益がなくなると不動産屋の仕事はどうなる?
情報格差がなくなると次の4つ+1を競う環境になります。
1、契約までの応対サービスの質
(コンシェルジュ)
2、権利関係の精査・リスクヘッジ力
(士業)
3、資産管理・運用力
(オペレーション)
4、不動産活用の事業計画・企画力
(コンサル・アイデア)
+地域・社会への貢献力
(エリアリノベーション)
情報流通産業なのでどんなにオープンな制度にしても個別の繋がりでの取引などはあるため横流しの仕事は消えないと思います。
ですが今よりは業界全体に、健全な競争が働くと信じています!
▼omusubiはどうするの?
情報がオープンになると理想だけど、実際はまだまだ先になりそう。
なので僕らは業界がどうなろうとも、上記5つ全てでレベルアップは必須です。
特に空き家を含めた不動産活用の企画提案力、運用力と、エリアリノベーションにつなげる動きはomusubiの存在意義だし、個性だから伸ばしていきます。(理想にはまだまだ遠いけどファイト‼︎)
空き家を街に循環させる仕組みをつくる。
自由度の高い物件を増やし、まちの幸福度を高める。
構造の問題に負けず、ダークなイメージのフドウサン業界に青臭い綺麗事を言い放ち、
「フドウサン屋さん素敵!カッコいい」
という大いなる誤解を実現できるまで、全力で突っ込んでいきます!!
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