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OJTという制度の終焉

〜:簡単に言うと〜:〜:〜:〜:〜:〜
難しいことを誰にでもわかるように簡素化するシリーズ。テクニカルな背景や難しい専門知識は省いて、なにが不便なのかを考える。
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 日本にも長く根付いているOJTと言う制度ですが、そろそろ限界。見直しが必要な時期ではないかと思います。


◆OJTのデメリットは?

 最近相談を受けている派遣会社の現場フロー見直しのコンサルでのお話し。
 OJTのデメリットについて語る時に、どの文献でも必ず教え方のバラツキと言う話しが出ますが、これは本質ではないと考えています。実際にバラつきが生じるのは教え方ではなく派遣スタッフの顧客対応です。

 すべての職場ではないですが、昨今は非正規雇用者が増加して正社員不在と言う現場も多く、社歴の長い非正規雇用者が後輩に仕事を教えるというケースが増えています。

 いままで見てきた、いくつかの派遣会社の現場でも同様のことが起きています。

 そこで見えてくるのは、OJTの制度疲労のようなもので、従来のOJTは非正規雇用が主体になりつつある現代の職場にそぐわないシステムではないかと感じています。

 本来OJTが機能するのは、正規雇用をベースとしたロングタイムコミットメントのモデルであって、近年の非正規ベースでは長期に渡るコミットメントなど望める訳もなく、このような職場では業務マニュアルベースでのラーニングが絶対的に優位になっています。

◆OJT現場で不可避な問題

 確かにOJTは先輩後輩の間での師弟関係のような密な関係を醸成し、中長期的に強固なラーニング体系を作ることができるとは思うのですが、非正規が主流の環境ではロングタームは望めません。

 実際の非正規雇用現場で生まれる関係に共通しているのは、多分にしてマウンティングパワハラの温床になっていることです。

 ありがちなのは、先輩の言うことに従わないと仕事を教えてもらえかったり、中には休みが取れないと言う現場も存在し、非公式な主従関係が発生している例も多く見られました。

◆非正規雇用現場におけるOJTのありかた

 全労働者の4割近くが非正規雇用となる今日においては、OJTの進め方にも新しい工夫が必要です。

・マニュアルの整備は必須
・主要業務の管理は正社員に
・責任を取るのは社員

 最近みた医療機関の現場のように、マニュアルが整備されていない状態では、派遣スタッフの対応にバラつきが生じてしまいます。
 また正社員が主要業務に関与していない場合、トラブル対応にもバラつきが生じてしまいます。

 社会全体が高齢化し、非正規雇用が中心となっていく現場においては、OJTの進め方を見直していく必要がありそうです。

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