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詩を詠む猫

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あふれてこぼれた言葉の居場所、それはシェルターのようなもの
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#恋

そんな勇気もないのだから

好きはどこから湧き出て どこへ消えていくのだろう いつから溢れて どこで零れ落ちるのか 行く宛てのない感情の 扱い方もわからぬまま 夜の闇に紛れてしまえばいいと願う 胸に宿る小さな灯を 無意味だと罵りながら ギュッと目を瞑り朝を待つ あぁ そんな勇気もないのだから

歌うように

日曜日の朝 二度寝 あなたの歌声 猫のヒゲ

月夜

台風一過の今日 夜のはじめ頃 あまりに月がきれいで ベランダに出て ビールの栓を開けた つい 一週間前は 夏の終わりを はしゃいでいたのに たった数日で 彼方に感じるほど秋めいて あまりにも 馴染んでいる身体に 少し戸惑う なんだかんだで 喜怒哀楽と 忙しい たぶんきっと いつだって こうして 色んな感情と 生きていくんだ 悲しくて苦しい 悔しくて恐い 軽やかでくすぐったくて 嬉しくてあたたかい こんな日は 少し夜更かししても いいよね

すきのはじまり

あの頃は 珈琲を豆から挽くなんて考えもしなかったし そもそも部屋で珈琲を淹れた記憶がない いつから好きになったのかも曖昧で 珈琲がコーヒーになって珈琲になったのも知らない 好きのはじまりを知らない