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ルビを習得し、平賀源内に学ぶ
ルビが好きなので、このたびnoteに実装されたことを歓迎したい。ルビの語源は明治期にふりがなとして使用された5.5ポイントの活字が英国でルビーと呼ばれていたことに由来するそうだ。当時英国では宝石の名前を活字フォントにあてていたらしい。
明治の書籍に狂つたやうに傍点がふられているのがあるのだよ。
こんな風に。
こういったものも再現できる。ルビは楽しく、実によいものだ。
楽しいついでに、平賀源内が風来山人の名で書いた『放屁論』にルビがいっぱいついていたので(もちろん後世に編集されて活字に組まれたもの)、同書の源内による自序から引用してみたいと思う。この書物についてはネット上だけでも様々な記事があるが、かいつまんでいえば、なんでもおならにこじつけて考察するという実に興味深い書物である。源内は教科書的にはもっぱらエレキテルの発明者として知られているけれども、実は戯作文学の始祖と言われており、こんなとんでもなくふざけたものを真面目に書いていて、頭のねじの飛び具合が只者ではない。
日本武尊東夷征伐の時。夷ども草に火をかけ大勢一度に尻をまくりて撒ければ。焔尊の方へ吹靡き。御身に火掛らんとするとき。御剣をぬいて投付給へば。夷の臀を志たヽかに切られ八方へ逃げし故。逃る事をへきゑきといひ始め。(へきゑきとは屁消益なり。屁消て尊の為に益あるをいふなり)十束の御剣を改めて臭薙の宝剣と號給ふ。臭き物を薙ちらせしといふ詞なり。
【現代語】ヤマトタケルの東夷征伐の際、蛮族たちが草に火をかけて、いっせいに尻をまくって放屁したところ、炎はタケルのほうに向かってきた。まさにタケルに火がかからんとするとき、剣を抜いて投げつけたところ、蛮族の尻はしたたかに切り裂かれて八方に逃げ散った。このことからたじろいで逃げることを「へきえき(する)」と言いはじめた(すなわちへきえきの語源は「屁消益」であり、屁が消えてタケルの益になったことをいう。これをきっかけに「十束の剣」を改称して、「臭薙の宝剣」と名付けた。臭いものを薙ぎ払う剣という意味である。
大政入道清盛は火の病を煩ひ。初は居風呂桶に水を入て體を浸せば即時に湯となる故。後は大なる池を掘り加茂川の水を堰入這入られけるに。水火激して頻に屁を撒しにより。屁池の大将と異名せられ。記せし記録を屁池物語といふ。後世平家と書は當字なり。
【現代語】入道清盛は病にかかり、初めは風呂桶に水を入れて身体を冷やしたが、すぐに水が湯になって効果がない。そのうち、大きな池を掘って加茂川の水を引いてきて浸かるようになった。水と熱が激しく相克して、清盛はしきりに屁をひりだした。このことから清盛は屁池の大将と異名されるようになり、このことを記した記録を『屁池物語』と称するようになった。後世に『平家物語』というのは当て字である。
そういえばはるか昔の事、元号が昭和から平成に替わったとき、アホなガキンチョだった自分は「屁ぇせえー」と茶化して喜んでいたことを思い出す。それを恐らく学校に提出する日記にさえ記したように記憶する。なんという畏れ知らずであったことか。あのとき自分は紛れもなく、権力に阿らず社会批判をためらわない、源内の後継者であった。残念ながらエレキテルは発明していない。かわりに戯作文学のこころを継いでいきたいと思う。
ここまでくそのようにくだらない文章ではあるが、うん、うまくまとまった気がする(まとまってない)。
…ところで源内なら、ルビでどう遊ぶだろうか。